この9月で結成10周年を迎えるThe Birthdayは、９月には3度目の武道館公演が決定、ベスト盤『GOLD TRASH』のリリースも発表した。記念すべき最初のディケードも、通過点といわんばかりのスピードで、５月13日と6月10日にシングルを連続リリース。いずれも彼等らしい分厚く骨太なバンド・サウンドに豊かなビートが響き、チバユウスケ(Vo,G)がざらついた声で想像を刺激する歌が圧巻だ。この２作について、４人揃ってインタビューに応じてくれた。

EMTG：The Birthday結成10周年ですが、意識してました？

チバユウスケ(Vo,G)：言われてはいたけどね、ああ10周年か…って。

EMTG：この10年で印象に残っていることは？　ギターがイマイノブアキさんからフジイケンジさんに交替したり、いろいろあったかと思いますけど。

チバ：忘れちゃった（笑）。ああでも最近の話になっちゃうけど、フジケン入って、『I’M JUST A DOG』作った時は、嬉しかった。

クハラ：俺は、思い出的にはエーちゃんの日産スタジアム。いろいろ思うところはあった。

ハルキ：俺はフジロックかなあ。自分が出れるなんて思ってなかったから、すっごく嬉しかった。フェスに行ったことがなくて、出る方が先になった（笑）。

フジイ：チバくんと被るけど、僕も最初に出会った時。で、アルバム作って。もう無我夢中でやってきたんですけど、ここ最近は僕が５年目のタイミングでThe Birthdayが10周年で、これまでのThe Birthdayの歴史があるから、俺が今この景色が見えてるんだなということを、改めて思いますね。

EMTG：さて、その10周年シングル第１弾『I KNOW』は、ドラムだけで始まるイントロが恰好よくて。

クハラ：ありがとうございます。

EMTG：この形が出来た時は、これだ！みたいな手応えがありました？

チバ：まあ、いろいろ試して。

クハラ：いろいろやったね。ギターが一人ずつ入るタイミングとか、どこでギター二人になるかとかさ。いろいろセッション繰り返して。それで決まると、ね。よし！みたいになりますよ。

EMTG：ベースも共に動いている感じで？

ハルキ：基本的な部分はそんなに変わらない。でもこの曲はリハで叩いてた、俺が好きなドラムのオカズがあって、ここはこう叩いて欲しいってお願いして。ほんの2、3秒なんだけど。

クハラ：まあ、曲に呼ばれて、そういうのになっていって。よく行き着いたな、ああいうとこに。それでOKテイク録れるとホッとしますよ。

フジイ：大変ていうけど、みんな言うより少ないテイクでやってますよ。その中で僕がソロのダビングとかで、若干残業がある（笑）。

クハラ：手当はつかないっす（笑）。

EMTG：ところでチバさん、「I KNOW」のサビで歌う”DEVIL’S ROCK’N’ROLL LAW”がインパクトありまくりですが、どんな意味あいで？

チバ：あのねえ、"DEVIL’S LAW”って、あまりいい言葉じゃないんだけどさ、でもいいやと思って。

EMTG：それに続く”なんでもありの自由の世界”は、自由に見えて息苦しい今の我々がいる世界への反発みたいのだったり？

チバ：まあでもそういうのはあると思うよ、きっと。だからそういう歌詞になった。

EMTG：カップリングの「ダンス・ナンバー」は、とてもポップでこっちがメイン・トラックでもいいんじゃないかと思ったんですけど、悩みませんでした？

チバ：全然悩んでない（笑）。ホントはもっといろいろあったんだけど、結局こうなっちゃった。いろいろ右往左往したのよ、作る時に。俺のイメージしてたのとちょっと違ってたから、まあどうかなって。でも出来上がってB面というかカップリングで入れようってなって、聴いたら、「全然いいじゃん！」「いいなあこれ！」という話はした。

EMTG：何が違ったんですか？

チバ：路線が違うというか、ニュアンスが違うというか。いいんだよ。バンドっぽいというかね。

EMTG：４人で演奏することで別なものになって行く感じですかね。歌詞の中にカギカッコつきのところがありますけど、これは何か特別な意味が？

チバ：それは俺が言ってるわけじゃないって言う意味で。別な人物が言ってる。

EMTG：誰なんでしょう？

チバ：まあいじゃない、それは。

EMTG：では「MOTHER」に移りましょう。この曲は作っている時にシーナ＆ロケッツのシーナさんが亡くなってショックだったとか。

チバ：ああ…歌詞を作ってる時。歌入れしないとって時にシーナさんが亡くなって…。歌詞が出来上がっていたんだけどね。タイトルもずいぶん前から決まっていたし。

EMTG：冒頭の、”片方のジャックパーセル”に想像をかき立てられます。モチーフになるようなこととかあったり？

チバ：まあ、いろんなのあるじゃん。ギャングとかが、死んだら電線に靴を引っ掛けるんだよ。そういうイメージもあったし、別に何があったかは限定しない。

EMTG：演奏に話を移すと、この曲はずっとギターがワウ・ペダルを使った音になっているのが新鮮というか懐かしいというか。

チバ：（笑）今どき、全編ワウ踏んでるヤツいないって言われた（笑）。

フジイ：俺なのにチバくんが言われたんだよね（笑）。ちょっと古臭い感じにしたくて、この曲のどこかでちょっと使おうかと思ったんだけど、本番の時に全部やっちゃった（笑）。

EMTG：チバさんも歌とコーラスでずっと声出してますよね。

チバ：よくわかったね。実は大変なんだよ。

EMTG：ハルキくん、この曲のレコーディングはどうでした？

ハルキ：俺は最初に、このコードだったらベースどう当てる？っていわれて、最初にこのフレーズ弾いちゃったもんで、自分がそれに支配されちゃって（笑）。この曲はクハラさんと気持ちをガッと合わせるのが、大変。

クハラ：でもそれが楽しい。

EMTG：「I KNOW」「MOTHER」、どちらもロックがキーワードになっている気がしますが？

チバ：ああ…まあ、そういうことを考えてるってことなんだろうね。同じ時期に作ってるから。

EMTG：「MOTHER」のカップリングは「WALTZ」。

チバ：これは最初からこういう感じ。歌詞は全然違ったんだけど。

EMTG：これも歌詞にカギカッコつきの部分がありますけど。

チバ：これは会話的な感じ。それはもう、誰でもいい。

EMTG：3連をずっと続けるのはリズム隊は大変？

クハラ：ハチロク（6/8拍子のリズム）はハマれば面白いんだよね。

ハルキ：いい曲になったなあって思う。レコーディングしてると、ミックスとか音の作業があって、たまに魔法がかかったみたいに曲の印象が変わることがあるけど、これはまさにその１曲。

チバ：へぇー。

EMTG：会心の一撃ともいうべきシングル２作ですね。

チバ：うん、もう会心の二撃だよ。

EMTG：間もなくクアトロ×クアトロ・ツアーがあって、秋には3度目の武道館が発表されてます。

クハラ：クアトロ・ツアーは、アルバムのツアーとかじゃないから、いいなと思う。古い曲を引っ張り出したりするじゃない？

チバ：武道館はね、いいなと思ってる。

クハラ：この前の渋谷公会堂もそうだけど、椅子があるところは家族連れとかで来れるからいいよね。俺等と近い年齢の人は喜んでくれますよね（笑）。スタンディングはちょっとって人も、武道館はせっかくだから来てよって思う。老若男女、来て欲しいなあ。

【取材・文：今井智子】