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ストレイテナー、熱狂に包まれた全国ツアー追加公演@豊洲PIT!!

ストレイテナー | 2015.05.15

 「Behind the Scene Tourアンコール、豊洲PITファイナル!」高らかにホリエアツシ(Vo,G)が告げて始まったこのライヴは、2月に始まり台湾を含む22公演で十分に高まったバンドの熱を、一気に放出するようだった。仁王立ちしてナカヤマシンペイがドラムを叩き始め日向秀和が歪みまくったベースを鳴らし、大山純がクールにギター・リフを重ねるとホリエのヴォーカルが広いホールを突き抜ける。オープニング・ナンバーは「KILLER TUNE」。2時間を越えたライヴを振り返れば、このライヴ自体が”KILLER TUNE”と言っても良いほど休む間もなくオーディエンスを引き込み、踊らせ、曲に酔わせる流れになっていた。その中心になっていたのが言うまでもなく最新作『Behind the Scene』のナンバー。バラエティに富みながらストレイテナーの持ち味をダイレクトに伝える作品だ。ホリエが「不朽の名盤を引っさげて回って来たので、楽しんでってください」と言ったのは、その作品を携えてのツアーの手応えを十分すぎるほどに感じていたからだろう。

 待ちかねたオーディエンスが揺れた「Super Magical Illusion」でハジけ「VANDALISM」で爆発するという流れはストレイテナーの真骨頂。のっけからこんなにパワー全開でいいのかと思うほどだったが、これはまだ序の口だ。「一生、心に残るライヴにしましょう」とホリエが挨拶すると、息の合った演奏で「TRAIN」「TRAVELING GARGOYLE」と旅めいた歌を続け、ここではないどこかへと誘って行く。軽快に始まった「SCARLET STARLET」は間奏で一際熱気を帯びて、ポップな曲にエッジを効かせるストレイテナーならではの味を凝縮してみせた。

 MCでは、同じ会場で2daysは滅多にないとか、この会場の雰囲気を「フェッシー」(フェスっぽい)と言いあったりと、気取りのない話を4人で交わして和ませる。楽屋やツアーの移動中などは、こんな感じなのだろう。長いツアーの最終日を迎えた彼等にとってステージも日常の一部であると言うような和やかさを伝えていたけれど、いざ曲が始まれば瞬時に空気が引き締まる。「踊りたいですよね」と大山が呼びかけて演奏が始まると、まさに祝祭的とも言える”フェッシー”なノリが生まれ、ナカヤマと日向が互いを見合ってリズムを合わせたグルーヴィな「Yeti」に、大山とホリエのギターが絶妙だった「Wonderfornia」で存分に揺らし、「『Behind the Scene』から一番ロックな曲」とホリエ紹介した「Breaking Ground」へと畳み掛ける。赤いライトに4人が浮かび上がり、「瞬きをしない猫」のソリッドなビートが会場を包み込むと、フロアが大きく波打っているように見えた。

 「ここからは落ち着いて、心で鳴らして行こうと思って」と穏やかにホリエが言い、センターで鍵盤に向き合って歌い出したのは「シンクロ」。穏やかだがドラマチックな曲に続く「放物線」は優しくもエッジの効いた演奏を聴かせ、「彩雲」ではアコギに持ち替えたホリエが伸びやかに歌い上げた。こうした落ち着いた曲で聴かせる、控えめだが力強くタイトなアンサンブルがストレイテナーらしい。クールな緊張感をほぐすように一息入れると、4人は再びくだけたMCで和ませた。この会場のある場所は2020年の東京オリンピックに向け開発されていることから、「5年後にまたこうやってライヴできたらいいね」とホリエ。そんなことを言ったのは次の曲が「The World Record」だったからだろうか。歯切れのいいビートに乗って揺れるオーディエンスに曲の途中で「一緒に声あげようぜ!」とホリエが呼びかけると、点滅するストロボに差し出される数えきれないほどの腕が浮かび上がった。「Asshole New World!」とホリエが曲名を告げて更に演奏を加速すれば大山のギターがザクザクと空気を切り裂き、日向のベースが暴力的なまでにひずんで「Little Miss Weekend」を召還する。アグレッシヴな曲が続いて興奮が高まったところでフッと場内が闇に包まれ、奇麗なアルペジオ・ギターが流れた。終盤のピークを目前にちょっとクール・ダウンするかのように始まった曲は「Man-like Creatures」。穏やかに始まりながらジワジワと上がって行くこの曲に続いたのは「78-0」で、これもまた穏やかな曲ながら気持ちのいいリフレインが螺旋を描くように高揚させていく。弾むナカヤマのドラムと伸びやかな大山のギターが対比を描き、そこに日向のキレキレのベースとホリエのキーボードが絡み合う。この4人が作り出すアンサンブルは幻想的な美しさになり、「冬の太陽」のドラマチックなサウンドスケープへといざなった。

