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Czecho No Republic、2019年キックオフは渋谷eggmanでの持ち込み企画?!

Czecho No Republic | 2019.02.05

 Czecho No Republicが2019年1月19日、渋谷eggmanで『男性メンバー持ち込み企画!俺たちだって演技はできる!劇団チェコ座一日限定公演!』を開催した。

 この公演が企画されたきっかけは、タカハシマイ(Syn/Gt /Vo)の初の舞台出演(舞台「みみばしる」。J-WAVEと劇団ゴジゲン主宰・松居大悟のコラボレーションから生まれた作品で、主演は本仮屋ユイカ、音楽監督は石崎ひゅーいがつとめる)が決まったこと。“Czecho No Republicとしてのリアクションを何か取りたい!”→“めでたい事だから全力で祝おう!でも全力で祝うってなんだ?”→“愛を持って全力でイジろう!”→“自分たちも舞台をやってしまおう!”ということで、ライブあり、舞台ありの公演が実現したというわけだ。

 とはいえ、男性メンバー3人(武井優心/山崎正太郎/砂川一黄)は演技初挑戦。「チェコの演劇って、一体なに…?」という期待と不安(?)が交錯するなか、前代未聞の「チェコ座」公演は始まった。

 砂川、山崎、武井がそれぞれ役者にかける思いを語るビデオが上映されたあと(本気度をわざとらしくアピールする3人のコメントに、会場からは笑いが起きる)、まずは舞台がスタート。物語の舞台は、“音楽禁止令”(歌ったり、演奏するのはもちろん、音楽を聴いても罰せられる)が施行されている国。音楽がまったく聴こえず、人々の気持ちもカラカラに乾いてしまったなか、どうしても音楽に対する思いを消すことができない3人の男子が、伝説のバンド“Czecho No Republic”のCDをこっそり隠れて聴いている。すると、どこからともなく、「カントリー・ロード」を美しく歌い上げる女の子の声が響いてくる。歌が聴こえてくる場所に向かってみると、そこには音楽の素晴らしさを伝えるため、南の国からやってきたキュートな女の子(タカハシ)の姿が。なぜか意気投合した4人は、バンドを結成することに――。

 脚本を手がけたのは、2014年に1年間放送をしていた「Czecho No Republicのオールナイトニッポン0[ZERO]」の放送作家である谷口雅人氏。メンバーのキャラクターを活かした設定、音楽の素晴らしさをテーマにした物語によって、観客を惹きつけていく。男性メンバー3人も、しっかりと個性を発揮していた(特に砂川さんは演技上手いと思う)。舞台のクライマックスは、国の行事をジャックして、バンドで演奏すること。決死の覚悟でステージに飛び出し、「大事なものを音楽の力で取り戻そうと思います!」という武井のセリフとともに放たれた曲は「好奇心」。観客もここぞとばかりに手を上げ、身体を揺らしながら、物語のエンディングを彩った。

 そのまま“ライブ”のコーナーへ。勢いのあるドラムのフィル、「Oh~!」というシンガロングに導かれた「Amazing Parade」、そして、飛び跳ねるリズム、キャッチ―なギターリフ、“HERE WE GO もう今しかない”という前向きなワードがひとつになった「幽霊船」によって、心地よい一体感を生み出す。小さめのライブハウスでチェコのライブを観るのはかなり久しぶりだが、至近距離で体感するポップワールドはやはりとんでもなく気持ちいい。

「いやいやいや、“劇”って!(笑)」「ここからは音楽で、みんなと楽しいことをしたいと思います。今年1年良い1年になるように、そして今日がハッピーな1日になるように、この曲を贈ります」(武井)という挨拶から、「ファインデイ」を披露。タカハシがメインボーカルをつとめる、極上のポップチューンだ。《きっと大丈夫さ》《今日はファインデイ》というフレーズによって、オーディエンスの心がさらに開いていくのがはっきりと感じられる。さらに「会場に虹がかかることを願って」(武井)と「レインボー」へ。カラフルな色彩をたたえたサウンドが広がり、ナチュラルな高揚感へと結びつく。このポップなポジティブ感こそが現在のチェコの魅力なのだと、改めて実感できるシーンだった。

 MCの話題はやはり、前編で披露された“劇”のこと。

 武井「温かい笑いが起きて、ホントに良かったです。リハーサルのときは、スタッフが口を“への字”にして見ていて、ぜんぜん表情筋が動かないから、不安になっちゃって。まあ、我々もじつは、音楽に進むか、役者のほうに行くのか考えてたんですけどね…」

タカハシ「初耳だ(笑)」

砂川「武井さん、出番前、めちゃくちゃ緊張してたよね」

武井「してないよ! 砂川さんの顔、近くで見るとホントにおもしろくて、どうしても笑っちゃうんだよね」

タカハシ「きついよね」

砂川「新年早々、あたりがきつい(笑)」


 というやりとりのあと、ライブは後半へ。「No Way」「テレパシー」「Oh Yeah!!!!!!!」とアッパーチューンを次々と披露し、圧倒的な解放感が生まれる。タイトなバンドサウンド、武井、タカハシのボーカル/ハーモニーも確実に向上している。4人が作り出すポップなグルーヴは、ここにきてさらに進化しているようだ。去年からライブで演奏されている新曲「everything」も印象的だった。“エレポップ×ディスコ”と称すべきサウンドメイクは、チェコの新たな表情を鮮烈にアピール。“いま目の前に広がる素晴らしい光景、大切な瞬間こそがすべて”という希望を描き出したリリックを含め、2019年以降の代表曲になり得るポテンシャンを持った楽曲だ。

「もっともっと一つになりませんか!? 花火のように高くジャンプしよう!」という武井の煽りに導かれた「Firework」で本編は終了。アンコールは、初めて披露される新曲「STAR」から。カントリーとエレクトロとギターポップを融合させた“いなたくてカッコいい”サウンドメイクは、現在の世界のシーンの潮流とも合致。そして「イマジネーション 今 リアリティを凌駕」というフレーズからは、このバンドの創造性が大きく広がっていることが感じられた。

 この日の公演のなかで、春のEPリリース決定と5月から全国10都市でのワンマンツアー『ツアーオデッセイ~未知との遭遇2019~』の開催を発表。「旅に出る準備が整って、終わらない冒険に出る、というツアーになります」と武井が話すと、会場からは大きな拍手と歓声が巻き起こった。バンドの個性と新機軸を同時に表現しつつ、エンターテインメント性に溢れた企画で観客を楽しませたCzecho No Republic。2019年のキックオフにふさわしい、最高にハッピーで意義深いステージだった。

【撮影:山川哲矢】
【取材・文:森朋之】

tag一覧 ライブ Czecho No Republic

リリース情報

Distribution limited 『Baby Baby Baby Baby』

Distribution limited 『Baby Baby Baby Baby』

2018年08月01日

日本コロムビア

01.Baby Baby Baby Baby

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お知らせ

■ライブ情報

男性メンバー持ち込み企画!俺たちだって演技はできる!劇団チェコ座おかわり公演!
03/16(土)梅田Shangri-La

the quiet room ツアー2019
03/31(日)渋谷eggman

ツアーオデッセイ〜未知との遭遇2019〜
05/11(土)広島CAVE BE
05/12(日)高松TOONICE
05/17(金)仙台Hook SENDAI
05/19(日)札幌COLONY
05/23(木)福岡Queblick
05/25(土)岡山ペパーランド
05/26(日)名古屋CLUB UPSET
06/07(金)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
06/11(火)渋谷CLUB QUATTRO
06/13(木)梅田CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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