BUMP OF CHIKEN新シングル「Hello,world! / コロニー」に“藤原そのもの”を描く
BUMP OF CHICKEN | 2015.04.22
- EMTG:まず「Hello,world!」はアニメ『血界戦線』のオープニングテーマのオファーがあってから書き始めたんですか?
- 藤原:今年に入ってからいつもどおりスタジオに入って、どこから書いたのかな? たぶん言葉だったと思います。最初の4行を書きながら歌って。
- EMTG:〈扉開けば 捻れた昼の夜 / 昨日どうやって帰った 体だけが確か / おはよう これからまた迷子の続き / 見慣れた知らない 景色の中で〉の部分ですね。
- 藤原:その最初の4行は当時の僕そのものなんです(笑)。でも“これだ”と思ったらそこから先の方向性は定まるというか。これは、どの曲もそうなんですよね。だから、サビから書けるときもあるし。それが今回は頭の4行だったんですよね。で、曲を書いてるときはそんなにBPMが速いと思ってなかったんですけど、升くんがドラムを叩いてるのを見たら“ゴメンな”って思って(笑)。
- 升:かなり速いですね(笑)。
- EMTG:BPMは優に200を超えてますよね。
- 升:211かな。
- 直井:今までの最速はいくつだっけ?!
- 升:最速は「サザンクロス」で216かな。でも、「Hello,world!」はリスナーとして聴いてるとそこまで速い印象はなくて。
- EMTG:不思議とそうなんですよね。疾走感はあるなと思うけど、高速ナンバーという印象は受けない。
- 升:うん。ドラムを叩いてるときは“速い!”と思うんですけどね。
- EMTG:もう1曲の映画『寄生獣 完結編』の主題歌である「コロニー」なんですけど。この曲は一転して、荘厳なシンセとピアノをバックにした藤原くんの歌が続いていって、中盤でバンドサウンドが合流し、ラストに向かって〈オーイエス!〉というコーラスとともに歌がダイナミックに解放される。そして、最終的にはまたシンセとピアノと藤原くんの歌で楽曲が閉じられるという展開で。
- 藤原:アコギを弾きながら、歌いながら、ちょっとずつ組み立てていって。
- EMTG:かなりじっくり組み立てていった?
- 藤原:そうですね。サラサラという感じではなかったです。曲が行くべき方向はちゃんとわかってるから、焦りや不安はなかったんですけど、ほかの曲の1.5倍くらいは時間をかけましたね。この曲もね、やっぱり今の自分のことを書いてるんですよ。僕、去年の今ごろに肺気胸という肺に穴があく病気になって手術を受けたんですけど。その手術以降、神経痛が残っていて。でも、それは大げさに言うほどの痛みではないんです。“おお、なんか肺が引きつるな、突っ張るな”みたいなそういう痛み。その痛みは未だにちょいちょい残ってるんですけど、この曲を書いてるときはその神経痛がちょっと強めだったんですね。「コロニー」はそれについて書くところから始まって(笑)。
- EMTG:マジか(笑)。出だしの〈どこだろう 今痛んだのは〉というフレーズはそれなんだ。
- 升:かわいそうだな(笑)。
- 直井:で、そのフレーズに繋がる痛みの歌詞は前の曲にあって。それが「モーターサイクル」なんですよ。
- 藤原:「モーターサイクル」でも出だしで〈起きたら胸が痛かった 心とかじゃなく右側が〉って(笑)。
- 直井:ハッキリ書いてる(笑)。
- EMTG:そのまんまっていうね(笑)。
- 藤原:僕が肺気胸になったのはあれから4年も経ってからなんですけど、“藤原が肺気胸になりました”というアナウンスがあったときに、ファンレターで“大丈夫ですか? 「モーターサイクル」のときから穴が開いてたんじゃないですか?”ってツッコミがちらほらあって。それ、正解です(笑)。
- EMTG:大正解だ(笑)。『寄生獣 完結編』の主題歌という部分で意識したことはありましたか?
- 藤原:『寄生獣 完結編』を観せてもらってからの作業だったので、このタイミングで流れるというのはわかってたから、そこでイントロを付けるか付けないかを決めたんですよね。最初に僕が作ったデモからの大きな変化で言えば、シーケンスフレーズですね。フィルターっていうんですかね?
