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SEKAI NO OWARI、悪天候の中行われた『TOKYO FANTASY』は伝説的な夜となった。

SEKAI NO OWARI | 2014.10.23

 ステージの中央に堂々と聳え立つ巨大樹。太い幹と豊かに生い茂った緑色の葉っぱが目を引く。その左右には木造の小屋や時計台が建てられていて、まるで童話の世界を眺めているような気持ちになる。そんな空間に現れたのは、天狗のお面を被ったNakajin、Saori、DJ LOVE。“天狗だから楽屋にいるメンバーの声が聞こえる”という設定で、「雨だからみんな心配しているよ」などと話し合う3人のやり取りの後、まずスタートしたのはスペシャルゲスト、OWL CITYのライブだった。「Shooting Star」「Fireflies」「Good Time」などを披露した他、「TOKYO feat. SEKAI NO OWARI」ではFukaseとの共演も実現。アダム・ヤングとFukaseが交わす歌声が心地よい。観客達の間から大きな手拍子が起こっていた。

 台風が接近しているため、雨脚はどんどん強くなってきたが、集まった観客達のワクワクした表情がとても眩しい会場内。そしてスタート時間となり、スクリーンに流れたオープニング映像。ウォータースクリーンに「Welcome」という文字が浮かび上がる幻想的な演出を経て、いよいよSEKAI NO OWARIのライブがスタートした。1曲目を飾ったのは「炎と森のカーニバル」。ステージ左右の小屋の中ではミイラの格好をしたサポートバンドも演奏。ホーン、ストリングス、パーカッションを含む賑やかなサウンドが楽しい。熱い興奮の輪がみるみる内に広がっていった。

 全観客に配布されていたリストバンド「スターライトリング」が色とりどりの光を一斉に放ったり、時折スクリーン上でアニメーションが流れたり、巨大樹に様々な映像が投影されたり、DJ LOVEがダンサー達と一緒にダンスを披露する場面もあるなど、独創的な演出を隅々にまで施されたこのライブは、とにかく片時も目が離せなかった。機材が雨で濡れてしまうのを避けるため、他のメンバー以上に厳重なビニールテントに包まれている状態を指し示し、「俺だけ雨宿りしているみたいになってるけど……」と実に申し訳なさそうにボヤいたDJ LOVE。「今日、(雨で濡らして)壊していいマイクは2本だけって言われた」という裏話を明かしたFukase。2人のMCが観客の和やかな笑いを誘った後、「白昼の夢」「Love the warz」「スノーマジックファンタジー」「yume」など、会場全体にさらに溢れ返っていった多彩なサウンド。すっかり日も暮れた中、無数の光と音に包まれ続けるステージを見つめるのは、何とも言えず心地よい体験であった。

 「ずっと雨だね。こんなにみんな残ってくれて本当に嬉しいです。ここで新曲を。カモン、アダム!」とOWL CITYのアダムをステージに呼び込んだFukase。このスペシャル編成で披露されたのはOWL CITYプロデュースで制作された「Mr. Heartache」。柔らかなエレクトロサウンドを浴びながら観客達はうっとりとした表情で身体を揺らす。演奏後、「OWL CITY、デビューしてからずっと好きだったんだよ」と心底共演を喜んでいたNakajin。かけているサングラスが開閉式になっていて、普通のメガネに早変わりすることにも触れたところ、「それ、昨日も言ってたし?」とSaoriにからかわれていた。そんな微笑ましいやり取りもありつつ、「ライブでやるのは久しぶり」と言って「炎の戦士」へ。Nakajinがメインボーカルのこの曲は、耳を傾けていると心が和む。穏やかなムードが客席全体に広がっていくのを感じた。

 夜空に向かって清らかなメロディが響き渡る様がとても感動的だった「幻の命」。サウンドと絶妙にシンクロしたスターライトリングの点滅が美しい光の海を作り上げた「スターライトパレード」を経てMCタイム。「最終日になっちゃった(翌日の公演の中止が既に発表されていた)。ステージに出て、みんながいなかったらどうしようと思って……。雨の中来てくれて、本当にありがとうございます」、涙を浮かべながら感謝の気持ちを伝えた Saoriの言葉が、客席から声援を送る人々の瞳も潤ませる。そして、大合唱を呼び起こした「RPG」と「深い森」で本編は締め括られた。

 アンコールを求める観客達が歌う「スターライトパレード」に応えてステージに再登場した4人。まず新曲「Dragon Night」を演奏した後、「集まってくれてありがとう。帰り道は気をつけて。あと2曲、良かったら聴いていってください」というSaoriの言葉を挟んで、「Fight Music」も披露された。会場全体で皆の掲げたタオルが力強く回転。容赦なく降り続ける大粒の雨を吹き飛ばしそうな勢いであった。そして、「残ってくれてありがとう。すごく嬉しいです」とFukaseが言い、ラストに届けられたのは「インスタントラジオ」。飛び交うレーザー、観客達の腕でキラキラと点滅するスターライトリングの光が眩しい。終盤では客席に向かって銀テープが発射され、ステージの後方からは何発もの花火が打ち上げられた。

 全曲の演奏を終えると、ステージ上に並んだ4人。「残ってくれてありがとう!」とFukaseがメンバーを代表して改めて挨拶をすると、大きな拍手と歓声がステージに向かって届けられた。悪天候に見舞われた中で行なわれたこの日のライブ。しかし、会場に渦巻く熱気は終始ものすごかった。集まったファンは勿論、SEAKAI NO OWARIの4人にとっても、忘れられない夜となったに違いない。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Dragon Night(初回限定盤A)[CD+LIVE CD]

Dragon Night(初回限定盤A)[CD+LIVE CD]

2014年10月15日

トイズファクトリー

<CD収録曲>
1.Dragon Night
2.MAGIC
3.Love the warz - rearranged -

<LIVE CD収録内容>
炎と森のカーニバル-スターランド編-Selected LIVE CD Version A
1. スターライトパレード 2. Love the warz 3.ファンタジー 4. スノーマジックファンタジー5. Death Disco 6. 青い太陽 7. 幻の命 8. RPG 9. 炎と森のカーニバル

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セットリスト

『TOKYO FANTASY』
2014.10.5@富士急ハイランド?

  1. 炎と森のカーニバル
  2. 世界平和
  3. 虹色の戦争
  4. アースチャイルド
  5. 白昼の夢
  6. Love the warz
  7. スノーマジックファンタジー
  8. yume
  9. Death Disco
  10. Mr.Heartache
  11. 炎の戦士
  12. 幻の命
  13. スターライトパレード
  14. RPG
  15. 深い森
ENCORE
  1. Dragon Night
  2. Fight Music
  3. インスタントラジオ

お知らせ

■ライブ情報

ミュージックドラゴン LIVE 2014
2014/11/09(日)横浜アリーナ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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