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17歳の若き天才シンガーソングライター、シンリズムが見せつけた堂々たるステージ

シンリズム | 2015.08.07

 天才って、ホントにいるんだ。本気でそう思いました。

 若干17歳の若きシンガーソングライター、シンリズム。現在神戸在住の高校3年生。5月にアルバム『NEW RHYTHM』でデビューを果たし、その10代とは思えないほどハイクオリティで洗練されたポップセンスが評判を巻き起こしつつある彼が、7月から8月にかけて東名阪と福岡で1stツアー「NEW RHYTHM」を開催。その東京公演が、この日の渋谷クラブクアトロ。

 つまりこの日は、お客さんもメディアや関係者も含めて、ほとんどが彼のライブを初めて体験するタイミングだったわけだ。そのせいか、この日の終演後のフロアには「とにかくすごいものを観た!」という興奮のムードが漂っていた。

 何しろ、シンリズムは、もともと宅録で楽曲を作って発表していた人だ。マルチプレイヤーであるという情報は入ってきたけれど、あれだけ完成度の高い構築型のポップスを作り上げているわけだから、それをどれだけステージで鳴らせるのだろう、という興味もあった。簡単に言うと「お手並み拝見」というやつだ。でも、始まった途端に脱帽。度肝を抜かれた。何しろ演奏がめちゃめちゃ上手い。ステージングも堂々たるものだ。

 6人編成のバンドスタイルで登場し、まずはボサノヴァ?ブラジリアン・ジャズなインストナンバーの1曲目「喫茶aori」を披露。バックをつとめるのは名うてのプレイヤー揃いだ。高野勲(Key)、小松シゲル (Dr/NONA REEVES)、藤井謙二(Gt)、酒井由里絵(Ba)、西岡ヒデロー (Per,Tp /Conguero Tres Hoofers)という5人に囲まれ、本人は真ん中で味のあるギターソロを聴かせる。

 「はじめまして、シンリズムです」と挨拶し、続くは「処方箋」。キリンジ、山下達郎、シュガー・ベイブあたりに通じる洒脱たシティ・ポップだ。歌声もみずみずしく清涼感ある感じ。そのまま「放人主義」、そして新曲の「話をしよう」と続ける。最初はちょっと固かったステージ上の振る舞いも、曲が進むごとに、どんどんバンドと溶け合っていく。10代ということを差し置いても、デビューライブでこれだけの凄腕ミュージシャンに囲まれたら、普通は借りてきた猫のような感じになってもおかしくない。でも、凄腕のメンツとちゃんと楽器を通してミュージシャン同士の会話をしているような演奏なのである。

 といいつつ、やはり現役高校3年生なもので、MCでは「先週から夏休みが始まって」という話が挟まれたりする。小松シゲルに「レコーディングの時に英文法の教科書が置いてあって」と話をふられると、「さすがにノー勉で期末テストに臨んだらマズいじゃないですか」と返したりする。初々しく微笑ましいやりとりとのギャップもすごい。

 ほとんどの曲ではギターを弾きながら歌っていたが、実は本人が一番自信を持っているのはベースなんだとか。アルバムでは従姉妹に歌ってもらったという「カクテルの歌」では、ベースに持ち替えてグルーヴィーなプレイを見せる。「夢見るふたり」ではキーボードの前に移り、やはり達者な演奏を見せながら歌う。めまぐるしく楽器を持ち替える。

 本編ラストを飾った「心理の森」につづいて、アンコールではSHISHAMOの宮崎朝子がタンバリンを持ってコーラスに参加して「superfine」。さらにはまだタイトルも決まっていないという新曲を披露して、1時間半ほどのステージは幕を閉じる。

 あふれ出る才能をまざまざと感じる一夜でした。

【取材・文:柴 那典】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル シンリズム

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リリース情報

NEW RHYTHM

NEW RHYTHM

2015年05月20日

ANO(T)RAKS

1. 心理の森
2. superfine
3. 放人主義
4. 手のなる方へ
5. 喫茶aori
6. カクテルの歌
7. 処方箋
8. きっとなるだろう
9. 夢見る二人
10. Beautiful Sunday Morning

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お知らせ

■ライブ情報

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2015 -20th ANNIVERSARY-
2015/08/29(土)山梨 山中湖交流プラザ きらら

OTODAMA’15~音泉魂~
2015/09/05(土)大阪 泉大津フェニックス

Kidsaredead 2015 来日ツアー大阪公演
2015/10/18(日)大阪 梅田ムジカジャポニカ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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