ACIDMAN、5度目の武道館大成功!!――“黄金の3角形”が強く命を燃やした一夜
ACIDMAN | 2015.05.17
5度目となる武道館だ。武道館の広々したステージに、メンバーが3人きり。だからロックバンドとしていちばん潔い姿が、浮き彫りになる。ACIDMANは歌メロだけを聴くバンドではない。ひとつの歌を囲んで、3人が等距離に立ち、互いの表現をぶつけ合う。武道館ではその黄金の三角形が、くっきり見える。
アリーナはオール・スタンディングになっている。すでに各ブロックにはオーディエンスがぎっしり。もちろんスタンドのオーディエンスもスタンバイしている。ステージの背後には大きなスクリーンが設置され、その上に小さなスクリーンもある。まずは小さい方にアニメーションが映し出されて、「永遠の底」からライブがスタートした。
バンドの初期からACIDMANは、映像とのコラボレーションを積極的に行なってきた。映像そのものが持つ意味はもちろん、どんなタイミングでどんな大きさの映像が流れると自分たちのメッセージが効果的に届くかを、彼らはよく知っている。今回のモチーフは、小田切佳明氏が手掛けた『有と無』のジャケット・ビジュアルがメインになっている。永遠のスパイラルを思わせるその構図は、宇宙や命をテーマにしてきたこのバンドらしいモチーフだ。ニューアルバム『有と無』からの曲をメインに、ライブは進んでいく。
「ACIDMANです。2月に始まったツアーも、あっと言う間にファイナル。ここ武道館に5 回も立てたのは、皆さんのお陰です。みんなで命のこと、世界のことを感じながら、かけがえのない1分1秒を最高のものにしましょう!」と大木伸夫(vo&g)が挨拶して始まった「EVERLIGHT」のイントロで、佐藤雅俊(b)が 「行くぜ、武道館!」と雄々しく叫ぶ。
この日、大木はオーディエンスに向かって、“命には限りがあること”を何度も伝えた。それはネガティヴな意味ではない。限りがあるからこそ、1分1秒を大切にしようという意図があってのことだ。だから「EVERLIGHT」の、♪今 溢れる声を 命と名付けに♪というフレーズが、ストレートに観客に突き刺さった。
彼らの事務所の名前の元となったナンバー「FREE STAR」(08年)と、ニューアルバムから の「EDEN」が無理なく並び立つ。「FREE STAR」ではパワフルにドラムを叩き続ける浦山一悟のコーラスが、メロディにエネルギーを与える。一方、「EDEN」ではベースの佐藤が扇動して、オーディエンスが頭上でタオルを回す。ACIDMANのライブでは見慣れない光景に、僕は少し戸惑った。だが、オーディエンスたちはとても楽しそうだ。
「今回のツアーで、謝らなければならないことがあります。ACIDMANはデビュー以来、ずっとストイックに音楽を追求してきましたが、佐藤がタオルを回して会場をドン引きさせてしまいました」と大木。謝る(?)大木自身も、実に楽しそうだ。 そしてここから一転して、本来のストイックなACIDMANモードに戻り、大スクリーンに映し出されるスリリングな映像をバックに、シャープなインスト「en」を聴かせる。このシリアスさとユーモアのギャップが、このバンドの特長でもある。
その「en」で大木はギターにループをかませて、演奏にアクセントを加える。つまりギタリストが一人なのに、ギターの音が複数聴こえるアレンジになる。しかし、それまで3人が全力の演奏をしてきたから、ループを使っても嫌味はない。たくさんの赤い炎の粒が疾走する映像と、ギターのループがあいまって、ACIDMANの核である“命の連鎖“が武道館に確かに伝わった瞬間だった。
佐藤がキーボードを弾く「2145年」も複雑なアレンジで聴かせたが、これもまた聴きごたえがあった。
ライブは佳境に入る。南米チリの砂漠に設置された天文台をテーマにした「ALMA」では、ステージ後方に8ピースのストリングスが現われ、あくまで3人を中心にしたサウンドを拡張する。続く「世界が終わる夜」でもそのままストリングスが残り、美しいハーモニーを響かせる。この日いちばんのメッセージを伝えたこの曲で、大木の頬に汗とも涙とも見える水滴が一筋流れ落ちたのだった。
本編最後はアルバム『有と無』のラストナンバー「最期の景色」。歌う前に大木は、「震災以降、自分はどんな景色を見ながら死ぬのかと考えるようになりました」と話した。ACIDMANは東日本大震災直後も活動を止めなかった、数少ないバンドのひとつだ。そうした経験を持つバンドでなければ作れない、歌えない歌をラストに持って来た大木のスピリットが、 どんな強力なライティングよりも真っ直ぐに彼らの“命”を照らしていた。
アンコールを締めたのは「Your Song」。ハッピーなロックンロールでオーディエンスを明るく送り出す。3人編成のダイナミクスと、3人以上の成果を上げたパフォーマンスで、ギター・トリオの醍醐味を満喫した武道館だった。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:藤井拓】
リリース情報
有と無(初回生産限定盤)[CD+DVD]
2014年11月19日
ユニバーサル ミュージック
1.有と無(introduction)
2.永遠の底
3.EVERLIGHT
4.Stay in my hand
5.star rain
6.EDEN
7.世界が終わる夜
8.ハレルヤ
9.en (instrumental)
10.your soul
11.黄昏の街
12.最期の景色
[DVD]
『scene of 有と無』
・EVERLIGHT(Music Video)
・EVERLIGHT ~Animation Ver.~ (Music Video)
・Stay in my hand(Music Video)
・世界が終わる夜(Music Video)
・Document2014
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※出演日は後日発表
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。