最上級のOL、 Charisma.com初のメジャーアルバム「OLest」

Charisma.com | 2015.07.01

 OL目線で世間の不条理&しがらみにツッコミを入れまくる歌詞で脚光を浴びたCharisma.comがいよいよメジャー進出、その第一弾となるミニアルバム『OLest』が完成した。今なお現役でOLを続ける2人の着眼点と舌鋒は一層鋭くになり、持ち味の毒気もわかりやすく解放。サウンドは新味にあふれ、ラップのフロウもバリエーションを増し、確実にキャリアアップを果たした一枚となった。そんなアルバムに収録された曲たちは社会のどんな場面・状況から生まれてきたのか。紐解いていくと、働くアラサー女子やおじさんサラリーマンに耳の痛い「あるある」が続々です!

EMTG:デビュー時からOLをテーマに歌ってきましたが、今回、タイトルに改めてOLと入れて強く打ち出してきましたね。
いつか:メジャー第一弾ということで、そこを強く押し出すことがわかりやすさに繋がるかなと思って。今の自分たちの強みはコレだ。じゃあ、今回は最上級にそれを出そうと。
EMTG:とはいえ、全曲OLが主人公っていうわけじゃないけどね。
いつか:そう。でも、OL生活に全部通じるような曲であることはこだわりました。
EMTG:歌詞は前作『DIStopping』に比べてとてもわかりやすくなってるし、攻撃性や怒りも色濃く出てるよね。
いつか:出ちゃったなぁーって。意識したわけじゃなかったんですけど、出ちゃったんですよ(笑)。やる気出したら出ちゃった。
EMTG:前作はやる気がなかったみたいじゃん(笑)。
いつか:違う違う(笑)。迷いがあったんですよ、『DIStopping』は。それを自分の弱さだと思ってたんですけど、なんかディスがねっとりした感じだったというか。今回はそうじゃないです。カラッとしてる。
EMTG:そもそも前作は、タイトルがDISとStopの掛け合わせで、行こか戻ろか、みたいな感じだったもんね。
いつか:そう。今回はトッピングどころじゃないですね。もう爆弾(笑)。この野郎!ってぶん投げたみたいな。振り切ってる。
ゴンチ:前作は、歌詞の内容が怖いと思われるんじゃないかって、いっちゃん(いつかの愛称)、言ってたもんね。
いつか:怖い? そんなこと言ってたっけ?
ゴンチ:あれ、言ってなかった?
いつか:夢で見た?(笑)
EMTG:陰湿な感じってことじゃない? ブツブツ喋ってるヤツに後ろから不意打ちされるんじゃねぇか、みたいな怖さっていう(笑)。
ゴンチ:あはは。けど、今回は全然怖くない。逆にすごいストレートな毒だなって。
いつか:けど、これはこれで怖いと思うよ。「やれよ。」とかさ。やれよって、なにアイツ?ってなるよ、絶対(笑)。
ゴンチ:けど、そこまで言われたら、こっちも「やんなきゃ」って思うだろうなっていうストレートさ。ちょっと面白い歌詞にもなってるんで、『アイアイ シンドローム』を思い出させるような感じになってるなって思いましたね。
EMTG:サウンドはバリエーションが増えましたね。ロック調にヒップホップ調、さらにはアコースティック調のゆったりした曲まであって。
いつか:今回はトラックを自分で選ばせてもらって。トラックメイカーも、「やれよ。」と「アラサードリーミン」以外は全員新しい人なんです。
EMTG:リード曲の「お局ロック」はロックンロールなギターをフィーチャーしたビッグビート的なナンバーで新鮮でした。
いつか:これはAstroっていう私が好きなラップグループの岩渕マサルさんっていうトラックメイカーに今回初めてお願いできて。「THEマーくん」っていう感じのトラックで、その時点で超テンションあがって。すげえカッコイイから、歌詞もエッジの効いたキャッチーなものにしたいと思って。
EMTG:歌詞のテーマは?
いつか:お局です。お局の真実。
EMTG:真実!?
いつか:改めて考えたらお局って超ファンタジーなんですよ。お局というと冷徹とかイジワルとか、そういうイメージがあるでしょ。でもあまり実態を見たことがないというか、実際に接したことがなくてもそういうイメージが湧くじゃないですか。
EMTG:確かに。
いつか:それってすごいなと思ってたんだけど、実際、私の会社にいて(笑)。接してみると、イメージと同じではあるんだけど、そうなった理由があるんですよ。それを知ると愛すべきキャラだなと思えてくる。
EMTG:お局になってしまったのにはワケがあると。
いつか:そう。お局になるまでの摩擦があって。
EMTG:摩擦?
いつか:摩擦の原因は、お局より上の立場の男の上司なんですよ。会社に新人が入ってくると、お局さんとその子のスレ違いみたいなのが起きるんです。お局さんが「こうでしょ!」って言ったことに対して「なんでそんなこと言うんですかー」みたいな。免疫がないから新人の子はすぐ泣いちゃう。それでお局より上の男の上司に助けを求めると上司はお局に向かって「いや、こうだから、ああだから」って新人をかばうわけです。そうなると、「なんで正論言ってるのにー」って。
EMTG:「なんで私が責められるの?」と。
いつか:すごい会社のことを考えてやってるんですよ、あの子のためにもなるしって。でも、そうなると、そりゃ陰険になってくるわな、みたいな。それを目の当たりにしたんです、お局と新人に挟まれたポジションで(笑)。
