関西出身のアイドルパンクDJユニット、あゆみくりかまきが10月20日、オンラインハロウィンライブ「不思議の国のアユクマ ～“PUNK”kin Halloween Party～」を開催した。7月に行われた無観客配信ライブはトークとライブを中心とした内容だったが、今回は「体験型ミュージカル」。ハロウィンの世界観のなかであゆみ、くりか、まき3人は、音楽、ダンス、芝居を融合させたエンターテインメントを繰り広げた。

　開演時間の19時ちょうどにあゆみ、くりか、まきが画面に登場。「Happy Halloween！　みなさん、元気ですか？！」（まき）という挨拶から、ファンのコメントを読んだり、ライブのなかで披露する“HAPPY ROCKのかめはめ波”を紹介したりと、ゆったりとしたトークを展開。そして「最後まで“不思議の国”感を貫きたいと思います！」（あゆみ）、「オンラインではあるけど、みんなで楽しくHappy Halloweenを過ごしましょう！」（くりか）、「初心者たちが作るミュージカル、すごいものになってます！　ライブはライブでガッツリやるので、一緒に楽しんでくれたら嬉しいです！」（まき）という言葉とともに、観客は「不思議の国のアユクマ」の世界へと導かれた。

　物語の始まりは、ちょっとだけ早いハロウィンパーティーの場面。キュートな魔女の衣装に身を包んだ3人がお菓子交換会を楽しんでいると、クマのもっくんがやってきて、「楽しいところがあるから、みんなで行かない？」と森の中に誘う。「もっくんを追いかけるぞ！」という言葉とともに放たれた最初のナンバーは「スターライトジャンボリー」。LEDモニターに映し出された森を駆け抜ける映像とともに疾走感に溢れた楽曲が響き、ライブの熱量も一気にアップ。「マタギのみんな、行くよ！」（まき）という煽りも楽しい。

　“お菓子の家”に到着した3人は、「ちょっとだけ遊んでいかへん？」（あゆみ）とハシャギながら、極上のアッパーチューンを次々と披露。スカコア系のサウンドと正拳突きみたいな振り付けが印象的な「素敵な世界」、くりかが「みんなの声が欲しい。つながってるやんな？！」と叫んだ「HAVE A NICE DAY,世界」、愛らしくて切ないアイドルポップ「「キミが好き」「キミが好き」」、そして、今年5月にリリースされた配信限定EP「Grateful」収録曲「ビリーでGO！」へ。パンキッシュなビートに乗って＜君がいるだけで僕らは　力が漲っているんだ＞というリリックが響き渡り、ライブは最初の頂点に達した。3人体制になってから約6年、数多くのライブ、イベントでロックモード全開のステージを続け、爪痕を残してきたあゆみくりかまき。この日のライブでも3人は、濃密なエモーションをたたえたパフォーマンスをしっかりと見せつけていた。

　ここで舞台の雰囲気は一変。雷と雨の音が鳴り響き、背景には妖しい洋館が映し出される。そこにカマを持った死神が現れ、クマのもっくんを連れ去ってしまう。「もっくんを助けるんだ！」という掛け声とともに披露されたのは、ヘビィロックのテイストを取り入れた「森森森」。そして、「おまえもマタギにしてやろうか！」というシャウトとともに「蝋人形の館」（聖飢魔Ⅱ）のカバーも。あゆみの強烈なハイトーン・ボイスからは、シンガーとしての魅力が真っ直ぐに伝わってきた。

　洋館に足を踏み入れると、そこには死神からの「返して欲しければ、おまえたちのHAPPY ROCKとやらで、私を倒してみなさい」という手紙が。「全力で歌うから、マタギのみんなも全力で応援して！」（まき）という言葉を合図に、ライブはクライマックスに突入！　メンバーのヘッドバンキングが炸裂した「KILLLA TUNE」、くりかのDJプレイも冴えまくった「残像フラッシュバック」、ヘビィかつエッジィなロックサウンドが突き刺さる「クマトナデシコ’19」とライブアンセムを連発し、ライブのテンションを一気に引き上げる。そして“HAPPY ROCKかめはめ波”で死神を退け、無事にもっくんを奪還した。

　ここでエンディングかと思いきや、「星空がめっちゃきれいに見える丘へ行こう」ともっくんに誘われ、無数の星がきらめく場面へ。妖精に扮したギタリストも加わり、アコギと歌のシンプルなアレンジで「星降る夜空に…」「旅立ちの唄」「キミノモトヘ」をゆったりと歌い上げた。最後はEP「Grateful」収録曲「夢の続き」。「これからもいろんなことが待ち受けていると思うけど、マタギと一緒に夢の続きを見れたらいいな」（まき）というMCも心に残った。

　ライブ終了後は、再び3人のトークコーナへ。視聴者からの感想コメントを紹介しつつ、初めてのミュージカルを振り返る。

「“今”しか届けられないライブをこれからも続けたいと思います」（あゆみ）
「やっぱりライブが一番。一緒に時間を過ごせて嬉しかったです」（くりか）
「新しいことに挑戦するのは楽しいし、いろんなことも挑戦したいと思えるきっかけになりました」（まき）
というコメントともに「不思議の国のアユクマ」はエンディングを迎えた。

　4月にYouTube番組をスタート、5月に配信限定EP「Grateful』をリリース、7月に無観客生配信ライブ、9月にEX THEATER ROPPONGIで有観客ライブ、さらに初のミュージカルと、コロナ禍の2020年においても精力的な活動を継続しているあゆみくりかまき。12月6日には東京・日本橋三井ホールで有観客ワンマン・ライブ「あゆみクリパまき2020」の開催も決定。2020年を締め括るライブはまさに必見だ。

【取材・文：森朋之】
【Photo by Mao Hashimoto】