モン吉、1st ソロツアー『猿旅2016 supported by uP!!!』が9月30日のZepp Tokyoから幕を開けた。8月10日に発売された1stソロアルバム「モン吉1」を携えて行われる、初の全国ツアーの初日となった、この日。今夏、インストアライブにて短時間でのライブは行ってきた彼だったが、フルセットでのワンマンライブはこの日が初めてであった。
FUNKY MONKEY BABYS(以下 : FMB)のラストステージから数えて約3年半近く。ようやくこの日がやってきたと、待ちわびていたファンも多かったことだろう。当日は全国津々浦々から、その久々となる彼の勇姿を観に、プラチナチケットを得ることのできた、約2700人のファンが会場に集結した。

　「3年ぶりに帰ってきたモン吉です。MCは相変わらずノンプランだから、どうなっちゃうことやら。しゃべりはあまり得意じゃないから。みんな助けてね」と、初単独MCで会場を和ませる。
　そのノンプランMCが故に、曲名と、その曲の背景や思い等も交え告げられ、各曲に入っていった、この日。結果、それが功を奏し、我々には逆に、作品上だけではうかがい知れなかったアルバムの各楽曲をより知ることが出来、さらに各曲を身近に、そして、より自身や思いを重ねたり、照らし合わせたり、寄り沿ったり、背中を押されたりすることが出来た。

　元々幅広いクラブミュージックに造詣が深く、自身でもプライベートではインストゥルメンタルの各種クラブミュージックを制作しているというモン吉。そんな彼らしく、レイヴチューンの「さよならREMEMBER」や「星空フューチャー」等も、ライブ用の音圧にアレンジされ、より生で体感しやすくなったトラックと、ミッドやローに気を使った音質が、心地よさや高揚感、ダンサブルさやビュアー性も含め、彼の歌を支え、楽曲に更なる演出性を寄与していく。

　この日のライブは、1MC1DJスタイル。しかもDJは、彼のマネージャーが務め、モン吉の歌やサウンドに合わせ、時に会場に一緒に歌を呼びかけ、煽り、手拍子やワイパー、振り等をリードしたりしていた。これからの彼はマスコット的な役割や存在になっていくに違いない。あっ、あくまでも、それはフェイスではなくキャラクターの話だ(笑)。

　モン吉の魅力の一つは、やはりそのマイペースさと、いい意味で周りを気楽にさせてくれるテイクイットイージーなキャラクター。それはこの日の各曲からも表れており、レゲエの心地良いリディムと、<気楽に行こうよ>と歌われるそのメッセージ性に気持ちが軽くなった、「Everything’s Gonna Be Alright」、作品同様、八王子の愉快な仲間たちと共に歌われた「ハレルヤ」等が、聴く者の心をほぐし、どこかほっこりとした幸せ感を与えてくれた。また、背中をポンと押してくれる楽曲や会場とステージとを一つにしてくれる場面が、この日のライブでも数多く見られた。会場の合いの手で楽曲を完成させていった「FUU～!!!」、サビの部分では会場中のタオルの大旋回も壮観だった「MUSIC」が会場を盛り上げ、ライブを何度も走り出させた。

　情景や光景を交え聴く者をキュンとさせていく楽曲も『モン吉1』には幾つか収録されており、それらもこの日は惜しみなく披露された。出会いの大切さを歌った「一期一会」、あの日、あの頃、あの時の自分を振り返らせ、思いを重ねさせた「桜ユラユラ」等が、歌われている情景の中、幾つものシーンを淡いフォーカス越しに思い浮かばせた。反面、難しく、実は深いテーマでも、あえて違った描写を用い、軽く伝えてくれる曲があったのも、あのアルバムの特徴であった。トランシーなトラックに乗せられて歌われた「なると」では、楽しいテーマや歌い方の中、かなり深いことが歌われており、それらについて、みんな体を揺らしながら想いを巡らせていた。

　FMB時代の曲もレパートリーに交え歌われた、この日。FMB期にはツートップで歌われていたサビやユニゾン部分も、この日は一人で担い、また、ファンキー加藤のパートも自身で歌った。そして、それらは、モン吉のFMB時代のメロディメイカー的な存在ぶりを改めて思い起こさせてくれるものであった。

　『モン吉1』からの楽曲を中心に、FMB時代の曲も交え行われたこの日のライブは、大勢の前で各曲を披露し、ダイレクトにそれらを伝えるにのみならず、各曲に込められた思いや気持ち、意図や/メッセージが、より伝わってきた一夜でもあった。
このツアーは12月3日の香川の高松MONSTERまで続いていく。彼の歌やサウンドで、楽しく、心地よく、気を楽にしてもらいたかったり、気持ちを鼓舞されたい方は、是非各会場に足を運んで欲しい。また明日へと力強く歩き出せる、そんな活力をきっと共有できるばずだから。

【取材・文：池田スカオ和宏】
【撮影：久保永隆二】