レビュー
SHISHAMO | 2015.08.05
来年(2016年)の1月4日に日本武道館公演が決定しているくらい、飛ぶ鳥を落とす魚という奇跡の勢いを見せているSHISHAMO。しかし、それは一過性のムーヴメントではなく、彼女たちの才能の賜物であることを、改めて突き付ける名曲が誕生した。
ニューシングル『熱帯夜』。決して派手な曲ではない。フェスに似合うビートや、シンガロングできるメロディといった、爽やかでフレッシュなわかりやすいサマーチューンとは一線を画した、とろりと甘いメロウなラブソングなのだ。
しかし、この曲によって、彼女たちが過去を懐かしむ胸キュンではなくって、どんな世代も現在進行形で胸キュンできるバンド、であることが証明された。男女両方の「会いたい」想いと、同時に沸き上がる不安が、交互に表れる構成には、いつの時代も変わらぬ恋愛の土台が表現されている。
さらに、《じっとりとぬるい湿った空気》、《この季節がすぎて/日焼けのあとが消えたら》といった細かい描写も、誰もが重ね合わせられる臨場感に満ちている。このタイミングで、この若さで、一段高みに昇った曲を放つ誇り高き姿勢に、惚れ惚れせずにはいられない。
猛暑日が続く今夏にトキメキを探したくなる、リアルなサマーチューン。
【文:高橋美穂】