「ネオシティポップのムーブメントとは違う」go!go!vanillas新シングル『バイリンガール』
go!go!vanillas | 2015.04.01
- EMTG:ツアーファイナルは800人キャパの渋谷クアトロワンマンだったけど、浮足立った感じもなく、ほど良い緊張感と開放感がある良いライブでしたね。
- 牧達弥(Vo/G):今回の「Magic Number」ツアーは新しい曲をちゃんと届けていくことが課題だったんです。曲の本質を自分たちがしっかり演奏できなかったら、そのツアー自体を俺はやる意味はないと思うし。だから曲を届けたいっていう気持ちがまず一番大きかった。かと言って音源と同じようにするんじゃなくて、ライブの中で感情をガっと持ち上げていく部分もあって。そういう意味では最後のクアトロは良いように全部が働いて魔法がかかったような1日になったな、というのが感想でしたね。
- EMTG:けっこう冷静でしたよね。
- 牧:そうですね。うん。そこは変わったなと思ってます。もちろん楽しいし、興奮もしてるんですけど。その中で僕は歌ってるぶん、言葉でお客さんと繋がれるから。感情だけで終わらせちゃもったいないと思うようになってきましたね。
- EMTG:プリティはどうですか?
- 長谷川プリティ敬祐(B):ライブってお客さんと自分たちとが同じ場所で感情を出し合ってるから、ふとしたときに暴れ馬みたいになっちゃうと思ってて。その手綱を握る。しっかり感情の行き場をコントロールする立場に自分がならなきゃなっていうのは、悩んだりもしたんです。それがワンマンではしっかり自分が狙ったところで、お客さんの感情が見えた。やっぱり楽しませたい。それは、お客さんだけじゃなくて、牧やセイヤ、怜也を「やべぇ面白い!」って笑顔にさせたいなっていうのも念頭にあって。……そこに対してはまだ出来てないかな。
- EMTG:じゃあ、次、セイヤくん。
- ジェットセイヤ(Dr):ツアーの前半は勢いでガッていく感じだったんですけど、後半になるにつれて、今回の『Magic Number』っていうアルバムのいろんな曲調をどうやってバニラズにしていくか、牧の歌をどう聴かせるかを重視したのはありますね。
- EMTG:それはすごく感じた。ライブのストーリーも意識してましたよね。
- 牧:僕がお客さんとして見てても、同じような曲がずっと続くと飽きちゃうんですよ。だからカラーがたくさんあるほうが長くやったときに絶対強みが出てくる。まさに今回のクアトロはそれができたかなと思いますね。
- EMTG:では最後に怜也くんはツアーどうでしたか?
- 宮川怜也(G):やっぱり11月からまわって考えていたことが、最後のクアトロでは出せましたね。特に今回はベストのセットリストだったと思います。どこでガッとテンションをあげるかもしっかり考えられました。
- EMTG:で、そのツアーのファイナルのアンコールで披露されたのが「バイリンガール」ですね。そのときはタイトルが「バニーガール」かと思ってました。
- 牧:そう、ネットとかでも、「“バニーガール”、めっちゃ良い!」って書かれてて。嬉しいけど、複雑やなと思って(笑)。
- EMTG:今回はどういうふうに曲づくりをしたんですか?
- 牧:『Magic Number』からちょっと期間を置いてって感じだったんですけど、そのときに、シュガー・ベイブをずっと聴いてたんです。ティン・パン系、ネオアコとか、ラフ・トレードのザ・スミスとか。それで、この感じをライブでダンスビートにのせたら面白いんじゃないかって感覚が出てきたんです。淡いし、サウンドとしてはゴリゴリではないけれども、そこにオシャレな部分もありつつ。
- EMTG:シュガー・ベイブだったり、いわゆるシティポップの影響っていうのは意外。
- 牧:いまムーブメントとしてあるじゃないですか。ネオシティポップ。でも、僕はそことはちょっと違う考え方なんです。模倣はしたくないっていうか。なんちゃってなんです。でも、それが悪いことだとは思わなくて。ビートルズもそうですよね。もともとロックンロールはめちゃくちゃ難易度高い音楽だけど、イギリスの若者たちが「これ良いな」でやっていたところから、ブリティッシュビートだったり、マージービートが生まれてる。それを自分たちの色として取り入れていくっていう。融合を楽しんでる感じですね。
- EMTG:なるほど。その感覚が今までのバニラズとは違う新しいポップ感の原因ですね。
- プリティ:ちなみに、この「バイリンガール」のレコーディングを終えて、初めて牧にベースを褒められたんですよ。いままでは、「どう?」と聞くと、「あ、良いね」って答えるけど、自分から「良いよ」って言ってくれたことはなかったんです。
- セイヤ:たしかその日は(プリティの)誕生日だったよね。
- EMTG:え?それ言うと誕生日だから言ったみたいになるけど(笑)。
- プリティ:いらんだろ、その情報!
- 牧:いやいや、そういうわけじゃないです(笑)。
- プリティ:僕、お客さんに、かっこいい良い曲だなって思わせたいっていうもあるんですけど、まず(メンバー)3人に認められたい。とりわけ曲を作ってる人間に「いいね、それ!」って言わせたいんです。
- EMTG:プリティはライブもさっきそう言ってたね。
- 牧:俺もそう思った。メンバーに対してしかないんか(笑)!
- プリティ:でもそこが一番大事なところだと思うんですよね。
- EMTG:実際のところ、プリティのベーシストとしての進化はどう思います?
