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「極東ロックンロール・ハイスクール 第弍章」第37戦はサンボマスターとの対バン

氣志團 | 2014.11.10

ありそうでなかった、なさそうで実現した対バン
できっこないにおきたミラクルを愛と呼ぶんだぜ!

 氣志團のタイマン対バンGIGシリーズ『極東ロックンロールハイスクール 第弐章』第37戦は、「サンボマスター vs 氣志團 極悪さんぼ~美しくない人間たちの日々~」。1997年結成~2002年デビューの氣志團と、2000年結成~2003年デビューのサンボマスター。同じ時代、同じロックのフィールドで闘ってきた両組だが、フェスやイベント以外では意外にも初顔合わせ。個人的にもデビュー前から10年以上に渡って追い続けてきた両組だけに、ツーマンライヴ実現の喜びや感慨はひとしお! 2000年結成、山口隆(Vo&Gt)、近藤洋一(Ba)、木内泰史(Dr)による3人組日本語ロックバンド、サンボマスター。ソウルフルで暑苦しいほどに熱い歌と演奏、パフォーマンス、まくし立てるような山口の語りでライヴハウス時代からカリスマ的人気を誇っていた彼ら。2003年、氣志團とも縁の深い中年パンクバンド、オナニーマシーンとのスプリット盤『放課後の性春』でメジャーデビュー。2005年リリース「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」でその名を世に広めると、「できっこないをやらなくちゃ」、「世界をかえさせておくれよ」など、数多くのヒット曲を連発。若いファンから目の肥えた年配ロックファンまで、老若男女問わぬ広いファン層に厚い支持を受ける彼ら。この日の赤坂BLITZも性別年齢を問わぬファンが集い、開演を待ち望む。

 普段の極東と異なり、オープニングアクトが用意されていることが事前にアナウンスされていたこの日。開演時間となり、ステージに登場したのは赤いジャケット姿のMC・綾小路 翔。「氣志團万博2014出演枠争奪!? ~仁義なき前座試合~」とタイトルコールすると、「9月13~15日に開催される、「氣志團万博2014」。これより、この出演枠をかけて3組のアーティストにライヴを行っていただきます!」と、企画の趣旨を説明。氣志團万博の出場者をお客さんのアンケートによって決定するというこの企画。最初に呼び込まれたのは、今年10周年を迎える、永遠のルーキーボーイ・微熱DANJI! 星条旗のタンクトップにホットパンツ姿でステージに登場した彼ら。10周年について聞かれると、「10年中、9年はぼんやりしてました!」と爽やかな笑顔で語る。自信のほどを聞かれると、「自信がなかったらここにいません!」と星屑輝矢が力強く答え、<青春!>の掛け声が勇ましい自己紹介ソング「青春スカイライン・ファントム」で、前座試合の幕を華々しく開ける。さらに唯一の代表曲と言える「甘い目眩」でフレッシュな歌とダンスを披露し、会場を大いに沸かせた。続いての登場は、9年ぶりの復活となるI’s。2015年の未来からやってきた、謎のアーティストI’s。「未来からやって来たということは、氣志團万博の出演枠が誰になるのかも知ってるんですか?」と聞かれると、「いや~、僕じゃないことは知ってます」と明言(笑)。「自分でも、「僕は誰なんだろう?」と思ってるところです」と自分の存在自体に疑問を抱きながら披露した曲は、「この日のために作ってきた」という新曲「Let It Go~ありのままで~」。よりによって、今この曲を選ぶか? という、誰もが知ってるあの曲を大胆カバーしたI’s。力強く美しいファルセットで、ありのままの姿を見せる勇気と勇姿に笑いと拍手が起こる。3組目の登場は鹿児島から来た伝説のV系ロックバンド、Lucy~en~roulette。先日、渋谷AXで行われた、氣志團結成17周年&綾小路 翔生誕記念特別GIG「愛羅武勇」にて、活動再開した彼ら。アベル&カインの中心メンバーに、團長やゆるキャラ・かごっしーも加えた新メンバーで、メタルナンバー「The Great Satsumanian Death Rock」を披露。カインのメタルギターに、アベルのシャウトが映える! 1組終えるごとに、「サンボマスターファンはなんのこっちゃという感じですが……」と繰り返し言っていた團長だったが、この過剰ぶりこそ氣志團らしく、楽しく贅沢なオープニングアクトだった。

