レビュー
MACO | 2015.08.14
テイラー・スウィフト、ケイティ・ペリーなどの洋楽ヒットチューンの日本語カバーで注目を集め、2014年7月にミニアルバム「23」でデビュー。今年5月にリリースしたシングル「LOVE」もスマッシュヒットを記録するなど、新世代シンガーソングライターとして10~20代の女子を中心に強い支持を得ているMACO。“洋楽のテイストをセンス良く取り入れたサウンドメイク”“等身大のリリック”“ナチュラルに可愛くてマネしたくなるファッションとメイク”などが彼女のキャラクターを示すワードだが、配信限定でリリースされた新曲「ふたりずっと」にも、その魅力が絶妙のバランスで示されている。
「ふたりずっと」はタイトル通り、“ふたりの幸せがずっとずっと続きますように”という大切な人への思いをテーマにしたミディアムチューン。その中心にあるのはもちろん、彼女自身が紡ぎ出す歌詞と歌(作曲はAAA、Da-iCEなどの楽曲を手がけるMUSOH)。息を吸い込むブレスの音が聞こえた直後、ラブリーでドラマティックなメロディとともに「愛してるよ/ずっとずっと、ねぇずっとずっと」というストレートなリリックが広がり、リスナーの心をギュッと掴み取ってしまう。さらに恋が始まった頃の思い出だったり、“あなた”のことを思って嬉しくなったり切なくなったりするけど、どんなことも乗り越えていけると決意したり……と歌われていることはきわめてオーソドックスなのだが、だからこそ、どんな人も共感できるラブソングとして成立しているのだと思う。シンプルな言葉に豊かな感情を与えるボーカルも、本当に魅力的。歌の上手さを強調せず、ひとつひとつの言葉を丁寧に伝える――つまり彼女の歌は、自己顕示欲ではなく、しっかりリスナーに向けられているのだ。どんなにハッピーなイメージの楽曲であっても、どこかに切なさが感じられるところも、シンガーとしての彼女の特徴だろう。
バラード的なメロディとEDMテイストのトラックを組み合わせたアレンジも新鮮。MACOという素材をしっかりと活かした、隙のないプロダクションだと思う。
【文:森 朋之】