レビュー

平山雄一 ウィークリーレビュー | 2015.01.15

連載第53週
新春企画「ライブなひび」


■ベストライブ 2014
昨年観たライブは99本!

 2014年 は、1/18のサカナクション@川崎CLUB CITTA’を皮切りに、99本のライブを観た。

 例年に比べてスローなスタートだったが、3月にいきなり加速する。3/6に観た ザ・ローリング・ストーンズ@東京ドームは、世界一のベテランバンドのエネルギーを感じた。特にキース・リチャーズのアコースティック・ギター・プレイに感激。ゲストに布袋寅泰も出て、ラッキーだった。
 3/27の赤い公園の企画イベント@リキッドルームは、リスペクトする先輩のクリープハイプと藍坊主を迎えてのカバー合戦が、インスピレーションに富んでいて刺激的だった。
 翌日の3/28は[Champagne]の初武道館。2014年は他にも注目の初武道館が多くあったが、その1発目として、武道館よりさらに大きな会場を見据えたパフォーマンスは立派。この日を境に、彼らは[Alexandros] と改名したのだった。
 続く3/29は、仙台に行って観たサカナクション“SAKANATRIBE”が凄かった。2014年最初に僕が観たライブからこのツアーはスタート。“0-100”をテーマに、バンドのライブの魅力を存分にオーディエンスに伝える。終盤に聴いた 「グッドバイ」は、僕にとって2014年のベストソングとなった。また帰り道に 「平山さん、ユニコーンの初日に行かなくて大丈夫だったの?」とサカナクション・ファンから温かい言葉を掛けてもらったのが忘れられない。空前の3日間だった。

 4/16はクリープハイプの初武道館の初日。大規模志向の[Alexandros]とは正反対に、武道館を小さな“ライブハウス”にしてしまった痛快なライブだった。

 5/9の大橋トリオ@NHKホールもよかった。生演奏の良さを追求するライブは、極上のアンサンブルが楽しめた。
 5/27は椎名林檎のカバーアルバム『逆輸入 ~港湾局~』のレコ発ライブを横浜大さんばしホールで。何度目かの絶頂を迎えた林檎に、ノックアウトされたのだった。
 5/31はDragon Ashの初武道館。いつでも武道館をやれる力を持ちながら、オールスタンディングにこだわって、ここまで 実現しなかった。しかしバンドの苦難を乗り越える中で掲げた“THE SHOW MUST GO ON”というテーマが後押しして、武道館でDragon Ashらしいショーを見せてくれたのが嬉しかった。

 6/12はアジカンのGotchのソロ・ライブ@渋谷CLUB QUATTRO。気心の知れた仲間とのライブは、彼のプライベート・アルバムのツアーにふさわしく、ハートウォームで素敵 だった。

 7/11 はTHE NOVEMBERS@EX THEATER ROPPONGI。アルバム作りもライブも絶好調の意気込みそのままに、至高の境地を楽しめた。

 8/15はRISING SUN ROCKFESTIVALでSHISHAMOを観た。音楽の力を素直に信じるフレッシュな演奏が、深く印象に残った。もちろんユニコーンもよかったな。
   8/19はNICO Touches the Wallsの2度目の武道館。ライブの最中にバンドが化けるという“武道館マジック”が起こったのだった。初武道館のリベンジを果たしたNICO Touches the Wallsは、完全に“武道館サイズ”に成長した。その瞬間を目撃できて幸せだった。

 9/6、THE PRIVATESを下北沢CLUB Queで久々に観た。バンドブームの頃から付き合いのあるバンドの、風格あるライブは本当に感動的だった。
 9/7のMISIA@河口湖ステラシアターは、これまで同じ場所で観た彼女のライブの中で最高の出来だった。
 9/16は ユニコーンのABEDONのソロをBillboard Live Tokyoで。奥田民生をはじめとするバックとのコミュニケーションが生む、オンリーワンの楽しさがあった。
 9/22、 傑作アルバム『Hurt』を掲げたsyrup16g@東京国際フォーラムは、息を呑むライブだった。僕がフォーラムで観た中でいちばんの爆音を、完璧にコントロールしたパフォーマンスは、まさにワールドクラスの水準で、驚かされた。
 9/23は、吉川晃司の30周年ライブ@武道館の2日目。事務所の先輩の山下久美子や、彼にヒット曲を提供した大沢誉志幸などが見守る中、中低音の効いたボーカルにさらなる進境を見せていたのがさすがだった。
 9/24、奥田民生の“いきあたり股旅”@めぐろパーシモンホールは、大雨災害のあった地元・広島のためのライブ。駆けつけた斉藤和義と「恋のかけら」を歌ったり、押しつけがましくないチャリティがOTらしくて、心が温かくなった。

 10/7のThe Birthdayは、取り壊しが決まった“ロックの殿堂”渋谷公会堂に花を添える、スピリットあふれるライブだった。
 10/10は、阿部真央の初武道館。阿部の実力からすれば、正直「まだ武道館をやってなかったっけ?」という思いで観に行った。とはいえ、やはりこの舞台に立つ歓びは格別のもののようで、彼女の“いい笑顔”がたくさん観れた。阿部真央に、武道館は本当によく似合っていた。

 11/10のくるり@中野サンプラザで、僕はついに生涯ライブ5000本を達成。記念のライブをハイクオリティな内容で飾ってもらった。
 11/25はJ-ROCKのレジェンド、カルメン・マキ@リキッドルーム。Charなど、バック・ミュージシャンも凄かったが、いちばんは本人のボーカル。まったく衰えておらず、女性ロックボーカルの原点にして最高峰を堪能したのだった。
 11/29、椎名林檎@さいたまスーパーアリーナは、ほとんどMCなしで最高の歌を歌い切る。オーディエンスに過剰にサービスすることなく、それでいて最高のエンターテイメントになっているパフォーマンスは、林檎の能力が図抜けていることを示していた。
 11/30の布袋寅泰@NHKホールは、アウェイである海外でライブをやり込んできた超実力派の底力を観た。この集中力は、彼がロンドンに拠点を移してからの最大の収穫だ。

 12/14は、アン・サリーと畠山美由紀の人気イベント“ふたりのルーツ・ショー”のvol.4。ジョニ・ミッチェルや八代亜紀など、まさにルーツを歌う二人の女性ボーカルの心にじかに触れた気がして、素晴らしい内容だった。
 そして最後の12/31は、昨年に続いて藤井フミヤのカウントダウン・ライブ@武道館。 デビュー30周年、ソロ20周 年のアニバーサリーを見事にやり遂げた天才エンターテイナーが、僕の2014年のライブ行脚をしっかり締めくくってくれたのだった。

 さて、今年はどんな素敵なライブに出会えるのだろう。楽しみで仕方ない。

【文:平山雄一】

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