androp、セルフタイトルを冠した最高傑作のアルバム『androp』完成!

androp | 2015.07.23

 バンドの名前を冠した4thフルアルバム『androp』は、超前向きな意欲作。アルバムのトップを飾る「Yeah! Yeah! Yeah!」は、爽快なポップ・チューンでバンドのイメージを拡張する。「Paranoid」はカッコいいギター・リフが牽引するロックナンバーで、これまた新境地。一方で美しいメロディを持つ「Songs」は、andropらしいミディアム・バラードだ。
 昨年3月に行なわれて大成功を収めた国立代々木競技場第一体育館でのライブを起点に、自分たちの世界を広げようという強い意志のもとに作られた『androp』は、間違いなく最高傑作だ。
 今年4月から7月にかけて敢行されたライブハウスツアー“one-man live tour”angstrom 0.7 pm”を経て、ラフでタフになったバンドの今と、ニューアルバムについて中心人物・内澤崇仁に聞いてみた。

EMTG:終わったばかりのライブハウスツアーはどうでしたか?
内澤:楽しかったですよ。その日その日でセットリストを自由に変えて、暴れてきました。
EMTG:たとえば?
内澤:神戸の“チキンジョージ”では、ステージの上にアーチがかかってたんですよ。そこに照明を当てたら虹色になったので、「これは虹が作れるかもしれない」と思って。
EMTG:面白いね(笑)。
内澤:こういうアーチ型になってるライブハウスって、あんまりないですよね。僕らには「Rainbows」っていう曲があるので、セットリストに追加して、それを演奏している時にお客さんに虹を見てもらいました。
EMTG:楽しそうだね! ではニューアルバム『androp』について話を聞かせてください。
内澤:アルバムを意識したのは、14曲のうち、10曲ぐらいが出揃ったころですね。アルバム曲の制作期間を設けて、その期間でアルバムを作るっていうバンドもいるじゃないですか。でも自分たちのスタイルはそうじゃなくて、曲ができて、時間が空いたら「今いちばんカッコ良く録れるのなんだろう」って相談しながらレコーディングしていくスタイルなので。基本的には、前作アルバムの『period』を作り終えて、代々木体育館でライブをした後に曲作りを始めてたので、そこがスタートのような感じですね。
EMTG:ほぼ一年がかり。
内澤:そうですね、1年半くらい。
EMTG:ちなみに代々木でのライブは、バンドに何か影響はありましたか?
内澤:終わったあと、すごくフラットな気持ちになれた。ゼロに戻せたっていう。いろんなものがゼロから感じられて、初心を思い出しましたね。
EMTG:達成感で空っぽっていうよりは、ちょっと違う、空っぽなんだ。
内澤:そうですね、またここからスタートだなって思った。代々木では、アンコールのいちばん最後の曲として、急遽、「Image Word」をやることにしたんです。バンドを結成するときに、4人で初めてスタジオに入って合わせた曲が「Image Word」だった。いったんライブが終わって、お客さんもスタッフさんも帰る準備をしたりしてる人もいる中で、どうしてももう1曲やりたくなった。で、予定してなかった「Image Word」をやったら、初めての時の気持ちを思い出しながら演奏できたんです。すごく新鮮な気持ちだったんですね。そこから、「自分たちは今、なんでもできるんじゃないか」と思ったんです。
EMTG:すごく意味のある“予定外のアンコール”だったんだね。
内澤:はい。andropは、作り込んで作り込んで、納得した形のものをやるライブを目指していたので、作り込んでいないというか、予定してないものをパッとやるっていうやり方はしてこなかった。それを1万人の前で、パッとやった瞬間に、「ああ、今までいろんなものにとらわれていたのかもしれない」と思ったし、こういうことをパッとできるんだなって思った。同時に、初めてバンドで合わせたころの記憶も蘇ってきたし。ステージ上で、「今ならandropはなんでもできるかもしれない。じゃあ、もっと違う曲もトライしてみよう。もっと柔軟に、いろんなこと考えていけるな」って思ったんです。
EMTG:この前、見せてもらったリキッドルームのライブで、内澤くんが思い切りギターを間違えてたよね。でもそれを自分で笑ってた(笑)。以前だったら、2日ぐらい落ち込んじゃったのかもしれないけど。
内澤:(笑)そうそう、すごくラフな感じというか。ホント、素のままでした。もちろん“作り込む良さ”っていうのもあるんですけど、作り込み過ぎて大事なものを表に出すことができなくなってたのかもなっていうふうに思ったんですね。andropは、もっと自由でいいなと思いました。
EMTG:そのときの気持ちが、今回のアルバム全体に浸透している感じなの?
内澤:そうですね。そもそも『androp』っていうタイトルのアルバムを作るっていうことを、5年くらい前に考えてたんですよ。
EMTG:自分たちのバンドの名前のアルバムっていうこと?
内澤:はい。5年前に、『period』まで出したら、次は『androp』っていう作品を作ろうと思っていて。でも5年前は、『androp』っていうベストアルバムにしようと思ってた。「and」と「drop」で、例えば2枚組でもいいなと思ってたんですけど、その代々木のステージ上で、「そうじゃないんだ」と思った。ベストアルバムじゃなくて、今の自分たちのもっと自由なものを表現した、ベストアルバムを越えた、自分たちのベストのものを、『androp』っていうアルバムでやるべきだなって思ったんです。シングルの寄せ集めみたいなベストアルバムじゃなくて、自分たちがちゃんと表現されてる自由なアルバムのほうが、絶対いいなと思ったんです。
EMTG:ベストアルバムを出すのとでは、大きな違いだね。特に代々木をやった後にベストアルバムを出すと、「第一期終了」って自分たちで言うようなものでしょ。そういう意味ではものすごく楽しみながら今回のアルバム『androp』を作ったって感じなのかな。
