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嘘とカメレオン 初の全国ワンマンツアー「はじめてのおつかいツアー ~ひとりでできるもん!~」

嘘とカメレオン | 2019.07.29

 とことん暴れさせたかと思えば、翻って、腰を据えて聴かせるアプローチでもこちらを惹き付ける。嘘とカメレオンのライブにおける表現力が高次にブラッシュアップされ、バリエーション豊かな攻めっぷりが際立っていた。初期衝動のパンチ力は堅持したまま、バンドとして、アーティストとして、常に上を目指していきたい。その貪欲なスタンスを毛細血管のごとく張り巡らし、どんな曲調でも観る者の集中力を奪い続ける手腕は今回のツアーで成長進化したものに違いない。

 「はじめてのおつかいツアー~ひとりでできるもん!~」と付けられた全国7カ所に及ぶ初の全国ワンマンツアー。そのファイナル公演は、ファンにはお馴染みのおもしろムービーで幕開け。会場下手側のスクリーンにツアー名よろしく、渡辺壮亮(Gt/Cho)が"はじめてのおつかい"をするほのぼのとした映像が流れ、会場は笑いに包まれた。こうして観客の心を解きほぐした後、チャム(.△)(Vo)、渡辺、菅野悠太(Gt)、渋江アサヒ(Ba)、青山拓心(Dr)のメンバー5人が揃うと、「パプリカはポストヒューマンの夢を見るか」でショウの火蓋を切った。ザクザクと刻むギターリフ、キャッチーなメロディなど、嘘カメらしさを詰め込んだ楽曲でフロアを焚き付けていく。

 「ファイナル、みんな声出していける?」とチャム(.△)が声をかけると、次は「N氏について」を披露。オイ!オイ!という歓声が場内を満たし、突き上げる拳の数はみるみると増え、熱気は高まるばかりだ。「ルイユの螺旋」に入ると、勢いは失わないまま整合感のある演奏で畳み掛け、ポップなメロディ・センスを猛アピール。

 ここで渡辺はステージ・ドリンク(もちろんコーラ)をグイッと飲み干し、「こんなに来てくれて嬉しい!東京以外でも初ワンマンをやって、(今日は)集大成を見せる!」と堂々宣言。それからノリ抜群の「JOHN DOE」、エフェクトをかけたギター・サウンドが耳に付く「ミイラ・コード」とキャラ立った楽曲を次々と連打。そして、嘘カメにとって完全に新境地ナンバーと言える「とある男の記憶」に突入した。個人的にもライブで聴きたかった楽曲のひとつで、どこか近未来ちっくなサウンドが新鮮に響く。この曲もショウの流れにいいアクセントをもたらしていたのは間違いない。

 そして、久々にプレイした「手記A」を挟んだ後、チャムは初の全国ワンマンツアーを通して、点と点が線になり、地元以外にも大切な場所ができたと告げる。いろんな場所に届くように歌うと伝えると、彼女が作詞作曲を手がけた「うみねこの鳴く街で」を披露。ドラマティックかつストーリー性に長けた曲調も秀逸で、多くの観客が曲の魅力に引き込まれているようだった。

 それから「Lapis」、「テトラポットニューウラシマ」と繋ぎ、ゆったりした歌で始まる「Upius」へ。哀切なメロディに貫かれた濃厚なエモーションも素晴しかった。

 「恵比寿ワンマン、感無量です!」と渡辺が言うと、初の全国ワンマンツアーは自分たちを観に来るオーディエンスだけということもあり、プレッシャーもあった反面、バンドに新たな力をくれたと述べた。さらに「上に行きたい!」と貪欲な姿勢を剥き出しにする発言も飛び出し、嘘カメの演奏はますますスパークしていく。ダンスロック調の「ヤミクロ」をやり終え、「モームはアトリエにて」を経て、「終わりの果てのはなし」で激しい盛り上がりを作り上げた。

 「初めてのワンマンツアー、すごい上気だね!」とチャム(.△)が言えば、「この5人だと何も怖くねえ!どこまでも行こうぜ!」と渡辺は熱く語りかける。次はSNS上で爆発的な広がりを見せた嘘カメの人気曲「されど奇術師は賽を振る」をここでプレイ。イントロからフロアは即反応し、歌い、踊り、騒ぐ光景が広がっていく。地に足ついた演奏も相まって、楽曲が持つパワーはさらにレベルアップしている印象を受けた。その熱気を受け継ぐ形で「パラダイム4210」に入ると、後方の観客まで拳を突き上げ、ウォー!ウォー!の大合唱となり、一体感はさらに高まっていった。

 「この曲、一瞬で終わります。吐き出してくれ!」と言うと、ショート・チューン「societal sanity」へ。渡辺がメイン・ヴォーカルを務め、いきなり立つテンションで叫びまくる。過去最高のBPMの速さを記録した楽曲だけに勢いは半端じゃなかった。暴れ馬みたいな勢いで本編をビシッと終えると、アンコールにもきっちりと応え、メンバーは再びステージに現れる。

 「お別れは寂しい。次に繋がるように・・・」とチャム(.△)は言うと、ラストは「百鬼夜行」が炸裂。アッパーな曲調でお祭り騒ぎの活気を作り上げ、全18曲をやり遂げてワンマンは無事に幕を閉じた。直球、変化球と球種を使い分けながら、ショウ全体の勢いや流れにも気を配り、バンドの魅力を多面的にアピールした内容に耳目を奪われっぱなしだった。今ツアーを終えて、嘘カメはまだまだ進化を続けていくだろう。直球と変化球の精度をさらに高めつつ、メンバーのキャラクター性が伝わるユーモア・センスもこのバンドに欠かせない持ち味になっている。自分たちの武器をどんどん増やし、ツアー名通りに自立したバンドになるための、大きな通過点となるライブだった。そう考えると、次回の音源ではどんな楽曲を出してくるのか心底楽しみになってきた。それに伴って、ライブはまた変化する可能性が高い。変幻自在の嘘カメ・ワールドは、ここからより一層面白くなりそうだ。そういう意味においても、明るい未来が透けて見える最高のワンマンだった。

【取材・文:荒金良介】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル 嘘とカメレオン

リリース情報

ポストヒューマンNo.5

ポストヒューマンNo.5

2019年05月29日

キングレコード

01.パプリカはポストヒューマンの夢を見るか
02.ルイユの螺旋
03.ミイラ・コード
04.とある男の記録
05.パラダイム4210
06.Upius
07.societal sanity

お知らせ

■ライブ情報

TREASURE 05X 2019
08/10(土) [名古屋]E.L.L. / ell.FITS ALL / ell.SIZE

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019
08/12(月) 国営ひたち海浜公園

OneBigPlate NAGOYA
08/15(木) [愛知]DIAMOND HALL / NAGOYA ReNY limited / APOLLO BASE / SPADE BOX

ライブキッズあるある中の人 Presents
「ライブ行きたい」2019年夏ツアー編

08/19(月) 仙台 CLUB JUNK BOX
08/20(火) 新潟CLUB RIVERST
08/21(水) 金沢AZ

真空パック vol.14~心も体も揺らせるの~
09/06(金) 代官山LOOP

BAYCAMP 2019
09/14(土) 川崎市東扇島東公園

TOKYO CALLING 2019
09/14(土)~16(月) [東京]新宿13会場 / 下北沢13会場 / 渋谷13会場

MEGA★ROCKS 2019
10/05(土) [宮城]仙台11会場

第59回愛工大祭「狂夜祭」
10/12(土) 愛知工業大学 八草キャンパス

破壊と再生 vol.3
10/16(水) 新代田FEVER

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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