前へ

次へ

go!go!vanillas、満員の恵比寿リキッドルームで歓喜のロックンロールが鳴り響く

go!go!vanillas | 2015.07.06

 「帰ってきたぞ!東京ー!」。牧達弥(Vo・G)の力強い“ただいま”の声とともに、1曲目「人間讃歌」から、歓喜のロックンロールが鳴り響いたgo!go!vanillasの「バイリンガールとマザーアイランドツアー」ファイナル。全国8ヵ所で開催してきた初のワンマンツアーは全公演ソールドアウトを果たし、遂にたどり着いた恵比寿リキッドルームだ。それはバンドがツアーで得た自信と、より深まった4人の絆とを、2時間のステージで何度も感じる素晴らしいライブだった。

 オープニングに続けて「アクロス ザ ユニバーシティ」「エマ」と、バニラズのライブではお馴染みのナンバーで、いきなりフロアが大きく弾んだ。サンバのリズムを取り入れた「トロピカリア」では、長谷川プリティ敬祐(B)が「僕たちと一緒に音楽作ってくれるか!?」と叫ぶと、足踏みとクラップでお客さんが一体になる。さらに「ミスタースウィンドル」では、ジェットセイヤ(Dr)がビリビリと痺れるようなドラムソロを決めると、「俺のアクセルが止まらねーんだよっ!」と、今回のツアーを各地の名産品で振り返る“ロックンロール・ラップ”を披露。セイヤの右手にはスティックと共に北海道で手に入れた鳴子が握られ、ステージの背面には「JETT!」の文字。かっこいいやら、楽しいやら。さすがにファイナル。初っ端からメンバーのテンションも高い。

 「すげぇ、頭から湯気が出てるよ?」と牧が笑いながら、プリティに言ったのは、まだ前半のMC。その熱気を少しクールダウンさせたのは、初夏の涼しげな夕暮れを思わせる「なつのうた」だった。これが会場の空気を変えた。バニラズと言えば、メンバーが好きなロックンロールへの愛情をたっぷりと作品に注ぎ込むバンドだが、それだけじゃない。メンバーのなかでも、特にソングライティングを手がける牧はジャンルを問わず様々な音楽を聴く。それはEMTG MUSICでの連載 「go!go!music」 でも感じたが、そんなバニラズの奥深さは、ワンマンでこそより強く発揮されるのだ。「なつのうた」を聴きながら、きっとバニラズにはまだまだ開けていない引き出しもたくさんある、と改めて思った。

 「ニューエイジ」「ビッグモンスーン」といったキラーチューンを連発したあと、ツアーを振り返る和気藹々としたメンバーのMCには笑いが絶えない。牧の母親が、細身の宮川怜也(G)のために、大量の差し入れが用意されたエピソードでは、宮川が「ハイテンショーン!!」と絶叫。そのまま「ハイテンション」に雪崩込むと、メジャー1stアルバム「Magic Number」1曲目の「セルバ」へ。陽気でポジティブなロックンロールが、日常にある悲しみも痛みもまるごと包み込んでしまう。「ホラーショー」では、恵比寿リキッドルームだけにヱビスビールのテーマソング(「第三の男」)を……と思いきや、途中からキリンビールのほう(ジプシー・キングス「ヴォラーレ」)をみんなで歌う展開に。そのまま「マジック」へ繋げると、まさに魔法のようなギターリフが会場をハッピーな色に染め上げた。

 「バンドにとって曲はマイ・サン(My son)、我が息子なんです。作るときは悩むけど、完成したら感動する。それをみんなが受け止めてくれたことが嬉しいです!」と、牧が集まったお客さんへの感謝を伝えると、“我が息子”ならぬ、“嫁いだじゃじゃ馬娘”とも言うべき、ツアータイトルにもなった「バイリンガール」へ。そしてラストは、バンドにとって大切なナンバー「オリエント」で、《僕を駆り立てるここは……東京ーー!!》と、歌詞をひときわ強調して叫んだ。言いようのない昂揚感と、いよいよライブが終わるという切ない予感とが混ざり合い、全ての想いをその1曲に注ぎ込む感動的なフィナーレだった。

 アンコールでは、「みんなの顔を見ていたから、楽しい空間を一緒に作れたんだと思います」と、牧が達成感に満ちた表情で語りかけた。そして、泉谷しげるの「春夏秋冬」をバニラズらしいアレンジで披露すると、残りは2曲。疾走感溢れる「ライクアマウンテン」から、初期衝動を閉じ込めた「ティーンネイジャーズノイズ」へ。青春を象徴するようなブルーの照明に照らされ、ぐるんぐるんと腕を回して、「アァー!」と絶叫するセイヤ。最後は4人が向き合ってジャーンと音を締めくり、去り際に、怜也が「ロックンロール最高!」と叫んで、go!go!vanillas初のワンマンツアーは幕を閉じた。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル go!go!vanillas

関連記事

リリース情報

バイリンガール(初回限定盤)[CD+DVD]

バイリンガール(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年04月01日

ビクターエンタテインメント

1.バイリンガール
2.トロピカリア
3.マジック (Live at Shibuya Club Quattro 2015.1.16)
4.春夏秋冬

【初回盤限定2大特典つき】
★渋谷クラブクアトロ・ワンマンにおける初のライブ音源「マジック」をボーナス収録!
★リスナー500人とともに録音した「トロピカリア」ドキュメンタリーを含むボーナスDVDつき!

このアルバムを購入

セットリスト

バイリンガールとマザーアイランドツアー
2015.7.4@恵比寿 LIQUIDROOM

  1. 人間讃歌
  2. アクロス ザ ユニバーシティ
  3. エマ
  4. トロピカリア
  5. ミスタースウィンドル
  6. サマータイムブルー
  7. なつのうた
  8. ニューエイジ
  9. ビッグモンスーン
  10. ハイテンション
  11. 非実在少女
  12. トワイライト
  13. セルバ
  14. ホラーショー
  15. マジック
  16. バイリンガール
  17. オリエント
アンコール
  1. 春夏秋冬
  2. ライクアマウンテン
  3. ティーンネイジャーズノイズ

お知らせ

■ライブ情報

JOIN ALIVE 2015
2015/07/18(土)いわみざわ公園

HighApps TOURS 2015
2015/07/29(水)梅田 CLUB QUATTRO
2015/07/30(木)名古屋 CLUB QUATTRO
2015/08/06(木)恵比寿 LIQUIDROOM

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015
2015/08/01(土)国営ひたち海浜公園

FM802 MEET THE WORLD BEAT 2015
2015/08/08(土)万博記念公園「もみじ川芝生広場」

WILD BUNCH FEST. 2015
山口 きらら博記念公園

Sky Jamboree 2015
2015/08/23(日)長崎市 稲佐山公園野外ステージ

RUSH BALL 2015 feat. GREENS 25th Anniv.
2015/08/30(日)泉大津フェニックス

JA KYOSAI Presents RADIO BERRY ベリテンライブ2015 Special
2015/09/06(日)栃木県 井頭公園 運動広場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る