独占レポ!! ゴスペラーズ アカペラコンサート。このコンサートへの彼らの思いとは?
ゴスペラーズ | 2015.08.10
2011年夏から始まったこのアカペラコンサート「WAVOC present 東日本大震災ボランティア支援 ゴスペラーズ アカペラコンサート」。ご存知の方も多いと思うが、WAVOCとは早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンターのこと。このセンターのボランティア活動を支援するため、ゴスペラーズは震災直後からこのコンサートを続けてきた。当初の会場は早稲田大学大隈大講堂。その後、毎年会場を変えて行き、5回目の今年は大田区民ホール アプリコでの開催。なんとソールドアウトの大盛況だったのである。
2011年当初、機材も含めあらゆるものが不足する被災地に歌を届けるには、アカペラこそが最善の方法であると身をもって知ったゴスペラーズ。だからこそ、この機会にシンガーもオーディエンスもアカペラの魅力を再認識しようじゃないかという投げかけもまたこのコンサートの重要な要素だ。若い世代にも参加してもらいたいという思いもあり、2013年からはアカペラ・グループのオーディションもスタートした。今年は初めて特設サイトを設け動画投稿による審査で、応募総数24組の中から選ばれた2組がステージに立つことになった。
オープニングからもったいぶりなしで登場したゴスペラーズ。薄いグレーのロールアップパンツに青いダブルジャケットという爽やかなマリンルックで、「♪Heyみなさま」と手拍子を煽り「Gospellers’s Theme」からスタート。続いて、これぞアカペラというべき王道の「STAND BY ME」をトライトーン、Little Glee Monsterを交えて聴かせてくれた。そのまま、オーディショングループの2組を一組ずつ呼び入れて紹介。アカペラ人としてみな同じ目線であることを表明するこの最初のラインナップは、コンサートの趣旨をよく物語っていた。
一番手はオーディションからcoiffeur。往年のバーバーショップ・スタイルを取り入れたコミカルで表情豊かなパフォーマンスにやんやの拍手が湧いた。続いたColonel Sanderzはゴスペラーズが在籍していた早稲田大学Street Corner Symphonyのドゥワップ系グループ。会場と一体化したYMCAのポップな盛り上げがとても楽しかった。
ここで再びゴスペラーズが登場。「みんな盛り上げ上手だよね」、「小金稼いでるんじゃないの?」などと2組の健闘を讃え、カバー曲パートに突入。学生時代からやっていた「真赤な太陽」は久々のフルバージョンで。酒井のヒューマンビートボックスや「小金稼いでる」に誘われて出た村上の「コガネムシ」コール&レスポンスも飛び出し、のっけから賑やかだ。「今日のMCはノープラン」と言いつつトークも炸裂。学生時代、路上でやるために安岡が訳詞をしたという「ミスター・ベースマン」、本人たちがけんかアカペラと呼ぶ「Soul Man」、そして「やさしさに包まれたなら」、「ロビンソン」と、20周年の年輪を感じるハーモニーで会場を魅了したのだった。
入れ替わりに呼び込まれたのは、今回が2度目の出演となるLittle Glee Monster(リトグリ)。「私たちがLittle Glee Monsterです。手拍子お願いします」という若さにあふれた突っ込み気味のMCを微笑ましく眺める。でも、AIの「ハピネス」、「A Whole New World」と、どんなタイプの曲がきても、一旦歌い出せばまさにプロフェッショナル。メンバーが大好きという映画『ピッチ・パーフェクト』からの「When I’m Gone」では、その昔「みかんの花咲く丘」でやったような手遊びとストンプとでリズムをとりながら歌ってくれた。これが本当に新鮮で素敵だった。十八番「Seasons of love」、そして「Jupiter」とどこまでも清々しい歌声。最後はゴスペラーズが「伴奏」を引き受けて、リトグリの一人ひとりが順番にソロをとり、名曲「オリビアを聴きながら」をキュンとせつなく奏でてくれた。
10代のリトグリからバトンを受けたのは、結成23年となるトライトーン。リーダーの多胡 淳はオリジナル・ゴスペラーズの一員だったこともあり、このコンサートには初年度からずっと参加してきている。女性メンバーの松永ちづるがリードをとるスタイルで、ステージの雰囲気はグッと変わり大人っぽい。村上と酒井が参加したYou Make Me Feel Brand New」は最高にロマンチック。ジャズの名曲「Caravan」では、本人たち曰く「レッドスネークカモン(笑)」なエキゾチック・ムード溢れるパフォーマンス。多胡の口トランペットも素晴らしかった。歌の楽しさを伝えるオリジナル・ソング「utaou-yo!」や「アカペラでゆこう」では、めいっぱい楽しく、親しみやすい雰囲気に。メリハリの効いたトータルの安定はさすがだった。
