The Birthday、10th Anniversaryライブを武道館で開催!
The Birthday | 2015.09.29
暗転になると、ステージ背後の大きなスクリーンに1本のキャンドルが灯る映像が映し出される。2本、3本と増えて行く。10本のキャンドルが灯されたところで、フッと掻き消された。
そう、The Birthdayの10th Anniversaryライブ“GOLD TRASH”@武道館の開幕だ。例によってオープニングSEの「16キャンドルズ」が爆音で流される中、メンバーが登場。それだけで、場内は充分にあったまる。チバユウスケが「1,2,3,4,5,6」とカウントを取って、「6つ数えて火をつけろ」からライブが始まった。
とにかく音がデカい。特にクハラカズユキのドラムがデカい。デカい武道館を揺らすThe Birthdayのサウンドは、待ちかねたオーディエンスの心を真っ直ぐに撃ち抜く。続く「涙がこぼれそう」でチバが「今、ここ、どこだ?!」と問い掛けると、全オーディエンスが「武道館!!」と叫ぶ。チバは、はやる気合を見事にコントロールしながら観客を巻き込んでいく。
次の2曲が凄かった。デビュー・シングル「stupid」と、今年リリースしたシングル「I KNOW」を並べて、“10年前”と“10年目”のバンドの姿を見せつける。なんという自信だろう。それが嫌味にならず、年月を駆け抜ける疾走感に変換しているのが、凄いのだ。
「みんなも10年前は、10才若かったんだぜ」とチバが突然話し出したから、オーディエンスは明るく笑い返す。「死んじゃったヤツもいるか・・・人生それぞれだぜ」とチバはドキリとするセリフを吐く。そのままギターを刻み始めると、ベースのヒライハルキがグルーヴィーなフレーズを弾き始める。そこにフジイケンジのエッジーなギターが絡む「爪痕」が始まった。フジイが加入したアルバム『I’M JUST A DOG』収録の名曲だ。アルバム発売時、僕はこの曲のフジイのギター・ソロにやられてしまったのだが、この日のライブのギター・ソロも素晴らしかった。また、それに応えるように ヒライが繰り出したベース・ソロにも気迫が込められていた。10年を経たバンドの味わいが、ここに集約されていた。
ギアが一段上がったのは、チバが「新曲、やるぜ」と言って演奏した「FULLBODYのBLOOD」 からだった。10月にリリースされる『BLOOD AND LOVE CIRCUS』のトップを飾る新曲だ。カラフルなリズムに乗って歌われるリリックは、苦み走ったユーモアが満載で、ニューアルバムへの期待が膨らむ。
フジイが両脚を踏ん張ってリフを弾く「マスカレード」が終わると、チバは「いいね、空気が」とご機嫌な気分をダイレクトに観客に伝え、間髪入れずに♪とんでもない歌が 鳴り響く予感がする♪とアカペラで歌い出す。客席を照らす明りがつき、そこにいる全員が歌い出す。バンドとファンの絆の歌だということを思い知らされる、美しい光景。
続く「なぜか今日は」で、背後の大スクリーンに、この日、 初めてメンバーの姿が映し出されたのは、その絆を確かめるためのようであり、心憎い演出だった。10周年ベストアルバム『GOLD TRASH』からの曲を中心にしたライブ本編は、「KAMINARI TODAY」で幕を閉じた。
アンコールも楽しかった。「ありがと、また新曲やる」とニューアルバムのラストに収められている「声」。♪小さくたって 聞こえるさ 声♪というフレーズを轟音で歌うのだから笑ってしまう。遊ぶ気満々、これが最新のThe Birthdayだ。彼らの歌モノに新しい世界を拓いた「さよなら最終兵器」では、クハラが右手のスティックを折ってしまい、新しいスティックに持ち替えてライドシンバルから叩き始める。その明るい音色が心を浮き立たせてくれる。そして前作アルバムのタイトル曲「COME TOGETHER」では観客も歌に参加して10周年を共に祝って、一度、締めた。
ダブルアンコールは2曲。明るい歌モノが占めた最初のアンコールとは対照的に、ワイルドなナンバーで攻める。「READY STEADY GO」で赤一色に染め上げられたメンバーがスクリーンに浮かぶ。こんな大胆なデフォルメが似合うバンドは、そんなに多くない。
終わるとチバは無言でギターを置き、ハンドマイクを持つ。 もう一方の手にブルースハープ(ハーモニカ)を 持って、ソロを取る。そういえば今日のチバはあまりギターソロを弾かなかったから、これは嬉しいプレゼントだ。と、思っていたら、短いソロの後、ハープを客席に放り投げたのだった。あまり見たことないシーンに、チバの歓びが伝わってくる。ステージと客席は思う存分、コール&レスポンスを楽しんで、アニバーサリー・ライブは終わった。
“若々しい貫禄”とでも言えばいいのか。キャリアを反映したへヴィネスと、キャリアを超えたライブを楽しむ気持ちが、このバンドならではのやり方で共存する。まさにThe Birthdayらしい10年目の武道館だった。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:新保勇樹】
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リリース情報
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お知らせ
BLOOD AND LOVE CIRCUS TOUR 2015-2016
2015/11/01(日)横浜Bay Hall
2015/11/07(土)高崎Club FLEEZ
2015/11/08(日)長野CLUB JUNK BOX
2015/11/12(木)京都磔磔
2015/11/13(金)神戸CHICKEN GEORGE
2015/11/15(日)和歌山SHELTER
2015/11/20(金)北見 ONION HOLL
2015/11/21(土)旭川 CASINO DRIVE
2015/11/23(月・祝)小樽 GOLDSTONE
2015/11/27(金)清水SOUND SHOWER ark
2015/11/29(日)岐阜CLUB ROOTS
2015/12/03(木)福山Cable
2015/12/05(土)高知X-pt.
2015/12/06(日)新居浜JEANDORE
2015/12/10(木)佐賀GEILS
2015/12/12(土)大分T.O.P.S Bitts HALL
2015/12/13(日)宮崎WEATHER KING
2015/12/18(金)沖縄 桜坂セントラル
2016/01/16(土)広島クラブクアトロ
2016/01/17(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2016/01/19(火)米子laughs
2016/01/23(土)水戸LIGHT HOUSE
2016/01/24(日)川崎CLUB CITTA’
2016/01/30(土)松阪M’AXA
2016/01/31(日)滋賀U☆STONE
2016/02/06(土)盛岡Club Change WAVE
2016/02/07(日)いわきclub SONIC
2016/02/11(木・祝)新潟LOTS
2016/02/13(土)富山MAIRO
2016/02/14(日)金沢Eight Hall
2016/02/17(水)弘前Mag-Net
2016/02/18(木)仙台Rensa
2016/02/20(土)サッポロファクトリーホール
2016/02/27(土)Zepp Fukuoka
2016/03/04(金)Zepp Nagoya
2016/03/05(土)Zepp Namba
2016/03/09(水)Zepp DiverCity
2016/03/10(木)Zepp DiverCity
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。