連載 第86週
ゴスペラッツ
『GOSPE☆RATS ~ぺラッII~』

ゴスペラッツの新作『GOSPE☆RATS ~ぺラッII~』は、先輩と後輩が織りなす素敵なセカンドステップだ

　セカンドアルバムなのに、デビュー10周年アルバムって(笑)。

　そう、奇跡のコラボ・グループ“ラッツ＆スター＋ゴスペ ラーズ＝ゴスペラッツ”が、ソウル・ミュージックの祭典“SOUL POWER”の10周年を記念して再び集結。フルアルバムをドロップしたのだ。

　活動が軌道に乗ったアーティストは、さまざまなセカンドステップを迎えるが、ゴスペラッツはブラック・ミュージックをベイスにしたJ-POPの先輩・後輩が“大人の遊び心”を軸に結成されていて、どちらにとっても楽しいセカンドステップになっていることは特筆に価する。

　とはいえ、その初動は、もちろん後輩たちはドキドキもの。先輩の持ち曲の「ハリケーン」を歌うときのゴスペラーズ村上てつやと酒井雄二の緊張した表情が忘れられない。その様子を見て、先輩ラッツ＆スターの鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義が往年のギャグを飛ばしてはニヤニヤしていたものだ。

　それが、このセカンドアルバムでは後輩２人が大活躍。故・井上大輔の名曲「まさか赤坂Show Time」では村上が鈴木にセクシー・ボーカル合戦を堂々と挑んでいるし、酒井は「トンデバリバリ物語」で先輩を差し置いて“面白ピヨピヨ・コーラス”を決めている。

　酒井はアルバム・リリースに当たって「(ゴスペラッツでは)自分の新たなキャラクターが引き出されて、それがグングン成長するのを感じることができる」とコメントしている。彼にとっては、最高のセカンドステップといえるだろう。

　特に今回、アルバムのトップを飾る酒井・作曲の「歌の贈り物」は秀逸。10年を経た恋人たちの変わらない気持ちを描いた、素晴らしいラブソングになっている。

【文：平山雄一】