締めは再びゴスペラーズ。「永遠に-a cappella-」からオリジナルをじっくり聴かせてくれた。「新大阪」では、村上から「僕は大阪生まれで、小学校のときに大田区に転校してきたんです。東京に行きたくないという気持ちがあってね、それがこの曲の設定の元になりました」と、大田区のホールでしか飛び出しえなかった楽曲の誕生秘話も。「星屑の街」、「Love me! Love me!」に続き「終わらない世界」が始まると、「キャーッ!」と歓声が上がり、会場は一斉に総立ちに。みんなメンバーと一緒に手を空にかざして楽しんだ。最後は「いろは」。まさにアカペラの妙技といえる圧巻のパフォーマンスだった。
アンコールでは「こういう曲調好き」で“なりきりゴスペラーズ”。アカペラ好きのみなさんはもう歌う気満々で、会場は3声の素敵なハーモニーに包まれた。最後にはゴスペラーズ北山の指揮で千住 明さん作曲の「坂道のうた」。被災地の幼稚園園歌として作られた曲だという。「さかみちをのぼって あのくもをつかもう」という歌詞は、津波が来たら高いところへ逃げなさいというメッセージであると同時に希望を織り込んだ言葉でもある。“WAVOCで歌い継いでゆくべき曲”としてこの美しい曲を最後に全員で歌ってくれたことで、このコンサートの意味が再確認できた。声だけで奏でられる和声。その温もりはダイレクトに心に響くのだなと。
【取材・文:藤井美保】
【撮影:EMTG MUSIC編集部】
■これまでのヒストリーが見られる
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リリース情報
セットリスト
WAVOC presents 東日本大震災ボランティア支援
ゴスペラーズ アカペラコンサート
2015.8.1@大田区民ホール アプリコ
-ゴスペラーズ~オールキャスト-
- Gospeller’s Theme~STAND BY ME
-coiffeur-
- Sing, Sing, Sing
- Cruella De Vil
-Colonel Sanderz-
- I want you to stay
- Y.M.C.A
-ゴスペラーズ-
- 真赤な太陽
- ミスター・ベースマン
- Soul Man
- やさしさに包まれたなら
- ロビンソン
-Little Glee Monster-
- ハピネス
- A Whole New World
- Pitch Perfect’s“When I’m Gone”
- Seasons of love
- Jupiter
- オリビアを聞きながら(withゴスペラーズ)
-トライトーン-
- utaou-yo!
- Caravan
- You Make Me Feel Brand New(with村上てつや、酒井雄二)
- The Water Is Wide ~広い河の岸辺~
- アカペラでゆこう
-ゴスペラーズ-
- 永遠(とわ)に-a cappella-
- 新大阪
- 星屑の街
- Love me! Love me!
- 終わらない世界
- いろは
ENCORE
-
-ゴスペラーズ-
- こういう曲調好き
- 坂道のうた
-オールキャスト-
お知らせ
ゴスペラーズ LIVE at NAGOYA Blue Note
2015/08/19(水)名古屋ブルーノート
ゴスペラーズ LIVE at Billboard Live OSAKA
2015/08/20(木)Billboard Live OSAKA
ゴスペラーズ LIVE at Billboard Live TOKYO
2015/08/24(月)Billboard Live TOKYO
2015/08/25(火)Billboard Live TOKYO
SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2015
2015/09/12(土)東京国際フォーラム ホールA
2015/09/13(日)東京国際フォーラム ホールA
安岡 優 ソロツアー“バラードが聴こえる”
2015/10/20(火)東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
2015/10/21(水)東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
2015/10/24(土)Billboard Live OSAKA
2015/10/25(日)名古屋ブルーノート
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015 “LOVE LIVES”
~Casual Style~
2015/11/07(土)福岡・Gate’s 7
2015/11/08(日)広島・クラブクアトロ
2015/11/12(木)札幌ペニーレーン24
2015/11/13(金)仙台・darwin
黒沢 薫 LIVE TOUR 2015 “LOVE LIVES”
~Urban Style~
2015/11/21(土)Billboard Live OSAKA
2015/11/22(日)名古屋ブルーノート
2015/11/28(土)Billboard Live TOKYO
2015/11/29(日)Billboard Live TOKYO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。