ザ・クロマニヨンズの“ガンボ インフェルノ”ツアーをレポート!
ザ・クロマニヨンズ | 2015.03.23
「GUMBO INFERNO」と描かれた看板が下がった牧場の入り口のようなセットの前で、「OK,ロックンロール!」お馴染みのヒロトのかけ声で、この日もパワー全開のザ・クロマニヨンズが立ち上がった。最新作『GUMBO INFERNO』を携え昨年10月にスタートした、延べ60公演のセミ・ファイナルを迎えたSTUDIO COAST。満杯のオーディエンスを前に彼等は、このツアーのこの日でなければ見れないライヴを全力で見せてくれた。
幕開けとなった「旅立ちはネアンデルタール」「流行のクルマ」からは、レコードで聴くのを上回る逞しさや力強さが漲っていた。レコードとライヴが違って当たり前というものだが、そんな平板な比較ではなく、ライヴを経る事で曲が育つとはこういう事かと、驚くほど鮮やかに彼等は示していた。マーシーのギターが鳴れば空気が震え、コビーのベースにフロアが揺れ、カツジが腕をドラムに振り下ろす瞬間、ヒロトが叫ぶ。このツアーを私は、初盤の東京・TSUTAYA O-EASTと中盤の渋谷公会堂でも見たのだが、見るたびに印象を新たにして来た。「よう来てくれた」とヒロトが挨拶をした後の「炎」で、「もうただの友達じゃないんだ」と歌いながらヒロトは腕をフロアに差し出し見渡した。ライヴは4人だけのものではなく、出会った皆の力が曲に注ぎ込まれて行く。だから、こんなにも逞しい曲になって行くのだ。そう思ったとき、ロックンロールのマジックを見た気がした。
ヒロトがご機嫌なハープを聴かせた「ウォルターに一撃!」「ダイナマイト・ブルース」は引き締まったブルースとなり、「B&K」はアグレッシヴな一体感がバンドから溢れ出した。ツアー初盤は1コだったバスドラムが途中から以前と同じ2コになったカツジのドラムが唸った「欲望ジャック」では、ザ・クラッシュばりに格好よくヒロトはポーズをとり、「ゴー ゲバ ゴー」では拳を突き出しオーディエンスとの応酬を楽しんだ。
一息入れた後での「ルル」にまた驚かされた。レコードではブルージーな曲なのだが、ここではテンポを落としてヘヴィで硬質なロックに変貌していたのだ。ザ・クロマニヨンズでこんなことが起きるのは珍しい。渋公で見た時にはこの感じになっていたけれど、完成型をここで見せられた気がした。彼等が桁外れに長いツアーを作品毎にやり続けるのは、曲をライヴで確かめオーディエンスと共に育て、その過程を彼等は楽しむからだろうか。そんなことを考えていたら、牧場風のセットの向こうに広い草原のバックドロップが広がっていた。
「原始力自転車」「犬の夢」で力を溜めたところで「キスまでいける」で爆発し、ヒロトはTシャツを脱いで「ここからぶっとばすぞ!」と宣言。手首にタオルを結びつけ、「スパーク!」「ドードードドードー」「孤独の化身」と続けたのもウォーミング・アップだったようだ。「エイトビート」「紙飛行機」「突撃ロック」とお馴染みの曲で一気呵成に盛り上がる。歌うというより呼びかけるように歌った「ナンバーワン野郎!」ではフロアがカオスとなり、この夜の最高潮に誰もが酔いしれた。
アンコールに応えて現れたヒロトは、このツアーでお馴染みになったオーディエンスの掲げるタオルいじりを楽しんで、「俺たちが皆を楽しませようとしてるけど、皆も俺たちを楽しませようとしてくれる」と笑顔に。コーラスが痛快な「突風野郎~愛のテーマ~」、ヒロトのハープとマーシーのギターが絡む力強いブルース「底なしブルー」、そして拳のクロマニヨンズ・マークが背景を飾った「クロマニヨン・ストンプ」では、マーシーのシャウトもオーディエンスのシンガロングとひとつになって、最高のフィナーレを迎えた。全国のライヴハウスを一回りしたツアー前半戦とホールを回った後半戦を経てきたこの日のステージは、このツアーの完成型と言えたと思う。彼等は実直なまでに反復し反芻しながら確実に自分たちを鍛え脱皮し続けている。だからこそバンドが続き、飽く事なく長いツアーを続けるのだろう。改めてそんなことを思わされた味わい深いライヴだった。
【取材・文:今井智子】
【撮影:柴田恵理】
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リリース情報
GUMBO INFERNO(初回限定盤)[CD+DVD]
2014年09月24日
アリオラジャパン
1.旅立ちはネアンデルタール
2.流行のクルマ
3.ウォルターに一撃!
4.スパーク!
5.ダイナマイト・ブルース
6.ルル
7.原始力自転車
8.犬の夢
9.B&K
10.キスまでいける
11.ドードードドードー
12.孤独の化身
[DVD]
LIVE at B1F「CUTUP STUDIO」2014. 07. 24
1.タリホー
2.紙飛行機
3.ギリギリガガンガン
4.炎
5.エイトビート
6.キスまでいける
7.突風野郎~愛のテーマ~
8.グリセリン・クイーン
9.スピードとナイフ
10.雷雨決行
11.オートバイと皮ジャンパーとカレー
12.突撃ロック
13.ナンバーワン野郎!
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セットリスト
ザ・クロマニヨンズ TOUR
ガンボ インフェルノ 2014-2015
2015.3.15@STUDIO COAST
- 旅立ちはネアンデルタール
- 流行のクルマ
- 炎
- ゴーゴーゴー
- ウォルターに一撃!
- ダイナマイト・ブルース
- B&K
- 欲望ジャック
- ゴー ゲバ ゴー
- ルル
- 原始力自転車
- 犬の夢
- キスまでいける
- スパーク!
- ドードードドードー
- 孤独の化身
- エイトビート
- 紙飛行機
- 突撃ロック
- ナンバーワン野郎!
- 突風野郎~愛のテーマ~
- 底なしブルー
- クロマニヨン・ストンプ
お知らせ
ARABAKI ROCK FEST.15
2014/04/26(日)宮城県 みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。