- 牧:やっぱり彼に対しては、差し引きっていうところを学んでほしかった(笑)。
- プリティ:やりたがりなんです。
- 牧:テクニック系っていうか、ドラムンベースとかファンクみたいな音楽だったら、それは全然OKなんですけど。このバンドは隙間を作るのが苦手なんですよね。誰かが行こうとするから。でも言わなかったんですよ、あえて。自分で補正してもらったほうがいい。今回は意外とそれができるようになったから、前よりも聴きやすくなったと思います。
- EMTG:歌が今までより立つよね。
- 牧:そう。それがかなりできたから、良い音源だなあと感じてますね。
- プリティ:ベースだけじゃなくてドラムもギターも、その場面で何を一番生かすべきか、結局、何を聴かせたいのか、届けたいのかっていうのを、ちゃんと考えて共有できるようになったっていうのは「Magic Number」があったからなんです。
- EMTG:その共有できたところを具体的に言うと、いまバニラズは何を伝えたいバンドだと思いますか?
- 牧:ライブから生まれる熱量を失わない曲だけれども、かと言って音楽としても良さを失わない曲を作ること。それがまさに「バイリンガール」ですね。リズム隊に関しては、僕はライブを重視してるんです。でも、その土台に全て任せきりの曲じゃなくて、その上にのる音とかコードワークは高度に作ってたりして。今回はセブンスコードを使ってるんですけど、Aメロ、Bメロは、そのコードに沿ってなかったり。冒険的なことをしてるんです。だからライブでの昂揚感もありつつ、それが日常生活においてもちゃんと聴けるのかっていうところ。それがバンドとして重要かなと思ったんですよね。
- EMTG:要はライブシーンだけでワッと盛り上がるだけじゃない表現が、この先のバニラズには必要ってことですよね。
- 牧:それを初めて試みた曲だと思います。
- プリティ:だから「バイリンガール」は日常でも非日常でもどちらでも機能する。バイリンソングなんです。
- 牧:上手い(笑)!
- EMTG:では最後に「バイリンガールとマザーアイランドツアー」という名前のツアーが6月から始まります。これは「マザーアイランド」っていう曲がこの先に出るから?
- 牧:いや、違います(笑)。出るかどうかは未定として。初めてのワンマンツアーだし、名前をつけようぜってところで。「バイリンガール」ツアーだと夢がねえな、と思って。「マザーランド」は、母国っていう意味ですよね。でも、日本は島国(island/アイランド)だから本質的にはマザーアイランドやなあっていう気持ちだけです。
- プリティ:なんかアイランドって楽しい感じがするんですよね。
この世をロックにサバイブする女子の生き様を描いたgo!go!vanillasのニューシングル『バイリンガール』。この曲でバニラズは新しいフェーズへと突入する。これまで以上に”伝えること”にシビアに向き合ったという今作は、ライブシーン(非日常)に不可欠な踊れるビート感と、お茶の間(日常)を虜にする歌の訴求力とを兼ね備えた強力なポップ/ロックチューン。言うなれば、バニラズを良いとこ取りにした“バイリンソング”。まずは、1月に終えたばかりのツアーの手応えから4人に訊いた。
【取材・文:秦理絵】
リリース情報
中央突破
発売日: 2017年06月21日
価格: ¥ 2,000(本体)+税
レーベル: avex trax
収録曲
01.スタートライン
02.カナデアイ
03.宿り星
04.あなたが好き
05.はちみつ色の月
06.さいごまで
07.ドンマイ!!
08.半径10メーターの世界
09.ヒトリノセカイ
10.スターダスト
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go!go!vanillasがBlue Note TOKYOにて有観客ライブを開催!「“MAKE UP CITY” at Blue Note Tokyo」と名付けられたライブの模様をお届けする。
リリース情報
お知らせ
●牧達弥(Vo・G)
スカジャン
和モノがかっこいいですよ。『“SADO SHIMA×ALCATRAZ”(極東のアルカトラズ)』と刺繍されたスカジャン。着物の日本人の女の人が笠をかぶって踊ってる。ちょっと怪しい感じで。それが6万8,000円とかで。うわー(高い)と思って。中古で探してたけど出回ってないですね。
●長谷川プリティ敬祐(B)
藤岡弘、
この間テレビで見て調べたんです。名前に「、」をつける理由もあって。昔の武士は「、」をつけて、俺はこんなもんじゃねぇっていうのを表してた。だから、付けたみたいです。あと、3日かけてスタッフと完成させたドミノが倒れた瞬間の動画が面白いです。
●ジェットセイヤ(Dr)
ドクターマーチン
靴のブランド。今日もメンバーみんな履いてるね(笑)。今年で55周年なんです。いま、イギリスの工場がひとつしかないんですけど、見学に行きたい。そこではアウトレット商品があって、7?8,000円ぐらいであるらしいです。もしくは、いつかgo!go!vanillasとコラボ(笑)。
●宮川怜也(G)
床 寝る 健康
柔らかいところで寝ると背骨が歪むらしんです。平なところで寝ると健康になる。それで最近、寝袋で寝てるんですよ。ベッドはあるんですけど(笑)。そうやって骨盤がしっかりなったら、背が2cm伸びるらしいです。
■ライブ情報
go!go!vanillas presents READY STEADY go!go! vol.02
2015/05/05(火祝)新代田FEVER
ゲスト:SAKANAMON
バイリンガールとマザーアイランドツアー
2015/06/11(木)仙台 MACANA
2015/06/13(土)札幌 cube garden
2015/06/19(金)広島 NAMIKI JUNCTION
2015/06/21(日)福岡 DRUM Be-1
2015/06/26(金)梅田 CLUB QUATTRO
2015/06/27(土)名古屋 CLUB QUATTRO
2015/07/01(水)新潟 CLUB RIVERST
2015/07/04(土)恵比寿 LIQUIDROOM
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。