連載 第61週
『残念な夫。 サウンドトラック』

憧れの“ユニコーンの生き方”をドラマにしたら、「残念な夫。」になっちゃった？！

　全編にユニコーン・ナンバーがちりばめられたテレビドラマ『残念な夫。』（フジテレビ系）。無謀(笑)ともいえるトライだが、ドラマのシチュエーションにぴったり合った選曲が、大きな話題になっている。

　そんなドラマのサントラ・アルバムは、当然ユニコーンの曲だらけ。普通のドラマのサントラだったらいろんなアーティストの曲がミックスされたオムニバスになるのだが、これはユニコ―ン一色。だが、ユニコーンのベスト盤ともちょっと違う。けれど、この１枚には、なんだか未知の魅力にあふれているから不思議だ。

　そこでドラマのディレクターと選曲家に話を聞いてみた。
　まずこの二人は大のユニ・ファンだというのは、予想通り。彼らが初めてユニコーンに取りつかれたのは、ティーンの頃だったという。だから再結成は“嬉しい”というより、“ビックリ”だったそうだ。しかしそのおかげで、夢にまで見たユニのライブを観ることができ、再開後の“新曲”を解散前の曲と同じように楽しんでいるという。

「それでも、『大迷惑』とか『働く男』とか『ヒゲとボイン』は、高校生の頃とは違って聴こえますね。 僕ら、働き始めたこともあって、ユニコーンが“ナマの男”を歌ってくれているのがわかるようになった。恋愛話も、ちょっとシモの話も、我々の実体験に重なる。だって、ボインの人が来たら、目が行っちゃうし(笑)」。

　そして、何よりドラマ作りで心掛けているのは、“本気で、適当にやる”ことだという。これはユニコーンの本気で遊んで楽しんでいる生き方が、ドラマとシンクロすると思ったからだそうだ。

　かつて、いちファンだった人たちが、大人になって楽曲をふんだんに使ったドラマを作るようになる。しかも、ユニコーンに教わったことを自分たちに当てはめて実行している。なんて素敵なストーリーだろう。きっと、こうして受け継がれた思いは、また次の世代に伝えられていく。このサントラの不思議な魅力は、そんなと ころから発している。

　ちなみにこのサントラに付いている解説を平山が書いてるので、 チャンスがあったら読んでみてください。

追伸：
そいうえば、ドラマ『その男、意識高い系。』（NHK BSプレミアム）の主題歌をサラ・オレインが歌っているのも、別な意味で笑えました。こっちの方がある意味、ヒビが深いかも・・・。

【文：平山雄一】