EMTG:そんなお局の実態と悲哀を歌った曲だと。
いつか:そう。その新人が悪いわけじゃないんです。それは社会に出て成長していく過程で必要な経験で。だから、ダメなのは男の上司だろうなと。
EMTG:途中、《実はさみしいだけよ、彼女を誰か助けてあげて》と歌ってるしね。
いつか:そこはお局さんに寄り添っていったんです。しかも、そこは若い子、新人の子のほうに聴いて欲しい。こういうことがあるからお局さんって面白いでしょ?みたいな(笑)。
EMTG:面白がってんじゃん、親身になるんじゃなくて(笑)。
いつか:けど、お局さんって面白いなって思うから。滑稽だなって。そういうのを踏まえて、若い子も「おつぼねー!」って呼ぶくらいの距離感で接すればいいんですよ。向こうも「私、お局だからね、言うよー」っていうふうな関係になったら、いい流れになると思うんですけどね。
EMTG:「マメマメBOYがさつGIRL」は、先日の代官山でのツーマンライブ「Charisma.GUEST」で、「ゴンチに向けた曲」と紹介してましたよね。
いつか:実際は違うんですけど、重なるところもあるかなと。
ゴンチ:まあ、がさつですよね(笑)。よく言われますから、がさつだって。
EMTG:《豆腐はスプーンですくって食す》という歌詞は身に覚えがある?
ゴンチ:もちろん。
EMTG:けど、豆腐をスプーンで食べるのは、そんなにがさつかなぁ。
いつか:やっぱり切ってから食べないと。ちゃんとお箸できれいに。
ゴンチ:え、これは、売ってるパックからそのまま食べるってこと?
いつか:そうだよ。そういうイメージだし、お箸も使えてないっていう。
ゴンチ:じゃあ、さすがに違うな。けど、《洗濯山から靴下掘り当て》とかはそう。
いつか:雑誌だってそうだよ。雑誌のラックとか部屋にないじゃん。
ゴンチ:そうだね。だから結構当たってる。ただ、マメマメBOYがいないってだけで(笑)。
EMTG:「マメマメ~」はゴンチだとして、「ダリぃだらりん」はいっちゃんが自分に向けて書いた曲だと思ったんですが。
いつか:さすがですね、もう。
EMTG:やっぱり、そうだったか。
いつか:きまじめだから、たまには休みたい、休ませろっていう歌です(笑)。たまには息を抜きたいっていう。いろいろ考えちゃう性格なんでね。けど、そういう人は私だけじゃなくて全然いると思うから書いたんです。
EMTG:本作でもっとも新しいチャレンジだと思ったのが「黄昏各位」で。
いつか:これは全然ラップミュージックをやってない、夕食ホットっていう3人組のきくっちゃんという方に作ってもらったんです。僕がつくるなら、いつかちゃんの声を活かしたいから音数はすごい抜いたって言ってて。
EMTG:こういう感傷的なアコースティック系の曲はカリスマ初だよね。
いつか:しかも、初めて座って歌ったんです。最初に家で録ったデモが、夜中にiPhoneのマイクに向かって吹き込んだもので、すごいちっちゃい声で歌ってたんですよ。その雰囲気がいいってことで、本番のレコーディングのときに、ちょっと座ってみようっていうアドバイスをもらって。
EMTG:この曲で引っ掛かったのは「オタンコナス」っていう歌詞。久々に聞いたよ、この言葉(笑)。
ゴンチ:わかります、私もそうだもん(笑)。
いつか:そういうのはすぐに入れたくなっちゃんですよ。なんでですかね。ふざけたくなっちゃうんですよね。
EMTG:死語も死語だよね。それを妙にふんわり優しい声で歌っててさ(笑)。
ゴンチ:オタンコナスは使ったことないですもん。人に向かって言ったこともないし、書いたこともないし、読むのもあまり見たことない。
いつか:やるでしょ?(笑)
ゴンチ:やる、やる(笑)。
EMTG:ゴンチが今回のアルバムで好きな曲は?
ゴンチ:「アラサードリーミン」。こういう人は多いと思います。私の周りもみんなそうだし、同世代の人にはピッタリの曲なんじゃないかなって。
EMTG:アラサー女子ってこんなにうすーくずーっと悩んでるんだ?
ゴンチ:そう。ちっちゃい悩みがいっぱいあると思う。
いつか:そういう人、多いと思いますよ。独身じゃなくて、結婚したり、ママになったりしてても。「ウチが使ってるお肉より、〇〇ちゃんのお母さんが使ってるお肉のほうがいいお肉だから」みたいな。ちっせぇ!と思うけど、そういうのは実際あるし。やっぱ(周りと)比べちゃうんだろうなって。不安定な時期なのかな30代って、と思っちゃう。
EMTG:じゃあ、いっちゃんの目の付けどころにビックリしたという曲は?
ゴンチ:「超絶に胸が痛んでいるあなたの上司」ですね。上司はガンガン言うけど、そんなに嫌なヤツじゃないよっていうことを歌ってて。これは言われて初めてわかる曲だなと思いました。私も「なんだアイツ」って思ったりするけど、こういうふうに思ってる上司もいるんだなって思うと、ちょっと救われたりします。(上司が)こうであって欲しいなって思っちゃった。
いつか:年を重ねて気づいたことですよね、これは。
EMTG:丸くなったってこと?
いつか:丸くなったというより、私にも後輩ができて上司の立場に近づいてきてるから、気持ちがわかるというか、いろいろやんなきゃいけないことあるんだなぁ、みたいな。「でも!」とは思いますけどね。「でも、それはない!」みたいな、噛みつきたいことは、いまだにいっぱいありますから!