- EMTG:奥まって鳴っているビートですね。
- 藤原:そうそう。ビートが鳴ってると思わない人もいるであろうあのシーケンスだけで最後までいくバージョンと、あとはハッキリとここから盛り上がっていくというドラムを入れたバージョンの2つを用意して、それをみんなに聴いてもらったんです。
- EMTG:結果的に後者を選んだ。
- 藤原:その選択は僕が独断でするべきではないと思ったので。和音感をどういう奥行きで表現するか。それだけである程度の全体像は見えたところがあったので、リズムに関してはみんなで話し合いながら決めようと。その結果、今の形になって。
- 升:最初に聴いた前者のパターンのイメージが強烈で。“これでよくない?”ってなったんですけどね。
- 直井:藤原くんのボイス、シンセパッド、ピアノ、アコースティックギター、フィルターのシーケンス、それだけで十分すばらしかったから。
- 升:だから自然に“生のドラムとしては今回やることないな”って思ったところからスタートして。でも、そこから後者のパターンも試してみようってなって。で、藤原くんから「コロニー」の原型をもとに秀ちゃんが作ったリズムパターンと僕のべースをPro Toolsに入れて、強弱をいじってから、例によって翌日プリプロに入って。そこで僕と秀ちゃんのリズムが入ったトラックを藤原くんと増川くんとスタッフに聴いてもらって、細かく詰めていったという。その時間はすっごい楽しかったです。
- EMTG:最後に今後の展望を聞けたら。今のBUMPを見てたらね、間断なく制作を続けていくと思うんですけど。
- 藤原:どうかなあ。現状はね、文字どおり“ケツの毛まで抜かれてる状態”なので。
- EMTG:ツルツルなんだ。
- 藤原:ツルッツルですね(笑)。
- 直井:藤原くんに“書いて!”って言ってる曲もないですし。
- 藤原:開墾が終わった土地みたいな感じですよ。焼き畑のあとみたいなね。
- 直井:ただね、いつまでもその状態は許さない!
- 一同:(笑)。
- 直井:さあ、耕してください!(笑)。
- EMTG:種を蒔こうよと。
- 直井:そうそう。
- 藤井:じゃあ種を蒔きますか。
- 升:いいね。
- 直井:(スタッフ)に曲作りのスタジオを押さえて!
- 藤原:スタジオに入ったらすぐに書けますよ。
- EMTG:おおっ!
- 直井:今すぐ押さえてください!
- EMTG:でも、数年前までは冗談でもそんなこと言わなかったよね。
- 藤原:確かに(笑)。冗談でも言わなかった。でも、今のオラはいける気がする(笑)。
- 直井:オラもその発言を聞いてビックリだ(笑)。
- 増川:じゃあスタジオに入ってもらおう! さらに新しい曲を聴いてもらえる日はそう遠くない未来かもしれません。
BUMP OF CHIKENにとってフィジカルシングルとしては約2年7ヶ月ぶりとなる両A面シングル「Hello,world! / コロニー」がリリースされる。「Hello,world!」はアニメ『血界戦線』のオープニングテーマとして、一方の「コロニー」は映画『寄生獣 完結編』の主題歌として書き下ろされたものである。BPM200超えのテンポで肉体性に富んだバンドサウンドに絶妙な起伏をつけながら疾走する前者と、荘厳なシンセとピアノをバックに藤原の歌が紡がれていき、やがてバンドアンサンブルの合流とともにダイナミックな広がりを見せていく後者。サウンドメイクの方法論は異なるが、やはり今のBUMP OF CHIKENが、確かにここで生きているということを体現する歌という意味において、この2曲は離れがたい命綱を共有している。メンバー全員に話を訊いた。
【取材・文:三宅正一】
リリース情報
「カノエ暴走。」
発売日: 2017年07月19日
価格: ¥ 1,500(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
01. 私立カノエ厨学校校歌
02. 沼に落ちて
03. たのしいバストの数え歌
04. ダイエットのうた
05. SNS
06. バレンタインのうた
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お知らせ
BUMP OF CHICKEN「Hello,world! / コロニー」CD購入者限定リリース記念スペシャルライブ
2015/07/30(木)大阪府 インテックス大阪
2015/08/04(火)神奈川県 横浜アリーナ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。