黒木渚のニューシングル「君が私をダメにする」は全曲ラブソング
黒木渚 | 2015.06.10
- EMTG:今、恋愛をテーマにした作品を出した理由は?
- 黒木:「革命」や「虎視眈々と淡々と」みたいに、これまでタフに生きていく様を曲に書いてきて。実際、そういうタフな生き方は目指しているけど、ふと“人間って何をもらったら無敵になるのかな”ってことを考えたんですよね。それで“やっぱり恋愛は外せない”と。恋愛に差し掛かっていく時の無敵な感覚を書きたいな、と。
- EMTG:怖いものが無い感覚ですよね。
- 黒木:はい(笑)。仕事も人間関係も何もかもうまくやれるって思える。あの感覚って、ちょっとした覚醒だと思うんですよね。その気持ち良さを歌にできたらいいなと思ったし、夏に向けて気持ち良く恋愛していって欲しいなとも思ったんですよね。
- EMTG:作るにあたり、自分の経験も参考にしたり?
- 黒木:そうですね。私にもそういう……恋愛の爽快な時期、経験があるので。昔の日記帳を引っ張り出して、恋愛真っ最中の時の気持ちを読み返して、一気に書き上げたんです。で、書いてみて、アッパーでラブリーな曲だな、と。でも“ラブリーだけで終わるのは、黒木渚らしくない”って、自分で思ってしまって。ハッピーエンドじゃない曲も書きたい、出てくる予感があったので、ズルズル書いてしまって、最終的に4曲に(笑)。
- EMTG:ズルズルって(笑)。それはつまり、どんどん出てきたってことじゃないですか。
- 黒木:そうですね。実際はもっとたくさん曲が出来て。その中でも珠玉の4曲を……って感じです。自分の経験もあるし、理想の恋愛もある。あとは恋愛未満、いい思い出になっている恋愛もあります。例えば、“あぁ、プラトニックだったなー”とか思うような恋愛(笑)。今回曲を作る中で、そういう気持ちをすごくたくさん思い出したんですよね。豊作でした、本当に。
- EMTG:収録曲について、1曲ずつ“どんな恋愛がテーマになったか”をお伺いできればと思います。タイトル曲の「君が私をダメにする」は?
- 黒木:これは堕落論に近いというか。快楽に溺れる。
- EMTG:堕落論。“堕ちよ、されど生きよ”ですね。
- 黒木:いけないいけないと思いながら、恋に堕ちていく。でもそうやって崩れていく自分のことをちょっと愛してるみたいな。お互いダメだダメだと思いながら崩れあっていく気持ち良さがあるよな、と。だって、♪ 会社を休んでクラゲを見に行こう とか、普通に考えたら、絶対ダメじゃないですか(笑)。
- EMTG:ダメですね。恋愛として継続しないパターン。
- 黒木:そうなんですよね。だけど、そういう振り回されている自分も含めて、恋愛が最高に楽しいって感覚を書いた曲で。恋愛の序盤の女性って、まさにこういう心境だと思うんです。
- EMTG:「エジソン」は?
- 黒木:「エジソン」は、もっとシリアスに、真面目に愛を考察している自分を書いています。愛というものがあったとして、その周りをぐるぐる回りながら観察しているような。結局、結論は出なかったんですけど、でも愛めいたものは見つかって“これが愛なのかしら?”って、首をかしげている。エジソンの名言で“天才は1%のひらめきと99%の汗”というのがあるじゃないですか。恋愛も本当にそうだと思って。例えば、お金持ちでイケメンでめっちゃ優しくて、本当に99%パーフェクトな条件が揃ってても、残りの1%でパッとひらめくものがないと、恋愛に発展しないよな、と。そこがリンクすると思って、歌詞にも1%という言葉を使いました。
- EMTG:「レスポール」は?
- 黒木:これは不器用な部分が出た曲ですね。相手(=彼)が、繊細なんですよね、たぶん。気が弱くて、いろんなことに気をもまれやすくて、振り回され気味の彼をなんとかして、その悲しみから目をそらさせたいと思っている。私に注目してもらうことで、彼が悲しみに飲み込まれないようにしたいっていう。その方法として出てきたのが、100万円のレスポールをどぶに捨てるってことだったんだけど、これはめちゃくちゃ不器用だなと思って。もう、とんでもない、みたいな(笑)。でも私にもそういう部分あるなと思ったんです。
- EMTG:ということは、この“レスポールをドブに捨てた彼女”は、それでも相手は自分を許してくれると思っているってことでしょうか?
