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RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO ライブレポート

ABEDON+OT (fromユニコーン) | 2015.09.10

2015.08.14(金)【ABEDON+OT (fromユニコーン)】

 今年の夏のユニコーンは、ドラムの川西幸一の体調不良というアクシデントに見舞われ、フェスの出演を断念せざるを得なかった。代わってステージに立ったのは“ABEDON+OT”。サポート・メンバーは斎藤有太、八熊慎一、木内健の3人。早い話がソロのABEDONのバンドと同じメンバーなのだが、ABEDON+OTのクレジットは伊達じゃない。ユニコーンのピンチヒッターにふさわしいセットリストとパファーマンスを自らに課していた。

「今年の夏フェスのお客さんの顔を見てると、『せっかくユニコーンを楽しみにフェスに来たのに』っていう残念そうな表情が多いんですよ。それに応えなきゃっていう気持ちが、どんどん強くなってきて」と、開演前のバックヤードでABEDONは珍しく強い口調で話してくれた。気心の知れたメンバーに囲まれてリラックスしてはいるものの、オーディエンスに誠実なABEDONは少なからずプレッシャーを感じているようだった。

 RSR2015の初日。まだ明るい18時20分、ABEDON+OTの登場がアナウンスされる。するとABEDONとOTが拍手をしながら、2人だけで現われた。OTはドラムセットに座る。おもむろにフライングVギターを持ったABEDONは、観客にお尻を向けてOTと向かい合う。始まったのは、なんとユニコーンの代表曲「大迷惑」だった。
 一瞬、ざわつく客席。あの超スピードのドラムを叩くOT。ABEDONは例のギター・リフを刻む。たった2人で挑む「大迷惑」だ。ベースはいない。印象的なキーボードのフレーズは、ABEDONが“口”で歌っている。その他もろもろをOTも口でフォローする。
 激しくドラムを叩きながら、OTが歌い出した。本来、5人で演奏するのを2人でやるのだから“足りない音”だらけ。しかし、これは確かに「大迷惑」だ。サビでABEDONがハモを付けると、まぎれもないユニコーン・サウンドが聴こえてきた。

 この奇跡のパフォーマンスに、最初は唖然としていた観客たちは大喜びだ。2人の気合いを感じたのか、テント・スペースからオーディエンスが這い出してきて、RSRでいちばん大きなサンステージの客席に次々となだれ込んでくる。
 ギター・ソロはABEDONがこれまた口で“演奏”。何しろ2人しかいないので、リズムギターを止めるわけにはいかないのだ。2人の渾身の“ユニコーン”を聴いている途中で、なぜか涙が出てきた。

 演奏後、「個人練習を物凄くやったよ」と、普段は絶対にそんなことを言わないOTが話してくれた。ちなみにこのスタイルでの「大迷惑」は、この日が初公開だった。いくつかフェスをやる中で、ABEDON+OTがユニコーン・ファンを楽しませるために行き着いたチャレンジだった。その奇想天外なアイデアと努力に、僕は涙したのだと後で気付いた。それは、「ファンの皆さん、大迷惑をおかけしてすんません」というABEDON+OTらしい“お詫び”だった。

 終わると大歓声が上がる。その中を斎藤、八熊、木内が登場。八熊が「奥田民生!ABEDON!」とコールすると、歓声はさらに大きくなる。
 5人揃って、ABEDONのソロから「WAKEUP!STANDUP!」。ここで空から雨が落ちてきた。続いてOTのソロから「御免ライダー」。この曲では八熊とABEDONがベースを弾く“2ベース”という珍しい編成。ABEDONは思い切り歪ませた音色で、ギターソロならぬベースソロを取る。普通は見られないシーンの連続に、オーディエンスたちはどんどん笑顔になっていく。
 「風」、「CSA」、「風II」というユニコーンならではの“組曲”を、パロディ精神をちりばめて演奏。特に「風II」は、1台のピアノを5人で弾くというこのメンバーならではの必殺技を披露して、大喝采を浴びる。
 リズムボックスを使った「WAO!」で観客は踊り出し、パワフルな「服部」でついに雨は止んだのだった。こうなれば勢いは止まらない。ラストの「ファンキーモンキーダンディー」まで、5人は一気に駆け抜けた。本当に感動の“ピンチヒッター”だった。

 ちなみにこの5人は、昨年のRSRが初ライブだった。そのときは数百人収容のボヘミアン・ガーデンで演奏した。あれからわずか1年で、最大規模のサンステージを大いに沸かせたわけだ。この日のサンステージのトップバッターは急成長中のKANA-BOONが務めたが、「俺たち、ある意味、KANA-BOONを抜いた?(笑)」と演奏後に楽屋でくつろぐ5人のメンバーに、彼らの底力を見た思いがしたのだった。

 追伸川西さん、快癒を祈ってます!