【取材・文:猪又 孝(DO THE MONKEY)】

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リリース情報

ドミコ『hey hey , my my?』

ドミコ『hey hey , my my?』

発売日: 2017年10月18日

価格: ¥ 2,315(本体)+税

レーベル: RED Project Room, a division of Sony Music Entertainment(Japan)Inc.

収録曲

01. マカロニグラタン
02. こんなのおかしくない?
03. ロースト・ビーチ・ベイベー
04. ミッドナイトネオン
05. 怪獣たちは
06. バニラクリームベリーサワー
07. 家出をして
08. 深海旅行にて
09. くじらの巣(album ver.)
10. 幽霊みたいに

ビデオコメント

リリース情報

OLest

OLest

2015年07月08日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. やれよ。
2. お局ロック
3. マメマメBOYがさつGIRL
4. アラサードリーミン
5. ダリぃだらりん
6. こんがらガール
7. 超絶に胸が痛んでいるあなたの上司
8. 黄昏各位

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お知らせ

■ライブ情報

Charisma.GUEST
2015/07/03(金)福岡 福岡INSA
w/ Negicco
2015/07/31(金)大阪 梅田シャングリラ
w/ Sugar’s Campaign

OLest リリースツアー2015「No more ZANGYO!!」
2015/10/09(金)心斎橋Music Club JANUS
2015/10/12(月・祝)名古屋ell.FITS ALL
2015/10/18日(日)福岡Queblick
2015/10/23(金)恵比寿LIQUIDROOM

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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