- 黒木:たぶんそう……いや、もうそんなこともどうでも良くなってるという(笑)。とにかくハプニングを起こして、相手に“こんな細かいこと気にしてられない”って状況を作って、彼を助けていこうってキャラクターです。
- EMTG:それは……ものすごい恋愛ですね。2人のその後が気になります。では「アンチスーパースター」。
- 黒木:これは、女の人は、過去の恋愛に関する憤りとか、あるんじゃないかなって思って。若気の至りだったとか、黒歴史というか(笑)。自分の中でカウントされない恋愛って絶対にあると思ったんですね。
- EMTG:あぁ“なぜ、こいつに引っかかったんだ”みたいな。
- 黒木:そうそう(笑)。“あぁ、自分の落ち度だったな”って反省するような。
- EMTG:後からしますよね、反省。後悔じゃなくて反省。
- 黒木:そうなんですよね。だからそういうことをきっぱり歌っちゃおうと。でも相手は変わるけど、名曲は変わらないっていうか。付き合う男性は変わっていっても、その人が残してくれた音楽的な要素とかは、いまだにずっとグツグツ私の中に残ってる。だから女の子って偉大だなとも思うんですけど。
- EMTG:今、なにげに、相当、生々しいエピソードを披露していただきましたよね?
- 黒木:(笑)そうですね。
- EMTG:黒木さんにとって、恋愛は苦しいもの? それとも楽しいもの?
- 黒木:私は楽しむ方だと思いますね。向こうが苦しむかは……ちょっとわかんない(笑)。
- EMTG:(笑)そういう……苦しませてるかも、みたいな自覚はあるんですか?
- 黒木:相手は結構……そうなんじゃないかな、と。私、ヤキモチとか全然やかないし。
- EMTG:なるほど。それは“本当に俺のこと好きなの”って聞かれちゃいますね。
- 黒木:“何考えてるかわかんない”って、めっちゃ言われます(笑)。
- EMTG:そんな黒木さんに、あえてご質問します。“バンドと俺とどっちが大事なの”と言われたことは?
- 黒木:あります、あります。もちろんバンドって(笑)。音楽の方が、全然大切です、本当に。
- EMTG:即答でしたね(笑)。今作の話を伺って、やっぱり黒木さんは、優秀なストーリーテラーだと思ったんです。1曲1曲の設定も明確ですし。だから歌詞も、生々しく聴こえる。でも聴いててどこまで本当かわからないって感覚も強いんですよね。歌詞ひとつとっても、経験も入っているとは言え、どこまでが素の黒木渚なのか、と。
- 黒木:なんか、不思議な感覚なんですよね。活動を進めていくと、プライベートの黒木渚と、音楽家の黒木渚が、ちょっと分裂してくるような感覚で。例えばライブをしている時は、自分の自我があってすごく楽しんでいる。でも後で思い出してみると、自分の片割れが“頑張ったな”って言ってるような。そういう瞬間があるんです。今回のシングルに関しても、自分の経験を書いたけど、どこかで客観視している部分もあって。100万円のレスポールをどぶに投げ捨てるなんて、こんな乱暴なこと、私生活ではしないですから(笑)。逆に、私生活ではまっとうな恋愛がしたいって、普通の女の子のように思っている部分もありますし。なんか例えば、頑張ってる音楽家・黒木渚の養分になるために、私生活の黒木渚が情報提供をしているというか。作品の中の主人公の中に、小さい黒木渚を派遣するみたいな。そういう、本当に不思議な感覚が、いつも自分の中にあるんですよね。
黒木渚が、もう止まらない。
“2015年は休まず走り続ける”と、自ら公言したとおり、年明けからシングル、ワンマンツアーと展開してきた彼女。両方とも完成度も密度も高く、音楽生活の充実を感じさせる内容だった。そんな中、彼女が、夏の空に向けてしなやかに、次の矢を放つ。
ニューシングル「君が私をダメにする」が完成した。
黒木渚史上、屈指のパワー・ポップとなったタイトル曲を筆頭に、収録曲4曲が、すべて恋愛をテーマにした楽曲である。4曲の中に潜んだ黒木渚の恋愛観とは?
【取材・文:伊藤亜希】
リリース情報
METROPOLIS
発売日: 2018年01月24日
価格: ¥ 3,000(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージックジャパン
収録曲
1.Intro
2.Starry Places
3.HEAD TRIP
4.SHINE
5.ひかりのまちで(Acoustic Version)
6.Cry to Happy
7.Time Machine
8.Killing Me Softly
9.Still In My Heart
ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
■マイ検索ワード
ダンソン
自分で書いている小説に“鹿”が登場するんですが、狩りの話をしている時、スタッフの方が狩りをテーマにしたコントをやっている方々がいるというので検索しました。
■ライブ情報
黒木渚 FREE LIVE ONEMAN TOUR「君が私をダメにする」
2015/07/05(日)宮城県 MACANA
2015/07/11(土)福岡県 BEAT STATION
2015/07/18(土)大阪府 ROCKTOWN
2015/07/19(日)愛知県 ell.FITS ALL
2015/07/22(水)東京都 LIQUIDROOM
上記の無料ライブ、最終応募受付、決定!!
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
ダンソン
自分で書いている小説に“鹿”が登場するんですが、狩りの話をしている時、スタッフの方が狩りをテーマにしたコントをやっている方々がいるというので検索しました。
■ライブ情報
黒木渚 FREE LIVE ONEMAN TOUR「君が私をダメにする」
2015/07/05(日)宮城県 MACANA
2015/07/11(土)福岡県 BEAT STATION
2015/07/18(土)大阪府 ROCKTOWN
2015/07/19(日)愛知県 ell.FITS ALL
2015/07/22(水)東京都 LIQUIDROOM
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