MOSHIMO、大きな成長を見せた『圧倒的妄想ト現実ノ交差』ツアーファイナル
MOSHIMO | 2018.06.04
MOSHIMOのライブの在り方や姿勢、覚悟や決意を改めて確認できたのと同時に、今後のMOSHIMOの更なる躍進を確信した一夜であった。そこからは従来の「一緒にいいライブにしよう!」「共に最高の眺めを作ろう!」から、「これがMOSHIMOだ!ついて来い!!」「最後は絶対に楽しかったと思わせるし、気を楽にしてあげるから!!」へのライブの向き合い方の変化も伺え、それらは結果、会場も巻き込み、共に素晴らしい光景や楽しい空間、想い出深い幾つもの場面を生み出すに至った。
この3月発売の初のフルアルバム『圧倒的少女漫画ストーリー』を携え全国ワンマンツアー『圧倒的妄想ト現実ノ交差』を行ってきたMOSHIMO。その規模は過去最大級であり、各所好評の中、ここO-EASTにて幕を閉じた。
この日は会場に入るなり、これまでと違った雰囲気が、まだ無人のステージから漂っていた。ドラムはツーバス仕様で、そのバックには巨大なロックっぽいロゴフラッグ。それらはさながら“ロックバンドMOSHIMO”を強調しているかのようにも映った。
この日は従来のホップでエレクトロなSEに代わり、ブルージーでストーナーロックな男っぽさ溢れるSEに乗りメンバーが登場。岩淵紗貴(Vo&G)も今までのスカート姿ではなくスキニーなブラックジーンズだ。
本多響平(Dr)を前に円陣を組み気合いを入れる4人。各フォーメーションへと勢い良く飛び散り、ガツンとデモンストレーション音を発する。生命力のある本多のドラミングの上、岩淵が会場を煽る。明らかにこれまでと違う気概と勢いだ。オープニングは従来本編ラストにして、過去幾つものハイライトシーンを生み出してきた「命短し恋せよ乙女」。とはいえ、これは会場を温めるべく、サビのコール&レスポンス用が主であった。同曲を経て一体感が育まれ、場内のアイドリングも充分になると、その勢いのまま「圧倒的少女漫画ストーリー」に突入。ドライブ感溢れる同曲がライブを更に加速させていき、新しい出会いへの期待を募らせる。続いては「猫かぶる」へ。同曲もこの日はいささかアッパー気味。一瀬貴之(G)もバッチリとギターソロをキメ、ここで早くも本多のツーバスも地響きをあげる。
「今日はすごい1日にする自信がある!!」とは一瀬。続けて「今日はぶち上げていく! 120、200、いや、300%でいくから、みんなかかってこいよ~!!」と岩淵がグイッと場内をステージへと惹き寄せる。
「支配するのは君と恋の味」では、最後の一滴まで楽しみ尽くしてやるとの気概がステージ/場内に満ち、ライブならではのドラムのイントロから「可愛い子には旅をさせるな」に入ると、岩淵もハンドマイクにてステップを踏みながらジェスチャーを交え歌う。また、岩淵がアコギに持ち替え歌われた「ポテトサラダ」では、歌内に合わせて場内も本当に最後に残った大切なものを思い浮かべ、そこへの愛おしさを募らせた。
「このツアーのおかげでライブが楽しくてしょうがない。ずっとライブをしていたい。私に一生ライブをさせて!」とは岩淵。その言葉通り、この日は、この上ない彼女の楽しそうな笑顔が終始溢れかえった。
このMCタイムではメンバー各人がツアーを振り返り、その想い出等が、楽しくなごみも交えて語られた。その最後には、「私は不甲斐ないヤツNo.1になり、不甲斐ない歌を歌い倒してやろうと決めた。(中略)だけど大丈夫、私たちがついているから!! その不甲斐ない気持ちを全部この場で一緒にぶちまけよう!!」と岩淵が加え、MOSHIMOの歌の根底のスタンスを改めて示すかのように力強く会場に誓った。
続いては「15分」「悲縛り」と新作中のセンチな女心が表れた楽曲たちが歌われた。オルガンのノスタルジックな同期音色も交えた「15分」がセンチな気持ちを会場に広げていけば、雷鳴と暴風のSEの後に入った、エモく激情性溢れる「悲縛り」では、同曲が元来擁していた、やるせなさが会場中に浸透。また、その雰囲気を豹変させるべくドライブ感のあるサウンドにキャッチーな「チュウチュウ」に入ると、一瀬が「チュウ」と書かれたポップなプラカードを声を合わせる場面で掲げ、場内参加の場面を作り出していく。また、同曲では各ソロのリレーションも魅せどころ。岩淵、一瀬、宮原颯(B)の3本の竿(ネック)が並ぶ名場面も印象深い。
中盤には会場参加型にて「あなたのベッドへの誘い方」なるタイプ別の心理テストが行われ場内も一喜一憂。楽曲以外での彼らの個性や人となりを楽しんだのと同時に、4人各人に更なる身近さとシンパシーを覚えた。
その後、フロントに4人が並び、エッグシェイカー、アコギ、ブラッシングスネア、クリアなエレキ体制にて、アコースティックタッチの「カプチーノ」をプレイ。岩淵が最も好きな少女漫画をタイトルにした、ずっと温めていた曲という同曲の擁するキュンとした気持ちが場内に満ちていく。続く「大嫌いなラブソング」では、エレキベース、タンバリン、トライアングルの形態に移行。躍動さを交え歌われた同曲の、歌内容に反してあえて明るく歌う姿勢に健気さを覚えた。