 曲が終わり立ち上がったナカヤマが、「この豊洲PITというハコがどういう思い出になるかは俺等次第。いい思い出になったらいいなと思ったんだけど如何ですか? みんなが来てくれるから、俺等は演奏にうつつを抜かしていられる。本当にありがとうございます」と言うと大きな歓声が起こった。そしてホリエが、TVドラマ「不便な便利屋」オープニング・テーマに書き下ろした新シングル曲「The Place Has No Name」を紹介して歌い出す。ちょっと切なく熱っぽいメロディと起伏のある展開が印象的なこの曲が終わるとホリエがメンバーを紹介し「俺たちストレイテナーといいます、いつもありがとね。最後に音楽の嵐をかけましょう」と「Melodic Storm」へ。オフマイクで歌いかけるホリエに応えるオーディエンスに「ラスト!」と叫んで「From Noon Till Dawn」に突入、最高潮の熱気渦巻くフロアにホリエは「みんな最高だぜ!」と歌いかけた。

 1stアンコールは、『Behind The Scene』の中で最も強い思いを持って作った曲」とホリエが紹介した「翌る日のピエロ」、新シングルのカップリング曲「覚醒」を丁寧に聴かせ、2ndはシンガロングで一体感を強めた「Farewell Dear Deadman」から「ROCKSTEADY」で熱いフィナーレへ。この豊洲PIT2Daysの模様を初めてのライヴCDとしてリリースすると告げたホリエたちに大きな歓声が送られたのは言うまでもない。このライヴの記録は素晴らしいものになるはずだ。

【取材・文:今井智子】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)】

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リリース情報

NO ~命の跡に咲いた花~(初回限定盤)

NO ~命の跡に咲いた花~(初回限定盤)

2015年07月15日

ユニバーサル ミュージック

・CDは2曲収録予定
・初回限定盤内容は後日発表

リリース情報

The Place Has No Name(初回限定盤)[CD+DVD]

The Place Has No Name(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年04月22日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1.The Place Has No Name
2.覚星
3.The Place Has No Name -instrumental-
4.覚星 -instrumental-

[DVD]
"Swimming City Flying Circus TOUR -2014.11.28 at SHIBUYA CLUB QUATTRO-"
1.The Novemberist
2.泳ぐ鳥
3.BLACK DYED
4.Super Magical Illusion
5.クラムボン・インザエアー
6.Wonderfornia
7.You and I
8.彩雲
9.The World Record
10.瞬きをしない猫

お知らせ

■ライブ情報

百万石音楽祭 2015 ~ミリオンロックフェスティバル~
2015/06/06(土)石川県産業展示館 3号館 4号館

tour geeks 2015
2015/06/07(日)赤坂BLITZ

the pillows presents Deadman & Lostman
2015/07/15(水)福岡 DRUM LOGOS

KESEN ROCK FESTIVAL ’15
2015/07/18(土)岩手県・種山ヶ原森林公園 種山ヶ原イベント広場 特設ステージ

OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.6
2015/07/25(土)、26(日)秋田県・男鹿市船川港内特設ステージ

Sky Jamboree 2015 ~one pray in nagasaki~
2015/08/23(日)長崎県長崎市 稲佐山公園野外ステージ

RUSH BALL 2015 feat. GREENS 25th Anniv.
2015/08/29(土)、30(日)大阪・泉大津フェニックス

BAYCAMP 2015
2015/09/05(土)川崎市東扇島東公園

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015
2015/09/26(土)、 27(日)岐阜県・中津川公園内特設ステージ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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