内澤:そうですね。代々木のライブをやる前から「Run」と「Shout」のお話はもう頂いていたので、代々木が終わってすぐに取り掛かったのはその2曲でした。
EMTG:今回のアルバム『androp』を聴いて思ったのは、同じテーマをブライトサイドとダークサイドの両側から描いているのが面白かった。「Shout」が主題歌のドラマ「家族狩り」は、ダークサイドのほうだと思うんだけど。
内澤:この原作は、何回もテレビ側から企画に上がっては、ダーク過ぎて通らなかったりっていうのがずっとあった作品らしいんですよ。だから原作の天童さんも、長年の夢だったドラマ化をすごく喜んでいて。小説を読むと、けっこう古い時代の話なんですけど、シーンとしては今の時代と変わってない。家庭内暴力だったり、むしろ今の時代のほうが合ってるかもっていうくらい人間の闇の部分を深く描いている。それを自分が曲に落とし込めるのか、ちょっとやってみようと思って作りました。
EMTG:「Run」は男子ワールドカップの応援歌だけど、andropにサッカーは似合うの?似合わないの?(笑)。
内澤:andropにスポーツは結びつかないんじゃないのって自分でも思う(笑)。だから、よくオファーしていただけたなと思って。てことは、「Run」は自由に作っていいんだっていう思いもありました。応援歌的なもの、みんなで歌えるものっていうようなイメージもあったので。
EMTG:精一杯明るくふるまわなきゃいけないってこと(笑)。
内澤:(笑)新しいものにチャレンジする感覚でやりました。なので、サッカーのチケットを取ってもらって、メンバーと観戦したり。
EMTG:さすがにブラジルには行ってないよね(笑)。
内澤:ブラジルはちょっと行けなかった(笑)。JリーグのFC東京と横浜マリノスの戦いを観に行って、ちょうど両チームの真ん中に席を取ってもらって、せめぎ合う会場の雰囲気を観ました。攻めてるときのお客さんのテンポ感とか、声のトーンとか。
EMTG:BPMが120前後とかね(笑)。
内澤:そうなんです。実はiPhoneのアプリに“タップ”っていうBPMを計るのがあるので、それを持ち歩いて。それで計りつつ、「何万人も入る規模感だと、130とか135とか、速くて140とか、それくらいのテンポがのりやすいんだな」と思って、まずBPMをそれで決めました。
EMTG:科学的な作り方だね。
内澤:掛け声は“オーオー”のほうが多いなとか。
EMTG:応援歌ってすごく不思議でしょ。2小節でワンパックの決まりフレーズがある。あれってサビ? Cメロ?
内澤:まさにそうですね。“サビの次”。Aメロ、Bメロ、サビの他にもうひとセクションがあって。
EMTG:ところで、日本が決勝トーナメントに進めないとわかったときの気持ちは?(笑)。せっかく応援歌を作ったのに。
内澤:めちゃくちゃへこみました。ホントに自分のことのように。今までは、応援するといってもテレビの向こう側の話っていう感覚が強かったんですけど、今回はホントに自分事のように感じたし。もうラジオで「Run」は流れないのかって。勝ってくれたら、もうちょっと流れるかもしれないみたいな(笑)。
EMTG:アルバムを作り始めたときに、前のアルバムと違ってきてる部分はあった?
内澤:ありました。今までだったら「Letter」とかは許せなかったんですよ。今までは、機械のように正確なテイクを録りたかった。機械のように正確な音程の歌やギターを録りたかった。「これ、打ち込みでしょ?」「いや、生です」っていう感じのものを目指してたんですよ。整理されていて、よれも一切ないっていうのが、CDの究極だと思ってました。
EMTG:(笑)
内澤:でも、代々木が終わって、そうじゃないのかもなって思い始めた。ライブの熱量は、必ずしも正確な音程だったり、リズムだったりで決まるものじゃない。そのライブの熱量みたいなものを、音源に入れるべきだと思ったんです。ちょっとぐらい正確じゃなくても、ちょっとリズムが前に行ってても、全体でグルーヴしてたらめちゃくちゃカッコいい。それで心が動く。心を動かすCDっていうか、曲にしていくべきだと思ったんですよね。
EMTG:代々木のライブの後にね。
内澤:そこが今までとの大きな違いだと思います。熱量を、なんとかレコーディングに、音源に入れたいと思った。でも僕は、突き詰めるとやっぱり正確さっていうのを求めちゃう(笑)。
EMTG:微妙なところなんだね。
内澤:ただ今回は、できる限りグッとくるテイクを選んでいきました。感情のたかぶりで声がシャープしたりフラットしちゃってる部分も、正確なものと聴き比べてみて、どっちがグッとくるかなっていうので判断しました。
EMTG:そういう意味では、ライブハウスは面白いよね。お客さんと近いから、“顔”でも熱量が出せるじゃん(笑)。
内澤:歌ってる顔が伝わるくらいの音源にしたいなとは思ってました(笑)。
EMTG:最後に、今年の秋のZeppツアーはどんな感じになるんだろうか?
内澤:アルバム『androp』を引っさげたツアーになるので、アルバムの世界観、このアルバムの1曲1曲を自分たちでもう一回ライブ用に掘り下げて表現するツアーになると思います。春のライブハウスツアーから、180度違うライブになると思います。春のライブハウスツアーは、熱量だったり、お客さんと近いところで自分たちの音楽鳴らして、もっと深いところまで音楽を聴いてもらおうっていうのがコンセプトだったりしたんですけど、その熱量プラス、『androp』っていうアルバムの世界観を全面に押し出したツアーにしたいなと思ってます。春のツアーで、そうとう柔軟に、考え方も演奏も自由になってるので、それが反映されたライブになるんじゃないかな。バンドがすごくタフになっているので、それが観る人にもわかると思うし、自分たちも変わったなと思えるライブになると思うので、楽しみにしてもらいたいですね。

