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version21.1、2010年代の音楽シーンはここから始まる

version21.1 | 2012.02.23

 「2010年代の音楽シーンを担うであろうバンド」を集めて2009年から行われている『version21.1』は、今回でいよいよ『fourth』。横浜アリーナ公演は、屋外がまだ明るい13時過ぎに開演した。早くもたくさんの観客で埋まった場内が突然暗転。巨大なミラーボールが回転し、沸き起こった手拍子。最初に登場したのはthe telephones。「昼間から踊ろうぜ!アー・ユー・ディスコ?」、石毛輝が呼びかけたのを合図に「Urban Disco」がスタート。最新シングルの曲「D.E.N.W.A」が披露されたり、お馴染みの「A.B.C.DISCO」では大合唱が起こったり、「Love&DISCO」が激しくフロアを揺らすなど、バンドも観客も全開で盛り上がっていた。「このイベントの最初の年は新木場スタジオコーストだったんだけど、チケットが売り切れなかったんです。でも、4年かけて横浜アリーナ。みんなセンスがいい!」、熱気に包まれた場内を眺めながら、石毛は感慨深そうに語っていた。

 2番目に登場したのはandymori。言葉を溢れ返らせるように歌い、心地よいスピード感で駆け抜けた「everything is my guitar」を皮切りに、絶妙なグルーヴが観客を巻き込む様が壮観であった。リリース前の最新アルバムの収録曲「ベースマン」「クラブナイト」「愛してやまない音楽を」も披露された。「こんなに大きなところへ呼んでくれてありがとうございます。音楽を愛するみんなのために歌います」と小山田壮平が語ってから演奏された「愛してやまない音楽を」は、ピースフルな一体感で観客を揺らした。演奏を終え、ステージを後にする3人に向けて届けられた観客の拍手は、実に温かいものであった。

 サウンドチェックの段階で「I’m In Love With You」を全力で演奏するというフライングを経てスタートしたTHE BAWDIES。正式な1曲目「A NEW DAY IS COMIN’」を演奏した後、「実は今年、初ライブなんです。だから明けましておめでとうございます。遅すぎますか?」とROYが語り、2曲目「IT’S TOO LATE」へ。次の曲のタイトルと絶妙に関連付けながら時折放たれるMCが実に楽しい。とびっきりのロックンロールを連発し、辿り着いたラストナンバーは「KEEP ON ROCKIN’」。曲の途中で「それぞれのロックンロールを叫んでください!」とROYが観客に呼びかけ、交わされたコール&レスポンスが盛り上がりを加速!圧倒的な熱気と共に締め括られた。

 生ドラムを交えた臨場感溢れるプレイで観客を踊らせた前田博章のDJタイムを経て9mm Parabellum Bulletが登場。「Living Dying Message」がスタートすると、爆音、シャープなビート、ドラマチックなメロディに誘われて、観客は激しい手拍子をしながら身体を揺らした。起伏に富んだ展開を辿りながらダイナミックにアンサンブルを広げた「カモメ」。大合唱を呼び起こした「新しい光」。爆発的なクライマックスを迎えた「Discommunication」から間髪入れず幕開けた「Black Market Blues」を彩った凄まじいオイオイコールなど。観客も9mmの4人に負けないくらいにアグレッシヴなエネルギーを放っていた。全開の爆音による「Punishment」で彼らのステージが終了した後も、暫くの間、濃密な熱気が場内に渦巻いていた。

 逆光気味の青と赤のライティングを基調とした幻想的なステージ上からORGE YOU ASSHOLEが届けた1曲目は「ロープ」。スモークもゆっくりと漂う中、残響を利かせたサウンドが広がる。大勢の観客達が固唾を呑みつつサウンドに深く引き込まれていく様子が、とても神秘的であった。静と動を絶妙に交えながら、じっくりと展開を遂げる様にワクワクさせられた「フェンスのある家」など、精緻なアンサンブルを堪能させてくれるナンバーが続いた。圧巻だったのはオープニングナンバーを、さらにドラマチックに発展させた「ロープ(Long ver.)」。無数の起伏を経た末にバンド一丸で形成されたサウンドが、壮大なクライマックスを描き上げていた。

 そして大トリに登場したのはサカナクション。エレクトリカルな音色で彩りつつ、胸に深く迫るメロディ、開放的に踊らせるビートを奏でた彼らのステージは、まさしくこのイベントの主旨「2010年代の音楽シーンを担うバンド」であることを鮮やかに確信させてくれた。イントロの時点で歓声が上がり、凄まじい盛り上がりとなった「セントレイ」。緑色のレーザービームが飛び交う中、メンバーが横並びでステージ上に並んで機材を一斉に操作しながらサウンドを描き上げた「DocumentaRy」など、印象的だった曲は数知れない。「僕らも日常で悩みながら音楽を作っています。音楽の力とか、軽はずみなことは言えません。でも、こういうイベントができるのは、ミュージシャンとして救いです。このイベントは続けていきたいです。今後もよろしくお願いします」、アンコールの「ナイトフィッシングイズグッド」の前に語られた山口一郎のMCも忘れられない。このイベントに出演したバンドを軸に、2010年代の音楽シーンが一層刺激的になっていくことを予感させる言葉であった。

【 取材・文:田中 大 】
andymori/THE BAWDIES/9mm Parabellum Bullet【 撮影:橋本 塁 】
the telephones/OGRE YOU ASSHOLE/サカナクション/DJ前田博章【 撮影:古渓 一道 】

tag一覧 ライブ サカナクション the telephones THE BAWDIES 9mm Parabellum Bullet andymori OGRE YOU ASSHOLE DJ前田博章

セットリスト

the telephones

  1. Urban Disco
  2. sick rocks
  3. D.E.N.W.A
  4. A.B.C.DISCO
  5. SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS
  6. I Hate DISCOOOOOOO!!!
  7. White Elephant
  8. Monkey Discooooooo
  9. HABANERO
  10. we are DISCO!!!
  11. Love&DISCO

andymori

  1. everything is my guitar
  2. 革命
  3. ユートピア
  4. Sunrise&Sunset
  5. 投げKISSをあげるよ
  6. ベースマン
  7. クラブナイト
  8. 16
  9. 1984
  10. グロリアス軽トラ
  11. ベンガルトラとウィスキー
  12. Peace
  13. 愛してやまない音楽を

THE BAWDIES

  1. A NEW DAY IS COMIN’
  2. IT’S TOO LATE
  3. JUST BE COOL
  4. LOVE YOU NEED YOU
  5. ROCK ME BABY
  6. B.P.B
  7. HOT DOG
  8. YOU GOTTA DANCE
  9. KEEP ON ROCKIN’

9mm Parabellum Bullet

  1. Living Dying Message
  2. Cold Edge
  3. The Revolutionary
  4. Vampiregirl
  5. キャンドルの灯を
  6. カモメ
  7. 新しい光
  8. Discommunication
  9. Black Market Blues
  10. Punishment

OGRE YOU ASSHOLE

  1. ロープ
  2. フェンスのある家
  3. ふたつの段階
  4. バックシート
  5. ロープ(Long ver.)

サカナクション

  1. RL
  2. モノクロトウキョー
  3. セントレイ
  4. 仮面の街
  5. エンドレス
  6. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
  7. DocumentaRy
  8. ルーキー
  9. アルクアラウンド
  10. アイデンティティ
  11. ENCORE
  12. ナイトフィッシングイズグッド

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