レビュー

aiko | 2014.11.14

 「あたしの向こう」は、10月からスタートしたドラマ『素敵な選TAXI』の主題歌として書かれたもの。ドラマの内容を受けて、aikoが“もし自分が過去に戻れるならどこに行くだろう?”と思いながら作ったという。アップテンポなピアノ・ロック調のサウンドの中で描かれるのは、「逢って話がしたいんだ」と「あなた」に「さよなら」を切りだされる別れのシーン。戻りたい過去が、とびきり楽しかったあの日ではなく、やっぱり忘れられない最後のあの日、なのが何ともaikoらしい。〈ドラマみたいに遡って本当のこと 話せたらいいけどそんなの無理だよね〉なんて歌詞も、切なすぎる!!しかし、そんな切なさも、やっぱり変えることが出来ない過去の痛みも、全部抱えたままで前に進もうとするエネルギーが、この曲に躍動感と爽快感を添えている。あなたはあたしの向こうを見ていて、あたしはあなたの向こうを見ている――そんなすれ違う視線をまざまざと描きながら、どうしようもない現実に目をそむけず、全力で明日を迎えに行くような歌を歌うのが今のaikoなのである。

 カップリングには、壊れたドライヤーで髪を乾かしている時に考えた大切なことを歌にしたという「ドライヤー」を収録。生活の中で、まるで間違い探しみたいに次々と浮かび上がる「あなた」の不在。aikoの恋愛ソングは、この誰かの「不在」が歌われていることが多いからこそ、どうしようもない切なさを帯びていることが多いのだが、この「ドライヤー」も、そんな不在ソングの真骨頂ではないだろうか。メランコリックなギターのリフと、〈側に居ても寂しかったのに〉という極めつけの名フレーズで完成する。そんな、心をギュッと締め付けるようなナンバーが2曲続いた後は、ちょっぴり甘くくすぐったいような3曲目のラブソング「ハレーション」を柔らかなサウンドと共に閉じ込めた今回のシングル。アレンジャーも1曲目から、OSTER project、川嶋可能、吉俣良と異なる作家がクレジットされており、aikoとしては、そういう意味でも変化と挑戦のシングルとも言えよう。この冬、じっくりと聴きたい1枚だ。

【文・上野三樹】

tag一覧 シングル 女性ボーカル aiko

リリース情報

あたしの向こう(初回限定仕様)

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あたしの向こう(初回限定仕様)

発売日: 2014年11月12日

価格: ¥ 1,200(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

1. あたしの向こう
2. ドライヤー
3. ハレーション
4. あたしの向こう (instrumental)

<仕様>
初回限定仕様盤:カラートレイ&初回限定ブックレット

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