全国ツアー『Silent Siren Live Tour 2014→2015冬 ~武道館へ GO! サイレン GO!~』のファイナル公演、今年の1月17日に行われた初の日本武道館ライブの映像作品。メンバーへのインタビューを含むオープニング映像や、印象的なMCもたっぷり収録されている。夢の舞台に立った4人の姿が眩しい。ご存知の通り、読者モデルであるメンバーたちによって結成されたのがSilent Siren。そのプロフィールは紛れもなく彼女たちの個性だが、偏見を誘ったことも度々あったことだろう。そんな試練を少しずつ乗り越えながら活動を重ね、広がっていったファンの輪。そして、ついに辿り着いた日本武道館。本作はそのステージの模様を収めたライブ映像作品であると同時に、1つのサクセスストーリーを捉えたドキュメンタリーとしても噛みしめることが出来るだろう。

　バンドのイメージカラーであるピンクの光に染まった会場内を「これは現実か？」と感慨深げに見回しつつ、オープニング直後からパワフルなナンバーを連発していくすぅ（Vo & G）、あいにゃん（B）、ひなんちゅ（Dr）、ゆかるん（Key）。自分たちの奏でるサウンドが観客のダンス、掲げる腕、歌声や歓声と一体となっていくことを心底喜んでいる様が、表情から真っ直ぐに伝わってくる。元々ライブ映えする曲をたくさん持っている彼女たちだが、この大会場で生み出されている一体感はやはり格別だ。「爽快ロック」や「ぐるぐるワンダーランド」といったお馴染みのナンバーは勿論、この日はまだリリース前だったアルバム『サイレントサイレン』の収録曲 「DanceMusiQ」での盛り上がり方もものすごい。そして、こうして改めて映像で観ても感動的なのが、アンコールの1曲目だ。バンド結成当初、狭いスタジオで肩を寄せ合って練習に励んでいた頃のことを語りつつ、センターステージに集まった彼女たち。そこに招かれたのは、初期Silent Sirenのメンバーであり、現在もサウンドプロデューサーとして4人を支えている「くぼてぃ」ことクボナオキ。彼女たちのために彼が書下ろし、すぅが歌詞を乗せた初めての曲だという「チラナイハナ」を5人で演奏している姿は、とてもグッと来るものがある。メンバーにとってもファンにとっても、永遠に忘れられない場面だろう。

【文：田中 大】