SUPER BEAVER、全国ツアー「SUPER BEAVER『真ん中のこと』Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~」最終公演
SUPER BEAVER | 2017.12.29
この日ラストに披露された「ありがとう」は別格の輝きを帯びていた。原稿を書いている今も深い余韻となって尾を引いている。バンドとファンの絆を確かめ合い、さらにその絆を太くする命綱的な役割を担っていた。もっと言えば、過去、現在、未来を超越した濃厚なエモーションを解き放っていた。今日を境目に彼らは新たなスタートを切ったのだ。そう思わせる決意や覚悟がビシビシと伝わってきたし、ここで最大級の感謝の気持ちを爆発させたかったのだろう。"あの日"を迎えるためにも・・・。
今日はSUPER BEAVERのミニ・アルバム『真ん中のこと』レコ発27本目になるZepp Tokyo公演2デイズのファイナル。場内に入ると、1階、2階共にパンパンの観客で膨れ上がり、開演の時を今かと待ち構えていた。藤原"29才"広明(Dr)が軽快なビートを刻むと、「ファンファーレ」でショウの火蓋を切った。すると、早くもバンドと観客が一体化する熱い盛り上がりを記録する。すかさず「青い春」に入ると、自然とハンドクラップが沸き上がり、渋谷龍太(Vo)はフロアに向けてマイクスタンドを向ける仕草を見せ、観客も大声で歌い上げていた。続いて「うるさい」を披露すると、イントロから歌詞を大合唱する光景が広がる。壮観だ。柳沢亮太(G)のヘヴィなギターもギュンギュンうねりを上げ、上杉研太(B)も主張激しいベース・ラインで会場を根底から焚き付けていった。バンドのエンジンは温まっているどころか、トップギアで加速する過熱っぷりだ。
「正真正銘のファイナルですよ! 最高の日を作りに来た!」と渋谷も興奮を隠せない様子で、観客一人ひとりを覗き込むように語りかける。それから「美しい日」へと雪崩れ込んでいくと、至福のオーラに満ち溢れた音色を大放出。聴いているだけで、幸せな気持ちに包まれてしまった。それから「贈りもの」を挟み、「Zepp Tokyoをダンスホールに変えさせていただきます!」と言うと、「irony」をプレイ。リズミックな曲調に観客も大騒ぎとなり、柳沢のロックンロール調のギター・ソロも爽快に響き渡り、会場のボルテージを引き上げていく。間髪入れずに「ひなた」に入ると、誠実な歌メロをまっすぐ響かせ、オーディンエンスの懐深くに曲を届けていた。渋谷はギュウギュウのフロアを気遣いながら、「毎日お野菜食べてね・・・」とオカンのごとく振る舞う場面に場も和む。
そして、「10数年ぶりのZepp Tokyoで、メジャーに行って音楽が楽しくなくなって、改めて4人でスタートした。それから自分たちだけじゃないと気付いたから・・・ソールド・アウトありがとう。掴んだらゴールじゃなく、掴んだときがスタート。掴んだら、その手を絶対に離さないから!」と渋谷が言うと、「人として」に繋ぐ。ソウルフルかつエモーショナルなヴォーカルに引き込まれながら、それに寄り添う透明感のある柳沢のコーラスもハマッていた。はっきりと聴き取れる歌詞も相まって、楽曲が多くの人の胸に突き刺さっているようだった。音楽を通して、お互いにエネルギーを交換し合う濃密な空気を作れるのもSUPERの音楽的魅力である。もはや、ステージとフロアという垣根を越えた強い磁場が生まれていた。
「27」、「→」「361°」と畳み掛けると、ここから怒濤の後半戦に突入だ。熱のカタマリと化した「証明」が飛び出すと、会場全体が瞬間沸騰する騒ぎっぷり。曲が終わると、「燃えてるぜ!」と唐突に叫ぶ男性客の声が耳に入り、バンドはもちろん、観客も興奮マックス状態に陥っていた。
「俺たちの闘い方を見せてやる!」と啖呵を切ると、ここで「正攻法」が炸裂。ヘヴィなリフがかっこ良く、カオティックなグルーヴを携えて疾走する曲調も最高だ。また、スクリーンに巨大文字で歌詞が流れる演出も良かった。
それからステージ背後に設置されたライトが煌めき、ミラーボールが回る中で披露されたのは「東京流星群」だ。ここでは曲名のコールやウォーウォーの大合唱が巻き起こり、Zepp Tokyoは俄然ヒートアップ! 次の「秘密」では藤原がスタンディングの姿勢でビートを刻むシーンもあり、天井知らずの大フィーバーへ登り詰めていった。さらに「それくらいのこと」、最後に「歓びの明日に」と凄まじい勢いで駆け抜け、本編終了。
