自由な音作りの1stフルアルバムに見る、Track’s徹底解剖的インタビュー!

Track’s | 2020.06.29

 THE NINTH APOLLO所属の3ピースバンド・Track’sが、5月20日に1stフルアルバム『Inside Outside』をリリースした。Track’sといえば、2ビートに乗って爆速で駆け抜けていくバンドだという印象が強かったが、今作のリード曲のひとつであるミドルチューン「Winter I feel blue」を聴いて、その変化に驚いた。とはいえ、それはあくまで「単純に自分たちがそういうモードだったから」という至極明快な理由で生まれた変化であり、「ここらで変化をつけてみるか!」というような魂胆はない。では今、バンドはどういうモードなのか? そして、これからどういうバンドになろうとしているのか?――今作についてはもちろん、「Track’sとは?」を知るべく根掘り葉掘り訊かせてもらった。

――3人は、もともとどういう音楽を聴いてきました?
大村隼太(Dr/Cho):最初は兄ちゃんのiPodに入ってたTHE BLUE HEARTSやB’z、ポルノグラフィティを聴いてて、ロックを好んで聴いてたというわけではないんすけど、思い返せばその中にASIAN KUNG-FU GENERATIONやRADWIMPS、マキシマム ザ ホルモンも入ってたなぁってくらいですね。好んで聴いてたのは嵐ですかね。
生田楊之介(Vo/Gt):昔、子供会のときにさ、バスの中でイヤホン分けて「嵐は最高だな!」とか言いながら聴いてたよね(笑)。
大村:あー、あったな。懐かしい(笑)。で、そのあとにロックを聴き始めて、最初に行ったライブはONE OK ROCKでした。その頃辺りからベタにRed Hot Chili PeppersとかSUM41とかを聴いてましたね。
生田:俺も昔は隼太とそういう音楽を聴いてたりしてました。ELLEGARDENもそうだし。
内田優貴(Ba/Cho):最初は兄ちゃんの影響で、ONE OK ROCK、UVERworld、DIR EN GREYとか聴いてました。
――今はどういう音楽を聴いています?
大村:今は1周戻ってポップパンクをめちゃくちゃ聴いてるっすね。ポップ寄りというよりかはスタジアムロック寄りのポップパンクというか、シンプルなビートで、みたいな。最近はFoo Fightersを聴いてますね。
生田:Spotifyで「あなたがいちばん聴いたアーティスト」のリストが上がるじゃないですか? あれだと、1位はThe 1975です。でもそれは一時期「Chocolate」にハマって聴いてたからだと思うんですけどね。

内田:最近はシティポップというか、そういう感じの音楽を聴いてます。
――3人が今聴いている音楽って、結構バラバラなんですね。もともとロックやパンクサウンドを聴いていたけど、趣向が変わってきている時期でもあるんですかね。
生田:昔はパンクしか聴いてなかったですけど、今も聴きますよ。やっぱりいちばん好きな音楽だなって思うし、自分がやるならコレだなと。New Found Gloryが最近出した曲、最高だったよな。
大村:あれは最高だったね! めちゃくちゃ良かった。