2015.08.15(土)【民生の部屋】

 RSR2015もいよいよ大詰め。8月15日は、このフェスの名プロデューサー、WESSの若林良三さんの素晴らしい挨拶から始まった。
「8月15日(終戦記念日)を、こうしてみんなで音楽を楽しみながら過ごすことができることを誇りに思います」。その若林さんの肝入りで実現したのが、“民生の部屋”だ。

 23時にBGMがスタートする。OTが一人でやるときの登場BGMは、いつもなら斎藤有太・作曲の“吉本風テーマ”なのだが、この日はもちろん「徹子の部屋」のテーマ曲。流れた途端、サンステージのオーディエンスから笑いが起こる。そう、“民生の部屋”は奥田民生がゲストを招いてパフォーマンスする新企画なのだ。それも大型野外フェスの最大規模のステージでの“トークショー”って、大胆不敵。 ステージにはソファやコミックスが並んだ本棚、鮭をくわえたヒグマの彫り物などがセットされている。その中に設置されたドアを開けて、ちょっと照れながらOTが入場してくると、そのままビアサーバーに直行して、自らコップにサッポロビールを注ぎ込んだ。椅子に座って乾杯のポーズをして、一口、グビリ。「こんばんは、黒柳徹子です(笑)。よろしくお願いします」と開演を宣言する。

 アコースティック・ギターを抱えると「夕陽ヶ丘のサンセット」を歌い出した。これはシングル「TheSTANDARD」のカップリングで、OT自身が気に入っている曲。気分よさそうな滑り出しだ。続いてはスローテンポの「イージュー☆ライダー」。あくまで丁寧に歌って、大きな拍手を浴びる。

「ありがとうございます」とOTが言うと、ピンポーンとチャイムが鳴って、最初のゲストPerfumeが民生の部屋に入ってきた。観客がどよめく。手土産は、北海道名物の“鮭トバ”だ。ソファに座った3人は、「ステージで座ったの、初めて~。最高!」と大はしゃぎ。

 広島の後輩たちとひと盛り上がりしたOTは、「リアル“徹子の部屋”じゃないんだから、トークだけってわけにはいかないよ。歌えよ」と言ってマイナーコードをじゃかじゃか弾き始めた。オーディエンスは何の曲かわからないでいたが、OTがサビから歌い出すと、確かに「レーザービーム」だ。しかも次のサビではOTが「ハイッ!」と3人の歌をうながすサービスも。ちょっとリズムのノリが違うものの、Perfumeのアクション付き歌唱に、当然会場は盛り上がったのだった。 すると、またピンポーン!入って来たのは、何と、松崎しげるだった。夜目にもくっきり白い歯が!!Perfumeの隣に座ったから、会場は騒然となった。横から見ていたOTが「すごい絵ですよ、これは」とひと言。ここでPerfumeが去っていった。

「こないだ50才になったんでしょ。ジジイが増えて嬉しいよ。俺、66才だよ」と松崎が言えば、OTは「こんなに近くで見れて幸せです」。ここで松崎はステージに置いてあったアコギをつかむと、サウスポーで弾き語り始めた。歌詞も曲も即興で「民生の部屋に呼ばれて嬉しい~♪」と思いをぶつける。そのまま次の「オーバー・ザ・レインボー」へ。
 ノリノリの松崎に、タジタジのOTが「こうなったら、来年は“しげるの部屋”をやってください。僕たち、出ますんで」と言っても、松崎は何も聞いてない。マイペースの松崎は、「待ってる間、ビール5杯とジントニック4杯呑んじゃったから」と「I Saw Her Standing There」を歌う。
 場内は、笑いつつ、少々ハラハラ。ついにOTが伝家の宝刀、「松崎さんと言えば、アレでしょ」とラジカセを持ってきて「愛のメモリー」のカラオケをかけたのだった。
 ひととき、全員が松崎の熱唱に酔いしれる。♪窓に朝の光が♪という歌詞で、OTはセットの窓に寄り添う。クライマックスの転調部分では“酸っぱい顔”で感動を表わす。とにかくやりたい放題の松崎タイムは終わったのだった。