 そしてついに本編突入。SEにフロアから野太い掛け声が上がり、先攻・サンボマスターがステージに登場! 「お前ら、準備いいのか!? お待たせしました、サンボマスターです!!」の山口が煽りギターを鳴らすと「……あ、大丈夫でした? でっかい音でやるかも知れないけど、氣志團の皆さんのご迷惑にならないようにしますんで」と突然へりくだって笑わせ、「1曲目、キミたちと踊りたいから、この曲を練習してきましたよぉぉ!」と「青春狂騒曲」でライヴの幕を開ける。“青春”と名が付く、ロックンロールハイスクールの始まりにもピッタリのこの曲。強烈な熱を放つ歌と演奏、3人から生まれる独特のグルーヴに観客が大きく手を振り、身体を揺らす。1曲目からとんでもない盛り上がりを見せる会場を、「あ~たがたね、こんなもんじゃないでしょう!?」とさらに煽る山口。「もうね、誰のファンだろうと、どうだっていいの! 今日、ここでワッとなってくれたら、それが全てだと思うんだよぉぉぉ!!」と叫ぶと、「世界をかえさせておくれよ」~「ミラクルをキミとおこしたいんです」と、激しくダンサブルなナンバーを続けて叩き込む。来ました、本気モードのキラー・サンボマスター発動! 圧倒的テンションで飛ばし続けるサンボに応えるように、ダンスやモッシュでぐんぐん熱を上げるフロア。赤坂の中心で、サンボマスターがロックンロールを叫ぶ!! MCでは「バンドを結成した頃、氣志團がライヴハウスでブイブイ言わせてて、すげぇカッコいいなと思ってて。今日は呼んでもらって、本当に嬉しいです」と、改めて対バンの喜びを語る山口。僕は2001年頃、渋谷Lamamaで初めてサンボマスターを見た時、山口の神がかり的なギタープレイに「本物じゃねぇか!」と震えたことを思い出していた。インディーズ時代、ライヴハウスでブイブイ言わせていた氣志團の勢いは確かに凄かったが、その後のサンボマスターの勢いも相当なもの。ライヴハウスでブイブイ言わせ、一気にスターダムへと駆け上がっていくサンボマスターを、僕は「やっぱり本物はちゃんと評価されるんだ」と思いながら見守っていたのを覚えてる。打ち込みのビートとシンセサウンドで始まった「孤独とランデブー」では、ドラムの木内が学ラン姿でマイクを持ってステージ中央へ。驚く山口をよそに、<♪やがて海が見える~>と、「One Night Carnival」の一節を熱唱。フロアから黄色い歓声を受け、気分を良くした木内が「行こうぜ、ピリオドの向こうへ!」とキメると、「行けないよ!! オメェで聴きたくねぇんだよ!」と山口がツッコむ(笑)。さらに「近藤くん、どうにかして!」と山口が助けを求めると、そこには学ランを羽織った近藤の姿が(笑)。よく出来たミニコントを挟み、会場に笑顔が溢れる中で始まった「孤独とランデブー」は打ち込みのトラックに乗せたフリースタイル調の3MCで始まり、山口がメロウなパートで聴かせると、ダイナミックなバンド演奏へと展開。ライヴバンドの凄みを見せる歌と演奏、巧みな演出にフロアから惜しみない拍手が送られる。さらに、フロアからの突き上げる<愛と平和>コールで始まったのは、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。サンボマスターの名を広く世間に広めた、彼らの代表曲と言えるこの曲。息が合った強固なバンドアンサンブルと胸を鷲掴みにする力強い歌とメロディは、何度聴いても心震わされる。曲のラスト、「お前ら最高だ、お前らと一緒にいたいから、一緒に踊りたいから、こう言わせてくれ。世界はそれを愛と呼ぶんだぜぇぇーー!」と絶叫する山口に起こる拍手と歓声。興奮冷めやらぬ中、「今まで毛色が違うから一緒に出来ないと思ったかも知れないけど、俺たちは音楽があれば何でも出来るんだ」と、氣志團との対バンを実現したことへの喜びを語り、「お前ら、悔い残すんじゃねぇぞぉぉ!」と始まったラストナンバーは「できっこないをやらなくちゃ」。まさに三位一体、3人の気持ちがしっかりこもった演奏に優しく温かい山口の歌声。<あきらめないでどんな時も 君なら出来るんだどんな事も>と聴き手を全肯定し、背中を押してくれるこの曲に拳が上がり、大合唱が起きる。「みなさん、今日はありがとうございましたぁぁーー!」と山口が叫び、拍手と歓声が会場を包む中、サンボマスターのステージは終了。3人が去った後も、フロアの熱は一向に冷めることがなかった。

