Shout it Out、憧れのAqua Timezと青く激しい音楽を響かせた2マンツアー東京公演をレポート
Shout it Out | 2017.09.27
平均年齢21歳のShout it Outが自分たちよりも格上の先輩バンドと対バンを組む恒例の2マンツアー「虎の威を借り、狩られる狐」の第二弾が東名阪の3ヵ所で行われた。東京はAqua Timez、大阪はcinema staff、愛知はLUNKHEADを迎えた今回のツアー。ここでは新宿LOFTで行われたAqua Timezとの初日公演をレポートする。
ライブの口火を切ったAqua Timezは「because you are you」からライブをスタートさせた。軽快なビートのうえを転がる疾走感のあるバンドサウンド。その真ん中にある太志(Vo)が紡ぐメロディと言葉が圧倒的な力をもってフロアへと降り注ぐ。イントロで大きな歓声が湧いたのはヒット曲「ALONES」だった。mayuko(Key)が弾く躍動感のあるピアノがメロディに寄り添うと、シャウトのファン、アクアのファン、その両方が混在するフロアはその境目もなくひとつになっていった。早々からクライマックスのような多幸感が溢れるなか、「Shout it Outは青春で殴り込みをかけるような音楽をやってるけど、俺らもこの曲を歌い続けるという意味を込めて」という太志の前振りで披露されたのは「虹」だった。リリースは2008年。サビの“大丈夫だよ”のフレーズが多くの人生を支えてきたその曲は、10年の時を経てなお色褪せない輝きを放っていた。と同時に、そのメッセージは歌い手である太志が年齢を重ねることで、いっそう説得力が増しているようだった。
15年以上にわたりライブハウスに立ち続け、その場所にいることが息を吸うのと同じぐらい自然なことのように音楽を奏でるAqua Timez。そのパフォーマンスを、おそらくシャウトのふたりもステージ袖で息を呑んで見守っていただろう。そんなふたりへ捧げるように、「俺らはShout it Outとは年齢でいったら、ダブルスコアだけど、青いっていう部分で負けてるとは思いません。だから、彼らにも青くて激しい音楽を続けてほしい」と、太志。最新アルバムから披露された「生きて」、山内彰馬(Vo・Gt)が初めてCDを買った「千の夜をこえて」に続く「メメント・モリ」は、Aqua TimezからShout it Outへ、少しだけ長く生きた先輩バンドマンとして、音楽を続けるということがどういうことなのかを、言葉ではなく音楽で伝えるような瞬間だった。そして、フロアいっぱいに笑顔のピースサインで満たした「決意の朝に」を経て、陽性のエネルギーに溢れた「シンガロング」で締め括ったAqua Timez。そのライブを見ていると、なぜシャウトが彼らに惹かれるのかがよくわかる。いまに全力をかけること、嘘をつかないこと、人を大事に思うこと。Aqua Timezの音楽に刻まれる信念は、シャウトだけではなく新しい世代のバンドマンに脈々と受け継がれている。
自分たちにとってあまりにも大きな存在である先輩バンドが、同じステージで対等のミュージシャンとして誠実なパフォーマンスを繰り広げたことが、続いて登場するシャウトの心に火をつけたことは言うまでもない。「光の唄」から始まったライブは、開始直後から全開だった。山内彰馬と細川千弘(Dr)をセンターに、左右にサポートギターとサポートベース。その全員が体を大きく揺らしながら、ありったけの衝動を音楽へと込めていく。“足跡のない道を行け”と力の限り歌い上げる「道を行け」や、痛みを抱えながら誰かと前へ進もうと決意する「あなたと、」。ミュージシャンとしても人間としても、急成長を遂げているバンドの一瞬一瞬を刻んだ歌たちが、新旧問わず熱い熱量で投げかけられていった。
MCではAqua Timezが「千の夜をこえて」を披露したことに触れて、「あれって俺のために歌ってくれたっていう認識でOKですか? 嬉しかったです」と、はにかんだような笑顔を見せた山内。「ヒット曲は1曲もありませんが、最後までよろしくお願いします」と言うと、かけがえのない時間が終わることを惜しむように、次々と曲を畳みかけていった。誰にも理解されない自分の想いに葛藤する「夜間飛行」、上書きできない“好き”の感情を綴った「エンドロール」、大人と子供の狭間にある苛立ちをぶつけた「大人になれない」。そのセットリストは10代の頃の楽曲も織り交ぜた内容だったが、特に印象的だったのは、20代を迎えてリリースされたアルバム『青春の主張』に収録されている新しい楽曲たちだった。Shout it Outはいま、確実に前へと進んでいる、そう思わせるのに十分なステージだ。
「テレビで見てたり、CDで聴いた人たちと、時間が経って、こうやってツーマンができるのは夢のような話で。ここに来て思うのは、諦めなければ夢が叶うとか、そんなちゃっちい謳い文句じゃなくて、バンドを続けてきて良かったっていう、滅多に思わないことでした」。いよいよライブがクライマックスに向かおうとしたとき、山内は彼らしい言葉で、この日、たしかに震えた感情を口にした。誰にも媚びない、とても誠実な言葉だ。そして、荒ぶる感情を全力で叩きつけるラストソング「青春のすべて」まで、Shout it Outが紡ぐ楽曲には、最後まで1ミリもブレることなく、“生きよう”という願いが込められていた。