――やっぱり根っこにあるのはパンクなんですね。
生田:そうっすね。俺と隼太は毎年PUNKSPRINGに一緒に行ってましたからね。
大村:WANIMAがブチ上がっていく様を見てましたよ。
――ここに立ちたいって思いました?
大村:思いましたね。My Hair is Badの日本武道館を観に行ったときも、ここでやりたいと思いました。
――もともとどういうモチベーションでバンドをしていたんですか? 大きくなりたいという願望を持ってました? ライブハウスで遊べていたら良かった?
大村:うーん、どっちでもなかったかもしれないっすね。初期のほうは、バンドをやるなかでできる友達や先輩と遊ぶのが面白かったんで、どっちかというとバンドはツールとして楽しんでた気はします。
生田:周りが刺激的だったしね。磐田の先輩が最高だったな。
大村:静岡に、偏屈なじいさんがひとりでやってるボロいスタジオがあったんですよ。そこに行き始めるようになってから、演奏のことやバンドのことをちゃんと考えるようになりましたね。中3とか高1くらいのときです。
生田:そうだね。あのスタジオにはめちゃくちゃ感謝してます。
――その意識変化があったからこそ、2017年にTHE NINTH APOLLOに入ったというのもあるんでしょうね。
生田:オープニングアクトの機会を与えてもらえるようになってから、っていうのがデカいですね。あててもらった先輩から「昔は俺たちもあててもらってて、今がある」っていう話を聞いたりして、高校生ながらバンドを真面目にやったらおもろいかもなと思ったんです。でも、所属できたときは単純に「やったー!」って感じでしたね。
大村:22歳くらいまでにCDを出せなかったらバンドをやめようかと思ってましたけど、ラッキーでしたね。
――やめるどころか、無事に1stフルアルバムを出せましたね。初のフルアルバムということで、ミニアルバムの制作との違いはありました?
生田:単純に大変っすね。
――曲は生田さんと大村さんが作っているんですか?
生田:主にはそうですね。
大村:初期の頃はメンバー4人だったんですけど、その頃は全員で作ってましたね。1回優貴が、Rage Against the Machineみたいなベースのリフを持ってきたこともありましたね。
内田:(笑)。
生田:あったあった!(笑)。
――内田さんは、自分で曲を書いてみたいと思ったりするんですか?
内田:願望はあるんですけどね。携帯に音を録音できる機材があって、今それを買おうかと思って金貯めてます。
――おお! いいですね。次作が楽しみ。
大村:もしかしたら全曲ベース始まりかもしれないっす。
生田:いや、ないな(笑)。
――おふたりは、作曲に対して長考するか速攻で作れるかだったらどちらのタイプですか?
大村:どっちもっすね。ほかのバンドのインタビューを読むと「パっとできた曲のほうがいい曲が多いんですよね」とか書いてあることが多いじゃないっすか? そんなことはないですね、俺らは。
生田:今回は結構時間かかったよね?
大村:時間かかったなあ。気持ちいいフレーズは速攻出来上がったりするんですけど、終わらせ方がわからなかったりして。
生田:今回はアコギを使った「Oncoming cars」がいちばん時間かかったね。録るってなったら一瞬だったけど、形になるまでは時間がかかりましたね。
――今作はリード曲「Winter I feel blue」を筆頭に、今までよりも緩さを感じられる作品だと思ったのですが、あらかじめコンセプトを決めていたんですか?