 続いて、後攻・氣志團のステージ。SEでメンバーがステージに登場すると、「サンボマスターに負けないくらいデッカイ声で行くぜ!」と團長が宣言し、サンボマスター同様、みんなで踊れる激しくダンサブルなナンバー「BABY BABY BABY」でGIGがスタート。いまだ熱気が残る中、ダンサブルなビートに体を揺らす観客でさらに熱気を帯びていく会場。團長が「こんなもんじゃねぇだろ?」と観客を煽りながら、気持ちいっぱいのボーカルと派手なパフォーマンスで魅了。続いて、團長の曲紹介にKissesから大きな歓声が上がったのは、GIG人気曲「鉄のハート」。亜樹良の突き上げるビートに乗せて、フロントのメンバー5人が横一列に並んで息の合った演奏を見せると、フロアは早くも最高潮の盛り上がりを見せる。来ました、こちらも本気モードのキラー・氣志團発動! MCでは、「ついにサンボマスターとの対バンです!」と嬉しそうな笑顔を見せる團長。「サンボマスターはホハヒーマヒーン(人前で語るに相応しくないバンド名のため曖昧な表現で)とのスプリットの頃から注目してて、車のステレオにもいっぱいアルバムが入ってて……さっき、すぐそばでライヴを見て、ブッ飛んだよ。凄い、本当に凄い!」とサンボマスターを大絶賛。「だって俺、あんなに喋れないもん! しかも噛まないじゃん!!」などと照れ隠ししながら、「方向は違うけど、言ってることは俺たちと一緒。みんなと一緒にやらないと、俺たち何にも出来ないから。サンボマスターが「踊ろう」って言うのと、「俺たちが「おめぇとしたい」っていうのは一緒だから!」と熱く語る。ジョークに対する微妙な反応に「知ってる? 世界はそれを失笑と呼ぶんだぜ」と返したり、團長らしく冗談を交えながらのMCの後は、「サンボマスターに「電車男」があるなら、俺たちは「極悪がんぼ」がある!」と、話題沸騰中の新曲「喧嘩上等」を披露。闘う女の勇ましさと愛らしさを表現した<カモ~ン>の振り付けが楽しいこの曲。松のメロディアスなベース、トミーの重厚なギターとランマの繊細なギターのアンサンブルなど、演奏面でも魅せ場が満載。会場中で振り付けを合わせ、賑やかに派手やかに盛り上げた後は、再び團長のMC。「すげぇ強い人たちとやってみたい、やってもらえるようなバンドになりたいと思って、この対バンシリーズをやってます。もう、生傷絶えませんから。満身創痍です」と真剣な表情で語ると、「サンボマスターのステージとか、すげぇ強ぇんだよ! でも最高に楽しいからさ、ボコボコにされても立ち向かいたいんだよ」と笑顔を魅せる。サンボマスターのライブに感じることも多かったようで、この日のMCは極東史上最長と言える約20分に及ぶ大演説! MCからも團長のサンボマスターへの愛、ロックンロールへの愛がサンボのファンにも届いたようで、「One Night Carnival」では、「大丈夫、できっこないをやりましょう! 歌声よおこれ!!」と観客を煽ると、会場中が合唱。ラスト「ゆかいな仲間たち」では明るく楽しい曲調に、フロアの観客が肩を揺らしてピースマークを掲げる、ラブ&ピースな空気の中で本編は終演した。

 アンコールの声に登場した氣志團。「ありそうでなかった、なさそうでついに実現したサンボマスターとの対バン。この二組が果たして融け合うのか、混ぜたら危険になるのか? と不安もありましたが……」と無事、本編を終えて安堵の表情を浮かべる團長だったが、サンボマスターがステージに登場すると、「いやいや、素晴らしかったですね! オシャレでね、ビックリしちゃったなぁ」とやけに軽い調子の山口に、少し拍子抜けしたような笑顔を見せる(笑)。近藤がアコースティックギターを抱え、セッションの準備をする氣志團&サンボのメンバー。「サンボマスターと何の曲をやろうかと悩んだんですが……初めて聴いた時、涙が止まらなかったこの曲です」と始まった曲は「I love you & I need you ふくしま」。氣志團の演奏に合わせてアコギを鳴らす近藤、山口&團長のツインボーカルに肩を組んでコーラスを合わせる木内&光。サビ部分では山口と團長が向かい合って顔を突き合わせながら、美しいハーモニーを聴かせる。曲が進むにつれて、観客の体を揺らしながら口ずさむ声がだんだん大きくなってきて、会場中が自然とサビを合唱する光景は本当に感動的だった。楽曲を通じて全員の気持ちがひとつになり、本当の意味で会場が一体となったあの瞬間……そう、世界はそれを愛と呼ぶんだぜ! ラストは山口&團長がジャンプを合わせてフィニッシュ。サンボと氣志團のメンバーがそれぞれ握手して肩を抱き、互いの健闘を讃え合う姿も本当に美しかった。ありそうでなかった対バンはミラクルと言える素晴らしすぎるエンディングを生み、ピースフルな雰囲気の中で幕を閉じた。

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 氣志團 サンボマスター

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お知らせ

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※詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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