アンコールでは1曲、「灯火」が披露された。アルバム『青年の主張』のなかでも最後に収録されたその曲は、悲しみを湛えた毎日のなかで、それでも明日は笑えたらと歌われている。それは大きな夢を叶えた、大切なライブの締め括りにとても相応しいものだった。
「全国のライブハウスに青くて激しい音楽を鳴らし続けよう。俺たちも一緒に走っていくぜ!」と、Aqua Timezの太志がステージ上からシャウトに捧げた言葉がある。バンドというのは、始めることよりも、続けることのほうが難しい。そのことを誰よりも知る太志の言葉は、きっとふたりに刺さるものがあったと思う。「虎の威を借り、狩られる狐」と題されたツアーではあるが、虎は狐を狩ろうとしながらも、その背中でバンドマンとしての生き方を示してくれる。今回もまたShout it Outを成長させる有意義なツアーになったはずだ。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:南風子】
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リリース情報
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青年の主張
2017年03月08日
ポニーキャニオン
02. 17歳
03. 雨哀
04. 道を行け
05. DAYS
06. 夜間飛行
07. トワイライト
08. 青春のすべて
09. 影と光
10. 青年の主張
11. エンドロール
12. 灯火
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セットリスト
Shout it Out presents
2MAN LIVE TOUR
『虎の威を借り、狩られる狐
~Season 2~』 東京編
2017.9.8@新宿LOFT
◆Aqua Timez
- 1.because you are you
- 2.ALONES
- 3.虹
- 4.つぼみ
- 5.生きて
- 6.千の夜をこえて
- 7.メメント・モリ
- 8.決意の朝に
- 9.FlyFish
- 10.ゴールドメダル
- 11.シンガロング
- 1.光の唄
- 2.17歳
- 3.道を行け
- 4.あなたと、
- 5.夜間飛行
- 6.花になる
- 7.列車
- 8.トワイライト
- 9.エンドロール
- 10.大人になれない
- 11.青年の主張
- 12.逆光
- 13.青春のすべて
- EN-1.灯火
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お知らせ
大ナナイト vol.110
09/29(金) HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
Date fm 35th Anniversary 「MEGA★ROCKS 2017」
10/1(日) 仙台市内ライブハウス
FM802 MINAMI WHEEL 2017
10/8(日) 大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上
No Maps 『ROCK DIVERSITY』
10/14(土) 札幌ライブハウス 全6会場
第13回 石川県立大学 大学祭 「響緑祭」
10/22(日) 石川県立大学
Rhythmic Toy World 「転生?なにそれ美味しいの?ツアー」
10/27(金) 静岡UMBER
Ryukoku Fes’17
10/28(土) 龍谷大学 瀬田キャンパス 瀬田ドーム
climbgrow「EL-DORADO」 release tour 2017
10/29(日) 心斎橋BRONZE
近畿大学「第25回 きのくに祭」
10/29(日) 近畿大学 生物理工学部(和歌山キャンパス) キャンパス内 野外ステージ
うたごころ、結髪 THE FINAL
10/31(火) 渋谷Star lounge
同志社クローバー祭
11/4(土) 同志社大学 京田辺校地 ラーネッド記念図書館前メインステージ
GREENS LIVE MEETING ~ぐりみ!!!~
11/16(木) 梅田Shangri-La
the quiet room 「運転免許取得☆車でGO!GO!ツアー 2017」
11/21(火) 代官山UNIT
下北沢にて’17
12/2(土) 下北沢全域のライブハウス、 無料ステージ他
■Aqua Timezライブ情報
東北学院大学 多賀城キャンパス 工学部祭 アーティストライブ 「Aqua Timez」
10/15(日) 学内野外特設ステージ
常葉大学浜松キャンパス 第30回キトルス祭 Aqua Timez LIVE
11/05(日) トコハホール
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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