ライブも後半。ここからはラストスパートだ。ダンサブルな16ビートの「FUWA-FUWA」では、1番を宮原が歌い、2番からは岩淵にスイッチ。また彼女がフリースタイルを交え、ライブならではの自由さを味合わせてくれた。そして更にライブは深部へ。「吾輩は虎である」に入ると、間には重さも交え、色々な動物名を絡め歌われ、これまたライブならではの一会さを味合わせてくれた。また、「触らぬキミに祟りなし」では、4つ打ちダンサブルさが上昇感と一丸性と共に「一緒にゴールテープを切ろうよ」と会場を促し、本編ラストはそれをぎゅっと抱きしめたまま、再び「命短し恋せよ乙女」が過去最高の人数の恋を応援し、共にそのゴールテープを切った。「大好きだよ~!!」と岩淵がキュートにシャウト。そのシーンはまるで会場をギュッと抱き寄せるようであった。
アンコールでは大切にずっと歌い続けてきた曲と、これからに向け明るく前向きにさせてくれる曲が贈られた。岩淵がアコギを持ち、前身バンドのCHEESE CAKE時代からの「寝グセ」を、ゆっくり優しく柔らかく広がげていく。良い思い出として響きながらも、同曲を通して、これまでが続いてここまで繋がっていたこと、そして表し方の変貌があろうとも、本質や根底はあまり変わっていない大切なことを改めて教えられた気がした。
「好きだったら突っ走っていけ!!」とは岩淵。ラストはちょっとでも上に、前に進んでいくように、元気よくみんなのやりたいことや夢、希望を応援してくれる「赤いリンゴ」が会場へと放たれた。トロピカルハウス的な音色も同期で交え、明るく、彼ららしくしっかりと応援してくれた。「また会おうな!」(岩淵)との誓いにも似た力強い約束と共に4人はステージを降りた。
「ツン」もあれば「デレ」もある、「壁ドン、あごクイ」もあれば、「胸きゅん、萌え」もある。「モテ男やイケメン」も出てくれば、「コンプレックス少女やシャイ少女」も出てくる…。改めてMOSHIMOの各楽曲の根底には、岩淵の過去経験を少女漫画的なフィルターを通し、淡さも交え、笑い飛ばすところにあったことに気づかされた2時間半であった。と同時に、「みんなの不甲斐ない想いを背負い、それを歌にしてくこと」がMOSHIMOの信条であることが改めて誇示された、「みんなの想いを引き連れて、これからも進んでいく!!」そんな強い誓いのようなライブでもあった。
これからもMOSHIMOはその不甲斐ない者たちの想いを、不甲斐ない歌たちとして自身が代弁するかのように共に放ってくれる。そう、そこには、これであなたの気持ちが少しでも軽くなりますようにとの願いも込められて。
【取材・文:池田スカオ和也】
【撮影:後藤壮太郎】
リリース情報
圧倒的少女漫画ストーリー
2018年03月21日
ラストラム・ミュージックエンタテインメント
02. 触らぬ君に祟りなし(リミキシング&リマスタリング)
03. 圧倒的少女漫画ストーリー
04. 15分
05. FUWA-FUWA
06. ノンフィクション(リミキシング&リマスタリング)
07. カプチーノ
08. 可愛い子には旅をさせるな
09. 吾輩は虎である
10. 悲縛り
11. レイニーデイ
12. ミルクティー(再録)
13. 支配するのは君と恋の味(リミキシング&リマスタリング)
14. チュウチュウ
セットリスト
ワンマンツアー2018 春『圧倒的妄想ト現実ノ交差』
2018.5.19@TSUTAYA O-EAST
- 01.命短し恋せよ乙女
- 02.圧倒的少女漫画ストーリー
- 03.猫かぶる
- 04.支配するのは君と恋の味
- 05.可愛い子には旅をさせるな
- 06.ポテトサラダ
- 07.15分
- 08.悲縛り
- 09.チュウチュウ
- 10.カプチーノ
- 11.大嫌いなラブソング
- 12.FUWA-FUWA
- 13.吾輩は虎である
- 14.触らぬキミに祟りなし
- 15.命短し恋せよ乙女 【Encore】
- En-1.寝グセ
- En-2.赤いリンゴ
お知らせ
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06/15(金)仙台Hook
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<,b>JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2018 SUMMER
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07/21(土)福岡県海の中道海浜公園野外劇場
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08/11(土)茨城県国営ひたち海浜公園
MOSHIMO「BARI BARI ROCK」~大忘年会 嫌なこと全部ぶっ飛ばす!! 編~
12/26(水)恵比寿LIQUIDROOM
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。