andropの全国ライブハウスツアー「one-man live tour “angstrom 0.7 pm”」恵比寿LIQUIDROOMをレポート
androp | 2015.07.20
andropがリキッドルームのステージに立つのは、実に4年半ぶり。その時は、彼らにとってまだ2回目のワンマンライブのステージだった。メンバーの名前も明かされていないにも関わらず、シーンにバンドの存在感を印象付けた強烈なライブだった。その後のandropの大活躍は言うまでもないが、それだけに“この大きさのハコ”でもう一度彼らのライブを観れるとは誰も思っていなかった。超プレミアムなチケットを手に入れたファンが、開演を今か今かと待っている。
かく言う僕は、これまでチャンスがなく、andropのライブを初めて観る。アリーナクラスを成功させたバンドのライブハウス公演は貴重だが、それ以上に、andropのキャリアの中でも重要な場所“リキッドルーム”で、彼らに初めて接することのできる幸運に感謝しながらライブに臨んだ。
僕にとって初のandropライブは、たくさんの発見があった。
まず驚いたのは、その堂々たる落ち着いたステージぶりだった。“間近で見るandrop”に大興奮のオーディエンスが、ステージ前に押し寄せる。対してandropは、序盤にしては複雑なアレンジの曲で応じる。分かりやすいリズムの曲でペースを握ろうとせず、あくまで今回の全国ライブハウスツアーのセットリストは“andropらしい音楽”にこだわっているように聴こえる。それでも「Bell」のイントロでディレイの効いたギターが鳴ると、オーディエンスは歓びの声を上げる。
「andropです!ここ、リキッドルームは2010年以来、4年半ぶりです」と内澤崇仁(vo&g)が口火を切る。佐藤拓也(g&ky)が「39本もあるツアーの15本目です。東北・北海道と回ってきて、すごい熱気でした。東京、大丈夫ですか?今日は大暴れしよっか!」と続ける。
音源を聴くと、andropのスタジオワークは非常に緻密だ。それだけに、デビューしたばかりの頃の彼らは、スタジオに比べると音場が安定しないライブハウスという場に慎重になっていたようだが、しかし今、目の前にいるandropは、ライブハウスならではの“オーディエンスとのやり取り”を思い切り楽しんでいる。前田恭介のベースから「Amanojaku」が始まると、また歓声が上がった。
このあたりから歌と演奏がさらなる会場の熱気をまとい、8曲目「Answer」でバンドのエンジンは全開に。楽曲のメロディのよさがはっきりと伝わってくる。オーディエンスの盛り上がりを受け止めつつ、自分たちのペースを崩さないことで“自分たちのライブの音”を固めていく。音楽に対する誠実さと、バンドの自信が合わさって初めて可能なやり方だ。
オーディエンスも大いに盛り上がるのだが、モッシュやダイブはせずに、肝心の所では歌に耳を傾ける。この4年半をかけて、両者は適切な距離でのコミュニケーションを育ててきたのだ。
「まだ音源になっていない曲を聴いて下さい」と内澤が言って「Hana」が始まった。伸び伸びとした歌詞とメロディを持つ曲だ。内澤のボーカルを伊藤彬彦のドラムが丁寧に後押しする。佐藤のトレモロ奏法のギターもいい。こうして新曲をライブで初披露するのも、僕には意外な発見だった。
バンドはライブでファンから受け取るものが大きい。特に長く活動していくには、コンスタントなライブ活動が重要な要素となる。andropはデビューしてからそれを学び、楽しんでいる。
「2010年のここでのライブレポがあって、“ボーカルの人の前髪が長くて、顔の全体が見えずに残念”って書いてあった。それは今も変わってません(笑)」と内澤。
「あのライブは、こういうライブにしたいよねってセットリストを決めてから、ずっと練習してたら、もう訳わかんなくなってしまって(笑)。当日はめちゃ緊張しましたよ。でも本当は、お客さんと楽しみたいと思ってました」と伊藤。
この話は、リキッドルームだからこそ聞けたのだと思う。
「次は、そのライブレポに『入りを2回、間違えた』と書かれた曲です(笑)」と内澤は4年半越しのリベンジを誓う。メンバーも「よっしゃ~!」と叫ぶ。「Traveler」は内澤のギターのアルペジオから始まった。・・・そして、痛恨のミス(爆笑)。それでも、ギア全開のandropの歌は、しっかり心に届いた。
「ちくしょう!完璧だと思ったんだけどな。油断した。曲が終わってクスクス笑われるのって、やだなー。笑」と内澤が言うと、すかさず佐藤が「またリキッド、やりましょう」とナイス・フォロー。
ここからが更に素晴らしかった。僕は最初のミニアルバム『anew』(09年)に入っていた「Te To Te」に心底感激した。