生田:うーん、今やりたいことをやったらそうなっちゃったっていう感じですね。
――今までは初っ端から最後までトップギア的な作風だったと思うんですけど、自分たちのやりたいことだったとはいえ、その変化に戸惑いはなかったんですか?
生田:すんなりではなかったですかね。俺が速くしたいと思ったところもあったんですけど、隼太が持ってきた案に対して「それもいいな」と思いながら作っていったので、妥協した曲はないですね。隼太はあるんだろうけど。
大村:うーん、でも2ビートでいきたいって曲は本当に2ビートしかしてないですけどね。
内田:俺も戸惑いはなかったですね。いいなと思ってすんなり受け入れてます。
――ベースを作り上げていくうえでの葛藤や、挑戦したことはありました?
内田:葛藤かあ……。
大村:あ、たぶん「葛藤」っていう言葉の意味がわかってないんだと思います。
生田:(笑)。
内田:わかるわ(笑)。でも、普通のリズムでも「どう弾けばいいのか?」とか、隼太のビートに合うような弾き方を考えなきゃいけないなって思うようになりましたね。まあ、考えなきゃいけないと言いつつ、でも楽しかったっすね。
――人から「Track’sにポップパンク色が出てきた」と言われる機会も多くなったと思うんですけど、そう言われることについて感じたことはありますか?
生田:いや、そんなには気にならなかったですね。聴いてくれた人が好きに思ってくれたらいいというか。
――「メロディックパンク」というジャンルでバンドを括られることについて、窮屈に思うことはあります?
大村:うーーん……まぁ、ないことはないかもっすね。
生田:「そもそも俺たちはパンクなのか?」とは思いますね、人間性的に――(画面越しに変顔をする大村に対して)おい、発言してるのがバカらしくなるからその顔やめろ!(笑)。
大村:(真顔に戻り)たまにヒップホップが大好きな友達と話したりすると、生き方から尊敬したりするんですよ。でも俺ら万引きしたこともないし、なにくそ根性でもないし、生き方までパンクを模倣してるわけじゃないですし。どっちかというと、俺たちの人間性はサーフミュージックやレゲエを好きな人に近いのかもしれないです。
生田:うん、そうだね。思想的にね。
――それは3人とも?
生田:そうっすね。そんなガツガツした3人じゃないなとは思います。だから、パンクではないと思うんですよね。
大村:でも、ジャンルの話で言えば、この前コーラを飲んでたときに、ふと「コーラみたいなバンドをやりたいな」と思ったんですよ。ガツンと炭酸くるみたいな、アルバムを全曲通して聴けないんだけど、最初から爆速で一気にグワッ!と刺激がくるようなバンドがやりたくて。音が優しくてゆったりとした音楽は大好きだし、そういう曲があったらいいなとは思いますけど、そっちにがっつりシフトチェンジしてくのはまだいいかなと思いますね。
生田:それは俺もだな。
大村:だから、ジャンル=コーラで!
生田:ちょっと歪ませてドカーン!と音出したいし、難しいこともしたくないし、結果それしかできないよね。
大村:そうなんだよね。あとは、クソガキというか、若いってことが直接バンドとしての良さになるんだなと思いましたね。最近、経歴があるパンクバンドのライブ映像を観てたんですけど、かっこいいと思う理由が、縦がハマってることとか技量があるっていう意味でうまいからなんですよ。そこに爽やかさはないというか。俺たちは若いって言われてはいたけど、本当にそうなのかもしれないな、とは思いましたね。だから、“コーラバンド”としては、年齢もひとつの魅力として戦えるジャンルでやっていきたいなと。
生田:たしかにな。もともと俺が歌いたいって思ったのは、blink-182の初期のライブ映像で、とんでもなくミスったりキーをそんなに意識してなかったりする歌い方を観て、それでもいいなら俺もやってみようと思ったのがきっかけだったんで。やっぱりそういう若い感じが好きなんでしょうね。
――若いバンドと言われることに抵抗はありました?
生田:最初の1年くらいはそう思ってました。
大村:いや、俺はラッキーって思ってました。
内田:俺も、「たしかに若いっすよね」って思うくらいでしたね。
――同年代のバンドや、今の若手バンドが活躍しているシーンについて、感じていることはあります?
大村:俺はあんまりメロコアを聴かないので、今いるシーンの音楽を聴くかって言われたらどうなのかな?ってところはあるんですけど。ライブのスタンスも、俺らは熱くないというか、喜怒哀楽で言えば「楽」の感情を前面に出してるので、同年代のバンドとは普通に話すことのほうが多いですかね。逆に、シーンがまったく違うバンドというか、もっと経験を積んだ先輩バンドとライブをやらせてもらったときのほうが、1回1回考えさせられますね。というか、そもそも同年代がいないんですよ。ギリSIX LOUNGEかな?とは思ってますけど。そういうバンドって、仲はいいけど一緒にライブをする機会がマジで少ないんですよね。
生田:でも、仲いい友達がやってるからいいっていうのもあるよね。友達が音楽やってるのが最高だ!みたいな。普段から友達のバンドの曲を聴いてるわけじゃないんですけど、ライブで久しぶりに会って、お互いライブも最高で、打ち上げも楽しみ!っていうのが、同年代バンドとの関係の良さだなと思いますね。
――なるほど。ここらでアルバムの話に戻ると、歌詞に関しては、楊之介さんが全曲担当しているとのことで、例えば「Winter I Feel blue」の《I don’t want to hurt you anymore.》の意訳を「僕は結局逃げている。」にしている辺り、面白い感性だなと思いました。
生田:今回は全部自分で書いてみようと思って、英訳を頼むんじゃなくて、自力で英語で書いたんですよ。直してもらったりはしたんですけど。だからちょっと特殊ですね。なんとなくこういう意訳ができたらいいかなーって思いながら最初に英訳を書いてって、アルバム収録曲が揃って歌詞を提出するときに意訳を考えたから、そもそもどういう意訳にしたかったのかを忘れてることが多くて。結構わけわかんなくなっちゃいました(笑)。メロディが先にあって、その音に詞を乗っけた感覚なので、メッセージ性は全然なくて、なんか日記みたいな感じになっちゃってますね。
――自分で英詞を書こうと思ったのはどうしてですか?
生田:メロディが降ってきたときに、口触りのいい単語というか使いたい単語がすでにあって、それを全部詰め込んでみたらどうなるんだろう?と思ったからですね。歌いやすくなった部分もあったんですけど、四角くなっちゃう部分もあるなぁと思いました。でもそれも、やってみなきゃわかんないことでしたし、もがきながらでもやってみて良かったです。英語勉強しなきゃなと思いましたね。
――じゃあ最後に、今作の曲で自分たちがいちばん好きな楽曲を選ぶとしたらどれですか?
生田:1曲目から4曲目までの流れがめっちゃ好きですね。この曲順のままライブしたい。
大村:うーん、3曲目の「Circle」っすかね。流れもシンプルで気持ちいいし、無駄がないし。ザ・Track’sっていう曲になったなと思います。
内田:俺は最後の「Maybe」ですね。
――ミディアムチューンで締め括るっていうのがいいですよね。
大村:あの曲は、3人とも演奏がいちばんうまいと思いますよ。
生田:俺、ミュートにいちばん時間かかったけどね。でも、それもあったんですよね。歌詞もそうだし、楽器もいろんなリズムが入ってきたり、アルペジオが増えたり、ミュートすることも増えたんで、自分の課題と向き合えました。それが今作は楽しかったです。
大村:俺もありましたね。でもこのアルバムって、レコーディングに8ヵ月くらいかかってるんですよ。曲が出来なかったんで。だから、最初のほうにできなかった課題が、最後のほうになったらできてるって言われたときはうれしかったっすね。耳がいい人は「この曲とこの曲だったら、こっちのほうが3人ともうまいな」っていうのがわかると思うんで、バンドの成長を垣間見えるっていう部分も楽しんでもらえたらなと思います。

