レビュー
Kalafina | 2015.08.12
2007年、劇場版アニメ「空の境界」主題歌プロジェクトから誕生した女性3人組ボーカルユニット・Kalafina。今年第2弾シングルであり、テレビアニメ「アルスラーン戦記」のエンディングテーマとしてオンエア中の「One Light」がリリースとなった。
神聖なストリングスから突如アグレッシブなロックサウンドへと繋がるイントロに、のっけから今作の奥深さを感じずにはいられないリード曲「One Light」。Aメロ、Bメロ、サビと、それぞれのシーンがまるで別の曲のように感じる多面的なサウンドも秀逸で、巧みにリズムパターンを変えながら進むそれは、インストで聴いてもかなり聴き応えのある仕上がりだ。そこにストレートで勢いのある3ボーカルが競うように絡み、さらに繊細なハモリとコーラスが色付けされ、これぞKalafinaといった独特の歌の味わいが表現されている。歌詞は「アルスラーン戦記」のストーリーとリンクさせて聴いてもいいし、今まさに前を見て進もうとしている人はその背中を押されることだろう。《夢はこの手で叶える》《僕は行ける》……と歌う彼女たちの力強いボーカルに自然と力が湧いてくるはずだ。楽曲を堪能した後は、スリリングなライティングに照らされた3人のクールな表情がヤミツキになるPVもぜひ鑑賞してみてほしい。
C/WにはKalafinaの多彩な音楽性を理解するに十分な2曲「真昼」と「五月雨が過ぎた頃に」を収録。「真昼」はピアノ演奏のみをバックに歌われる、どこか懐かしく切ないバラード。後半、3ボーカルのキーが分かれ、それが放射状に広がっていくようなフレーズはあまりの美しさに心掴まれる。ゆっくり目を閉じて浸りたい、心が浄化されていくようなナンバーだ。「五月雨が過ぎた頃に」は、3人の透明感あふれる穏やかな歌声が印象的なミディアムチューン。ライブで歌われる機会があるとすれば、心温まるサビを全員で合唱する幸せな光景が広がることだろう。
充実の3曲。「One Light」とは対照的なC/Wも合わせて聴くことで、彼女たちの音楽のレンジを感じ、それぞれの楽曲の個性もより際立って聴こえるに違いない。もともとのファンも、今回で初めてKalafinaを知った人も、その多面的な音楽と唯一無二のコーラスワークに心奪われるシングルだ。
【文:川倉由起子】
リリース情報
One Light
発売日: 2015年08月12日
価格: ¥ 1,204(本体)+税
レーベル: SME Records
収録曲
1. One Light
2. 真昼
3. 五月雨が過ぎた頃に
4. One Light ~instrumental~