1stフルアルバム『魅力がすごいよ』のリリース前日に行われたフリーライブ。会場の豊洲PITには、高倍率の抽選で選ばれた約3000人の観客が集まった。今年の夏の音楽フェスティバルを沸かせ、9月18日のZepp Tokyo公演も即日ソールドアウト。ゲスの極み乙女。に寄せられる熱い視線は、ますます高まるばかりだ。この日のライブも、スタート前からものすごい期待感が会場全体に充満していた。

　流れるSEと手拍子に迎えられてステージ上にスタンバイした川谷絵音（Vo & G）、休日課長（B）、ちゃんMARI（Key）、ほな・いこか（Dr）。オープニングを飾ったのは「パラレルスペック」だった。シャープに刻まれるリズム、流麗なピアノ、言葉を溢れ返らせながら絶妙なノリを醸し出す歌……黄金のアンサンブルが鮮やかに煌めき、観客は腕を掲げて飛び跳ねながら踊り始める。その盛り上がりをさらに加熱したのが「キラーボール」。ギターをスタンドに置いて、身軽なハンドマイク体勢となった川谷は歌いながらステージ上を巡って観客を煽る。続いて、ニューアルバムから早速披露された「星降る夜に花束を」と「列車クラシックさん」。ドラマチックに高鳴る哀愁のメロディが抜群に心地よかった。

　手拍子をして踊る人々の笑顔が、汗ばみながらも実に爽やかに輝いていた「猟奇的なキスを私にして」。「♪パラリラ　パラリラ」という力強い大合唱を呼び起こした「アソビ」の後、最初のインターバル。明日、ついに『魅力がすごいよ』がリリースされることに触れ、興奮して寝られないと休日課長がソワソワした様子で語る。そして、立て続けに演奏されたニューアルバムの収録曲「ラスカ」「デジタルモグラ」「crying march」。新曲ながらも観客の盛り上がり方が半端ではない。胸に沁みる叙情的なメロディ／ダンス衝動を激しく掻き立てる強力なグルーヴ、対照的とも思える快感が劇的に融合しているのが彼らの音楽の大きな魅力だが、その圧倒的なパワーを改めて実感したひと時であった。そして、「ドレスを脱げ」へ。休日課長のリードによる「ドレスを！／脱げ！」というコール＆レスポンスを経てスタートし、会場全体を猛烈な熱気で包んでいった。

　いよいよ終盤戦へ。エンディングで行われた餅撒きがシュール極まりない風景を作り上げた「餅ガール」。「♪じゃじゃうまじゃじゃうまじゃじゃうま~」という観客の大合唱がものすごかった「jajaumasan」。そして、ラストを飾ったのは「ユレルカレル」。ちゃんMARIの奏でる美しいピアノイントロを経て本編が幕開け、瑞々しいメロディが会場の隅々にまで広がる。踊る観客の熱量とステージから届けられる演奏が鮮やかに一体化したクライマックスであった。

　ゲスの極み乙女。は11月3日の新潟LOTSを皮切りに、全国14ヶ所、19公演のワンマンツアー『ゲスな魅力？』をスタートさせている。オリジナリティ溢れる楽曲、冴え渡る4人の演奏が、各地のファンを大いに盛り上げているのだろう。彼らの魅力は本当に果てしない。今後もさらにたくさんの人々を虜にしていくはずだ。

【取材・文：田中 大】