「Run」でシンガロングが起こる。よく聴くと、オーディエンスの歌うメロディに対してバンドが鳴らすコードが面白い。メロディだけとれば素直なラインなのに、それに伴うコードに工夫が凝らされている。これはかなり高度な音楽的駆け引きなのだが、それを平然と歌うオーディエンスは相当な音楽好きだ。これもデビュー以来の日々が育んだandropの財産なのだろう。
アンコールで8月にニューアルバムがリリースされることが発表されると、会場は大喜び。予定になかった「Colorful」を演奏するなど、バンドも喜びを爆発させる。andropの歴史と未来の見える、楽しいライブだった。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:RUI HASHIMOTO】
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リリース情報
androp(初回限定盤)[CD+DVD]
2015年08月05日
ワーナーミュージックジャパン
01 Yeah! Yeah! Yeah!
02 From here
03 Shout
04 Answer
05 Paranoid
06 Star
07 Dreamer
08 Alternative Summer
09 Letter
10 Corna
11 Ghost
12 Run
13 Songs
14 You Make Me
[DVD]
01 From here (studio live)
02 Paranoid (studio live)
03 Letter (studio live)
04 Yeah! Yeah! Yeah! (studio live)
このアルバムを購入
セットリスト
one-man live tour "angstrom 0.7 pm"
2015.6.2@恵比寿LIQUIDROOM
- Glider
- Lit
- Bell
- Meme
- Amanojaku
- Nam(a)e
- Halo
- Answer
- Hana(未発表曲)
- Traveler
- Rainbows
- Te To Te
- Run
- Pray
- One
- Yeah! Yeah! Yeah!
- Voice
- End roll (弾き語り)
- Boohoo
- MirrorDance
- Colorful
お知らせ
one-man live tour "androp"
2015/09/19(土)Zepp Tokyo
2015/09/20(日)Zepp Tokyo
2015/09/23(水・祝)仙台Rensa
2015/09/26(土) Zepp Sapporo
2015/10/04(日) 広島CLUB QUATTRO
2015/10/11(日) Zepp Fukuoka
2015/10/17(土)Zepp Namba
2015/10/18(日)Zepp Namba
2015/10/24(土) Zepp Nagoya
2015/10/25(日) Zepp Nagoya
チケット先行受付を実施中!
受付期間は7/26(日)23時59分まで。
EMTG会員/EMTG Liteに登録の方がご応募いただけます。
<イベント>
NUMBER SHOT 2015
2015/07/26(日)海の中道海浜公園 野外劇場
SOUND MARINA’15
2015/08/08(土)広島グリーンアリーナ
ROCK IN JAPAN FES. 2015
2015/08/09 (日)国営ひたち海浜公園
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
2015/08/14(金)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
SUMMER SONIC 2015
2015/08/15(土)東京:QVCマリンフィールド&幕張メッセ
2015/08/16(日)大阪:舞洲サマーソニック大阪特設会場
WILD BUNCH FEST. 2015
2015/08/23(日)山口きらら博記念公園
音楽と髭達2015-MUSIC STADIUM-
2015/08/29(土)HARD OFF ECO スタジアム新潟
TREASURE05X 2015
2015/09/06(日)蒲郡ラグーナビーチ(愛知県蒲郡市)
9mm Parabellum Bullet presents カオスの百年TOUR 2015
2015/10/14(水)新潟LOTS
w/9mm Parabellum Bullet
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。