前へ

次へ

THE ORAL CIGARETTESにとって忘れられない日となった初Zepp DiverCityをレポ

THE ORAL CIGARETTES | 2015.07.23

 2014年7月16日にシングル「起死回生STORY」でメジャーデビューを果たしたTHE ORAL CIGARETTES。着実にリリースを重ね、フェスやイベントで多くの観客の心をさらってきた彼らが、そのデビューから約1年後の今年7月14日、“「唇ワンマンJAPAN TOUR 2015 ~おまたせBKW!! 9ヵ所行脚でエリア拡大、改めまして『ジ』オーラルシガレッツです!の巻~」”のセミファイナル公演をZepp DiverCity TOKYOで行った。勢いに乗るバンドらしく、開演前から会場には期待と熱気がうずまく。そんな中、ライブは勢いのある「GET BACK」でスタートした。ボーカル&ギターの山中拓也も「かかってこいよ!」と煽れば、オーディエンスもモッシュで反応。「モンスターエフェクト」や「ハロウィンの余韻」など、個性的なフレーズを組み込んだアッパーチューンで、前半から飛ばしていく。4曲目には早くもライブのマストチューン「N.I.R.A」をプレイし、場内のテンションを引き上げた。しかし、その盛り上がりとは裏腹に、このあたりから山中の声がかすれ始めていく。彼らはツアーの合間にもイベントやフェスに参加していただけに、もしやハードスケジュールによるものかと思ったのだが、自体はもう少し深刻だったようだ。6曲目の「自動販売機の男」では、ついに山中はステージ上でうずくまってしまう。曲が終わると、そのまま楽屋に引き上げていった。ただならぬ気配にオーディエンスにも不安げな空気が漂う。この状況の中、口を開いたのは珍しくギターの鈴木重伸。

「Zepp DiverCity TOKYO、やっとこさ、これました。皆さんのおかげです」
ファンへ感謝の気持ちを伝えながら「実はこのツアーの前から拓也がノドを煩ってまして――」と、事態を説明。その後、しばらくはベースのあきらかにあきらとドラムの中西雅哉を交えて、ほっこりしたトークを展開。観客からの「モノマネして~!」の声を受けつつ、モノマネに応じたり、時に空気をなごませながら山中拓也の回復を待つ。いよいよメンバーも楽屋へ戻り、多くの人が“これは中断か?”という考えが頭を横切ったに違いない。しかし、場内を埋め尽くしたファンは帰ろうとしなかった。そのまま中断は30分くらい続いただろうか。待ち続ける観客の前に、ようやくメンバーが戻ってきたのである。山中は、見るからに満身創痍といった雰囲気ではあったが、しっかりと思いを語り始めた。

「みんな、ホントにゴメン! 何としてもこのステージに立ちたかったんです――あと6曲か7曲か、やれるだけやらせてください! よろしくお願いします! 聴きづらい歌かもしれんけど、一生懸命やるから! キラーチューン祭りやります!」

 この言葉に、観客からは力強い声援が飛ぶ。そこから、まさにキラーチューンの応酬が始まった。まず、圧倒的人気を誇る「大魔王参上」がプレイされると、それまでの中断がウソのように一気にライブの熱気が戻ってきた。名物、あきらかにあきらの足上げパフォーマンスも健在。続いて「mist...」、そして「どうしてもみんなに聴かせたかった新曲をやります」と「カンタンナコト」を披露。この曲はライブ・フェス会場限定&配信シングルで、タイトルから連想できるように、バンドが原点に立ち返って作った大事な曲だ。ライブはさらに熱を増し、「STARGET」や「Mr.ファントム」など、アグレッシヴなナンバーが飛び出す。デビュー曲でもある「起死回生STORY」では、山中の声は相当つらそうだったが、オーディエンスの表情は明るく、実に楽しげなモッシュが起こる。もちろんサビでは大合唱が響いて、バンドをもり立てた。まさに“起死回生”な情景に熱い感情がこみあげる。ラストは彼らが長年温めてきた名曲「エイミー」。オーディエンスは手拍子で支え、13曲でライブを完走させた。完全燃焼して立ち上がれない山中に中西が寄り添う。メンバーが楽屋に戻っても、観客はやはり帰ろうとしなかった。全員、山中が歌えないのはわかっていたが、もっとライブを楽しみたい――そんな複雑な思いが錯綜する中、再度メンバーがステージに現れた。山中は、再度感謝の言葉を観客に伝える。

「また絶対リベンジさせてもらっていいですか? もしかしたら時間がかかるかもしれんけど――」
 そして、「失ったものもあったかもしれないけど、俺は得たものの方が多かったと思います」と、力強く断言。そして、本来ならMCでじっくり伝えたかったであろう、ツアー中に感じた各地のエピソードなどを語り出す。それは、彼らのファンとの関係性を感じさせるものだった。そう、THE ORAL CIGARETTESのファンには、メンバー同様、まっすぐな人達が多いような気がする。ファンはバンドを写す鏡――などと言われることがあるが、ボロボロになっても全力でライブに立ち向かうメンバーと、それを受け止めるファン。バンド結成からこれまで、お互いが育んできたものを、この日はリアルに感じることができた。もちろん、万全な状態でのリベンジはぜひとも期待したい。1番悔しい思いをしたであろうメンバーの成長ぶりを見るのも楽しみだ。

【取材・文:海江敦士】
【撮影:Viola Kam(V’z Twinkle photography)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE ORAL CIGARETTES

リリース情報

カンタンナコト(ライブ・フェス会場限定&配信Single)

カンタンナコト(ライブ・フェス会場限定&配信Single)

2015年07月14日

A-Sketch

1. カンタンナコト
2. GET BACK (Live at Namba Hatch on April 25, 2015)

このアルバムを購入

セットリスト

唇ワンマンJAPAN TOUR 2015
~おまたせBKW!! 9ヵ所行脚でエリア拡大、改めまして『ジ』オーラルシガレッ ツです!の巻~
2015.7.14@Zepp DiverCity TOKYO

  1. GET BACK
  2. モンスターエフェクト
  3. ハロウィンの余韻
  4. N.I.R.A
  5. リメイクセンス
  6. 自動販売機の男
  7. 大魔王参上
  8. mist…
  9. カンタンナコト(新曲)
  10. STARGET
  11. Mr.ファントム
  12. 起死回生STORY
  13. エイミー

お知らせ

■ライブ情報

HighApps TOURS 2015
2015/07/29(水)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
2015/07/30(木)愛知 名古屋 CLUB QUATTRO
2015/08/06(木)東京 恵比寿 LIQUIDROOM

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015
2015/08/02(日)茨城 国営ひたち海浜公園

SUMMER SONIC 2015
2015/08/15(土)千葉 QVC マリンフィールド&幕張メッセ

Livemasters Inc. presents "LMX2015"
2015/08/20(木)東京 新木場STUDIO COAST

WILD BUNCH FEST.2015
2015/08/22(土)山口 山口きらら博記念公園

MONSTER baSH 2015
2015/08/23(日)香川  国営讃岐まんのう公園

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2015
2015/08/28(金)山梨  山中湖交流プラザ きらら

RUSH BALL 2015
2015/08/30(日)大阪 泉大津フェニックス

TREASURE05X 2015
2015/09/06(日)愛知  愛知県蒲郡ラグーナビーチ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る