 ピンポーン!最後のゲストは、トータス松本。
「出ずらかったぁ。松崎さんのレコード、持ってましたからね」(トータス)
「歌ってないけど、疲れたわ。でも、生はいいね。転調でチビッたぜ」(OT)
「でもさ、民生の部屋、もっとちっちゃいとこでやると思ってた。で、ほんとに“しげるの部屋”やるの?」(トータス)
「やるよ、みんなで行こうよ。サンステージとか、今まであるステージの他に“しげるステージ”作ってさ、5時間くらいやってもらって、俺たちは行きたいときにに行くの」(OT)
「それ、いいかも」(トータス)
「あー、トータス、楽でいいや」(OT)
いつもの調子に戻ったOTは、トータスと「ええねん」と「いい女」を歌って、「来年はしげるの部屋に出よう」と言ってトータスを送り出した。

「たぶん50才の記念に、こんなセットを用意してくれたんだと思います。来年からはまたちっちゃいとこからやっていこうかと思います」と「さすらい」を歌う。 「民生の部屋に来てくれて、ありがとう。何曲かしかやってないのに、この疲れは何だ!?(あの人のお陰で)時間が来ちゃってますが、もう1曲やってもいいですか」と、締めは「風は西から」。これもOTお気に入りの曲だ。
 奥田は斎藤有太のテーマ曲に送られて、颯爽とステージを去っていった。夜風が気持ちいいエンディングだった。

【取材・文:平山雄一】
【撮影:久保憲司(ABEDON+OT)、柴田恵理(民生の部屋)】
(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO

tag一覧 ライブ フェス 男性ボーカル UNICORN ABEDON 奥田民生

ビデオコメント

リリース情報

[DVD] SUPER ROCK’N ROLL SHOW “Funky Monkey Dandy” at EX THEATER ROPPONGI Feat. 八熊慎一 奥田民生 木内健 斎藤有太

[DVD] SUPER ROCK’N ROLL SHOW “Funky Monkey Dandy” at EX THEATER ROPPONGI Feat. 八熊慎一 奥田民生 木内健 斎藤有太

2015年09月29日

abedon the company

01 WAKEUP! STANDUP!
02 サヨナラサムライ
03 ONE AND THREE FOUR
04 SEA SIDE STYLE
05 森ノ中
06ときどき雨
07 バ・バ・ヌ・キ
08 三角系
09 ことば
10 SO SO GOOD
11 ファンキーモンキーダンディー
Encore-1 みみそうじをしよう
Encore-2 SUN SET SUN

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お知らせ

■ライブ情報

SPARKS GO GO 25th Anniversary Special "JUNK! JUNK! JUNK! ∞ 2015"
2015/09/19(土)北海道・倶知安町駅前 石蔵倉庫
2015/09/20(日)北海道・倶知安町駅前 石蔵倉庫

ユニコーンEBI50祭“海老乃大漁祭”
2015/10/02(金)神奈川・パシフィコ横浜
出演: 私立恵比寿中学/MADBEAVERS/ABEDON/ユニコーン
2015/10/03(土)神奈川・パシフィコ横浜
出演:私立恵比寿中学/MADBEAVERS/電大/ユニコーン

奥田民生 2015年ツアー秋コレ
2015/10/23(金)千葉・市原市市民会館
2015/10/25(日)愛知・アイプラザ豊橋 講堂
2015/10/27(火)京都・文化パルク城陽 プラムホール
2015/10/28(水)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
2015/10/30(金)岡山・倉敷市民会館
2015/10/31(土)福岡・福岡サンパレス
2015/11/03(火・祝)千葉・市川市文化会館 大ホール
2015/11/06(金)北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
2015/11/09(月)東京・Bunkamuraオーチャードホール
2015/11/10(火)東京・Bunkamuraオーチャードホール
2015/11/13(金)大阪・オリックス劇場
2015/11/15(日)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
2015/11/18(水)宮城・仙台サンプラザホール
2015/11/21(土)石川・本多の森ホール

奥田民生 ひとり股旅スペシャル@マツダスタジアム
2015/11/28(土)MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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