レビュー
クリープハイプ | 2015.09.24
クリープハイプ
「リバーシブルー」
「リバーシブルー」は、裏も表もブルーの、
リバーシブルなラブソング
ウソには何種類かある。まるで根拠のないウソ。本当のことをちょっとずらしたウソ。本当に思っていることの真逆にあるウソ。この最後のウソは、そうと知っていればいちばん見破りやすい。ただ、これはウソと言えるのだろうか。
自分の思っていることを言うとき、口に出す瞬間に反対のことを言ってしまう人がいる。そういうヤツは、僕の友達にもいる。その友達は、自分が思っていることの真逆をいつも言ってしまうことに気付いて、直そうとしたのだけれど、その途端に自分が本当は何を思っているのかわからなくなってしまったという。
クリープハイプの「リバーシブルー」は、一見、ただのヘソ曲がりの歌に聴こえる。会いたいのか、会いたくないのか。表裏が逆転する気持ちを、リズムに乗ってトレースする歌詞がややこしい。
しかしよく聴くと、大切な部分が浮かび上がってくる。♪言わなくても良い事を言って また靴擦れ♪だ。言わなければいけないことを、言わないでいるうちに、余計な事を言ってしまう気持ち。「あーあ、またやってしまった」と嘆く声が聴こえてきそうだ。尾崎世界観は、ずっとそうした歌を書いてきた。それらは恋人への思いが強すぎて、素直に会いたいと言えなくなってしまった、不器用なラブソングとして多くのリスナーの共感を呼んできた。
リバーシブルのパーカーは、どっちが表なのか、裏なのか。「リバーシブルー」は、裏も表もブルーのパーカーのような歌だ。会いたいけど、素直に口に出せない。そんなとき、決まって口を衝くのは、思ってもいない言葉。言葉を何度裏返しても、残るのは切ない気持ちだけ。だから「リバーシブルー」は裏も表もブルーの、切ないリバーシブルなラブソングなのだ。
あ、ちなみに例の僕の友達は、根っからのクリープハイプ・ファンです。
【文:平山雄一】
リリース情報
リバーシブルー(初回限定盤 )[CD+DVD]
発売日: 2015年09月30日
価格: ¥ 1,800(本体)+税
レーベル: ユニバーサル シグマ
収録曲
[CD]
1.リバーシブルー
2.カップリング
3.わすれもの
[DVD]
・「リバーシブルー」ミュージックビデオ
・「リバーシブルー」ミュージックビデオ メイキング映像
・「一つじゃつまらないから、せめて二つくらいやろう」総集編~東京の中心で◯◯◯を叫ぶ~@日比谷野外大音楽堂ライブ映像
「ヒッカキキズ」
「大丈夫」
「本当」
「エロ」
「愛の点滅」
「百八円の恋」
「社会の窓と同じ構成」
「ねがいり」
「ボーイズENDガールズ」
「二十九、三十」