【取材・文:平山雄一】





 ■次回、集中連載2回目
 セルフライナーノーツ、前半をお届けします。お楽しみに!!




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tag一覧 アルバム 男性ボーカル androp

リリース情報

hadaka e.p.

hadaka e.p.

発売日: 2018年11月07日

価格: ¥ 1,389(本体)+税

レーベル: EMI Records

収録曲

1.次回予告
2.惜春
3.微熱
4.天才っていいな
5.裸

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リリース情報

androp(初回限定盤)[CD+DVD]

androp(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年08月05日

ワーナーミュージックジャパン

[CD]
01 Yeah! Yeah! Yeah!
02 From here
03 Shout
04 Answer
05 Paranoid
06 Star
07 Dreamer
08 Alternative Summer
09 Letter
10 Corna
11 Ghost
12 Run
13 Songs
14 You Make Me

[DVD]
01 From here (studio live)
02 Paranoid (studio live)
03 Letter (studio live)
04 Yeah! Yeah! Yeah! (studio live)

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お知らせ

■マイ検索ワード

●内澤
iPhone 修理

これ見てください。ツアー中にぐちゃぐちゃになっちゃって(笑)。しばらく東京に帰れてなくて、行く土地土地で「iPhone修理」で調べてました。Apple Storeって、なかなかないんですよね。


■ライブ情報

one-man live tour "androp"
2015/09/19(土)Zepp Tokyo
2015/09/20(日)Zepp Tokyo
2015/09/23(水・祝)仙台Rensa
2015/09/26(土) Zepp Sapporo
2015/10/04(日) 広島CLUB QUATTRO
2015/10/11(日) Zepp Fukuoka
2015/10/17(土)Zepp Namba
2015/10/18(日)Zepp Namba
2015/10/24(土) Zepp Nagoya
2015/10/25(日) Zepp Nagoya

EMTGでは、このツアーのチケット先行受付を実施中!
受付期間は7/26(日)23時59分まで。
EMTG会員/EMTG Liteに登録の方がご応募いただけます。

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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