アンコールではスクリーンにメンバー4人の歩く姿が映し出される。しばらくして会場はざわつき始めた。まさか、まさか・・・4人が立ったのは日本武道館の前だった。2018年4月30日にバンド初の武道館ワンマン公演が発表されると、鼓膜をつんざく悲鳴にも似た歓声が沸く。この日を待ってました! 遂にこの日が来たのか!と、観客全員が喜びを爆発させているようだった。その反応を見ても、SUPER BEAVERがファンをいかに大切にし、いかに愛されているかを象徴する一コマだった。
「日本武道館、やることにしました!あなたのおかげで決断に踏み切った」と渋谷が言うと、さらに話は続く。「武道館、全然ゴールじゃないんだ。武道館に興味はなくて、あなたがいる武道館に立たせてください。一緒にいい景色を見よう!」と明るく呼びかけると、新曲「虹」を披露した。激しいバンド・アンサンブルを轟かせながら、カラフルな色合いを帯びた音色で早くも名曲の予感漂う曲調だった。早く音源でも聴いてみたい、という気持ちに駆られた。そんなサプライズ続きのアンコールの最後を飾ったのは、冒頭で述べたあの曲だ。その一連の流れを含め、SUPER BEAVERらしいドラマティックなショウ構成に多く人が心を揺り動かされたことだろう。「ありがとう」の前に渋谷はオフマイクで「目の前にあなたがいてくれて・・・ありがとうございました!」と丁寧に感謝の言葉を綴ると、全身全霊で歌い上げていく。特に≪だけどね 言わなきゃね 死んじゃうから僕らは ありがとね 愛してる ありがとう≫の最後の歌詞を情感込めて歌う様に感動せずにはいられなかった。
手放しで絶賛したくなる最高のファイナルを観終え、来年の日本武道館公演がますます楽しみになってきた。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:日吉"JP"純平】
【撮影:Kouhei Suzuki】
リリース情報
真ん中のこと
2017年09月06日
[NOiD] / murffin discs
2,正攻法
3,ひなた
4,irony
5,贈りもの
6,それくらいのこと
セットリスト
全国ツアー「SUPER BEAVER『真ん中のこと』Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~」 2017.12.16@Zepp Tokyo
- 01.ファンファーレ
- 02.青い春
- 03.うるさい
- 04.美しい日
- 05.贈りもの
- 06.irony
- 07.ひなた
- 08.人として
- 09.27
- 10.→
- 11.361°
- 12.証明
- 13.正攻法
- 14.東京流星群
- 15.秘密
- 16.それくらいのこと
- 17.歓びの明日に 【ENCORE】
- EN-1.虹
- EN-2.ありがとう
お知らせ
都会のラクダ Tour 2018~前人未到のラクダチェリーパイ!~
02/03(土) 岐阜club-G
02/04(日) 徳島club GRIND HOUSE
02/17(土) 和歌山SHELTER
02/18(日) 奈良NEVER LAND
03/03(土) 山形ミュージック昭和セッション
03/04(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
[2017]
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18
12/31(日) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
[2018]
オールナイトニッポン50周年「ALL LIVE NIPPON Vol.6」
01/20(土) 横浜アリーナ
uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra vol.2 supported by SPACE SHOWER TV
02/12(月・祝) 新木場STUDIO COAST
MOROHA自主企画「怒濤」第十三回
02/14(水) 新宿LOFT
ツタロックフェス2018 ?TSUTAYA ROCK FESTIVAL 2018?
03/18(日) 幕張メッセ国際展示場
I ROCKS 2018 stand by LACCO TOWER
03/31(土) 群馬音楽センター
都会のラクダSP at 日本武道館
04/30(月・祝) 日本武道館
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。