オリジナル4作目となるニューアルバム『YOU』は、聴き応え充分の13曲入り。「この夜を止めてよ」などの大ヒットシングルも含まれていて、耳なじみのよいアルバムだ。
　Jeff Miyaharaや島田昌典、亀田誠治などシーンで大活躍中のトップ・プロデューサーたちを迎えてのアルバム作りは、JUJUが彼らに多彩なイマジネーションを与える優れたボーカリストであることを証明している。
　中でも聴きモノはリズムが楽しい「Memories」や、ギターのシンプルなバックで歌う渾身のバラード「ANTIQUE」だ。そうしたアルバムならではの世界観の広がりについて、JUJUにきいてみた。

EMTG：3rdアルバム『JUJU』、大ヒット・カヴァーアルバム『Request』の次ということで、周囲 の期待も大きかったと思うんですけど、プレッシャーはなかったですか？

JUJU：ないですね（笑）。プレッシャーは毎回ないですよ。そもそも期待されてるのも伝わってこないですもん。

EMTG：周りがえらい！(笑)。

JUJU：失礼な(笑)。でも感謝してます。

EMTG：どんなアルバムにしようと思って作ったんですか？

JUJU：ついつい一緒に歌いたくなるアルバムにしたかったんですよ。よく、「聴いていて、自分が歌っているような気持ちになります」っていう手紙をいただくんですが、今回は本当に一緒に歌って欲しかった。それも、男の人でも女の人でも。ドライバーさんが、♪愛してる?♪なんて歌ってたらステキじゃないですか。

EMTG：あはは、確かに。

JUJU：ついつい口から出てしまう鼻歌たちで、アルバムを構成したかったんです。

EMTG：それにしても1曲目が「この夜を止めてよ」で、2曲目が「さよならの代わりに」って、“声フェチ” にはたまらないオープニングだね。

JUJU：そうですか(笑)。この2曲で「この曲が入ってるんだ！　この人のアルバムね！」って分かってほしかったのと、一人の主人公がいろんな思いをするっていう構成のアルバムだから、まず“ままならない思い”の歌から始めたかったんです。

EMTG：なるほど。全体にポップな曲が多いけど、僕は「Memories」とかも好きだな。

JUJU：全部、シングル曲に聴こえるといいなとは思ってたんですけど、アルバム曲ならではの遊びも楽しくて。この「Memories」も、シングルにはならないけど、“JUJUの今後”が見えるといいなと思って作りました。

EMTG：ラテン・テイストのサウンドが気持ちいい。

JUJU：全体にバラードが多くなりそうだったので、“泣けるアップテンポ”の曲を目指してたんですよ。

EMTG：ラテンは好きなんですか？

JUJU：ラテンは何でも好き。ブラジリアンもサルサも好きですね。ニューヨークにいた頃、お店でよくラテンがかかってたので、そのせいかもしれないな。

EMTG：それと、アコースティック・ギターのバックだけで歌うバラードの「ANTIQUE」もいいね。

JUJU：この曲、歌ってて、泣けて歌えなくなってしまって、初めての経験でした。歌ってるとき、歌詞から連想したのは、自分の両親とのことでした。1番で、思春期の自分に連れ戻されて。嫌いって言いながら、そんなことなかったり。
2番では、今、親のことを思って。生まれたときから小学生までのボロボロになったアルバムを見せてくれて、その日の出来事だけじゃなくて、匂いまで思い出せた。自分の中では親の愛情が多くなったり少なくなったりしてたけど、親はいつも同じ分量の愛情をくれていたんだなって思ったら、泣けて泣けて。
アンティークって、古くてもいいものでしょ。人間関係にもそういうものがあるなと思って、このタイトルにしました。「ぜひ一 緒に歌って」って言うのは、たとえばこの歌だったら、自分なりの物語が浮かんできたりするんですよ。実際、口に出して歌うと、ただ聴いてるだけのときと、見えてくるものが違う。あ、もちろんこの曲で恋愛のことを思ってもらってもいいんですよ。

EMTG：凄い経験だったね。

JUJU：目頭が痛くなるっていうんですか、そんな感じで。

EMTG：普通は“目頭が熱くなる”んだけどね(笑)。

JUJU：(笑)両親は二人ともピンピンしてるじゃんって思いながら、それでも泣いて歌ってましたね。

EMTG：(笑)アルバムのラストに「YOU」を置いたのは？

JUJU：これを最後にすることで、ラブソングにも聴こえるけど、このアルバムを手にした“あなた”へっていう意味もかぶせられることができたらいいなと思って。

EMTG：そして8月からツアーが始まる。

JUJU：今までよりも“1対1”の関係がより明確になるライブにしたいなと思ってます。しゃべるのも好きですから、皆さんと楽しく会話のできるMCが出来ればいいなと思ってます！！　もちろん歌も、会場に来てくださった全員と向き合って歌いたいと思っていますので、楽しみにしていてくださいね。

EMTG：ありがとうございました。

【取材・文 平山雄一】