【取材・文:峯岸利恵】

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リリース情報

Inside Outside

Inside Outside

2020年05月20日

THE NINTH APOLLO

01.Open
02.Nothing
03.Circle
04.Winter I feel blue
05.Purpose of life
06.From today
07.CampMagic
08.Oncoming cars
09.Echo
10.Workday
11.Maybe

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■マイ検索ワード

生田楊之介(Vo/Gt)
ブリトニー 使い方
先輩がストーリーでなんか楽しそうな動画を上げてて、それに「めっちゃ行きたいっす」みたいなコメントしたら、「ブリトニーな感じよ?」って返信が来たんですよ。昔、浜田ブリトニーとかいたじゃないですか、だからスラングとか意味があるのかなと思って、とりあえず考えてるスタンプで流して、意味を調べたんですよ。そしたら出てこなかったです。知ってる人いたら教えてください(笑)。

内田優貴(Ba/Cho)
ハンバーグ 作り方
1日休みの日があって、親に「料理を作ってくれ」って言われて、それで調べたっすね。

大村隼太(Dr/Cho)
エアコン フィルター掃除
フィルター掃除の営業の仕事を始めるかもしれなくて。訪問販売で。最近誘われて、一応調べとこうと思って調べたっす。やるとしても、金髪のまま営業しますよ(笑)。



■ライブ情報

Track’s “Inside Outside” TOUR 2020
09/11(金)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
09/19(土)埼玉・越谷EASYGOINGS
09/20(日)茨城・水戸LIGHT HOUSE
09/22(火・祝)千葉・LOOK
09/27(日)広島・ALMIGHTY
10/13(火)兵庫・神戸太陽と虎
10/15(木)岐阜・柳ヶ瀬ants
10/17(土)石川・金沢vanvanV4
10/18(日)新潟・CLUB RIVERST
10/20(火)東京・八王子RIPS
10/29(木)福岡・Queblick
10/31(土)大分・club SPOT
11/01(日)鹿児島・SR HALL
11/04(水)高知・X-pt.
11/05(木)香川・高松TOONICE
11/07(土)岡山・CRAZYMAMA 2nd Room
11/08(日)京都・MUSE
11/14(土)宮城・仙台FLYING SON
11/15(日)栃木・宇都宮HELLO DOLLU
11/20(金)長野・松本ALECX
11/21(土)山梨・甲府KAZOO HALL
12/04(金)東京・恵比寿LIQUIDROOM (TOUR FINAL)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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