3月25日の新潟公演を皮切りに、全国のライブハウスを巡った『アーバンライブツアー2015』。本公演は4月29日に沖縄でファイナルを迎え、この日は追加公演となる幕張メッセイベントホール2 DAYS最終日。アリーナ席は勿論、スタンド席も満員となった会場内の熱気が、スタート前からものすごかった。そしてSEが流れ、メンバーたちがサポートのプレイヤー陣と共にスタンバイ。1曲目「MOTTO」のイントロが鳴り響くと、待ちわびていた観客の手拍子と歓声が怒涛の勢いで加わった。ステージに降下してきた巨大なミラーボールが放つ光の粒子がまぶしい。続いて「bird’s sorrow」。間奏で清水依与吏（Vo & G）が指揮者のように両腕を振り上げると、人々の手拍子がダイナミックに高まっていった。3曲目「青い春」は「踊れー！」という煽りの言葉により、エネルギッシュな縦ノリのダンスが巻き起こる。圧倒的な一体感に包まれたオープニングであった。

　back numberのライブを初めて観るのだという人々を意識して清水が二枚目なキャラクターを演じてみたものの、「やめよう。あとが続かない（笑）」と、案の定あっさり挫折したインターバルを経て、演奏はさらに続いた。「アップルパイ」「そのドレスちょっと待った」、新曲「SISTER」も届けられ、観客はうっとりとした表情で耳を傾ける。MCが挟まれた後、「チェックのワンピース」「春を歌にして」「エンディング」も披露され、爽やかな感動が会場一杯に広がった。そんな和気あいあいとした3人のやり取りによって和んだ空気を、一気に熱い興奮へと切り替えたのが「重なり」。「アーバンライフ」と「003」も連発され、観客の昂ぶりは止まらなかった。

　「全国ツアーでやる度に初心に戻してくれた曲です」という言葉を添えて届けられた「電車の窓から」は、とても感動的だった。「世田谷ラブストーリー」「stay with me」「ヒロイン」も披露され、聴き入る観客の瞳は潤み続ける。瑞々しいメロディを紡ぎ出しながら歩んできたback numberの足跡を鮮やかに浮き彫りにしたひと時であった。

　「来てくれてありがとう。やってよかった。俺たちは今まで通り、これはいい曲ってものだけを作って、また会いに来るから。じゃあ、踊って帰ろうか」、清水の言葉に応えた観客のダンスが会場を激しく震わせた「あとのまつり」。続いて届けられた「海岸通り」の盛り上がりもものすごかった。そして、本編ラストを飾ったのは「スーパースターになったら」。観客の間から湧き起った大合唱が猛烈に熱かった。演奏が幕切れた時、弾いていたエレキギターを床に勢いよく落として、感無量の表情を浮かべながらステージを後にした清水。小島と栗原も興奮した面持ちで、サポートのプレイヤーたちと共に去って行く。清々しい余韻が漂う中、大きな拍手が彼らに向かって送られた。

　アンコールのためにステージに戻って来たメンバーたち。清水は先ほど勢い余って落としてしまった愛用のギターを床に優しく寝かせて土下座。心配そうにコンディションを確認する姿が可愛らしい。そんな場面の後、彼はマイクに向かった。「今回のツアーではやってなかったけど、どうしてもやりたくて今回持ってきました」と観客に語りかけて「花束」がスタート。ライブで聴くこの曲の心地よさは、やはり格別であった。そして、「まだまだのバンドだけど俺らなりに目標を持って、俺らなりのやり方で、俺らなりの場所に上り詰めたいです。でも、それは会場の大きさとかではなくて。ツアーをやって思いました。人数の多さなんて関係ない。“この人たちに何ができるか？”ではなくて、“この人に何ができるか？”が重要。救えるとは思ってないけど、しんどい時に寄り添えるような曲を書けるような気がしてるので、これからも応援よろしくお願いします！　じゃあ、最後。踊って笑って帰って欲しいから」と言った後、届けられたのは「泡と羊」と「高嶺の花子さん」。夢中になって踊る人々を眺めるメンバーたちは実に嬉しそう。演奏を終えると、会場のあらゆるエリアの観客に何度もお辞儀をした清水、小島、栗原。彼らを見送る歓声がとても温かい。back numberがファンに心から愛されていることを実感させられるエンディングであった。

【取材・文：田中 大】