amazarashiの2ndシングル「スピードと摩擦」について秋田ひろむへ訊いた。

amazarashi | 2015.08.17

 「スピードと摩擦」は、これまでのamazarashi作品の中でも極めてアグレッシブでスリリングな楽曲だ。畳み込むような切迫したテンポのトラックに乗って、骨、死屍、銀蠅など刺激的な言葉が連射される。現在オンエア 中のテレビアニメ『乱歩奇譚 Game of Laplace』のオープニングテーマであるこの曲は、今も色あせない江戸川乱歩という超個性的な作家に対するamazarashiの思いが込められている。乱歩は日本初のミステリー作家で、世相に敏感でありながらミステリアスな存在感は、amazarashiと共通する部分が多いかもしれない。
 このシングルのリリース直前に3Dライブを行なうなど冒険心に富んだamazarashiの活動について、秋田ひろむに聞いてみた。

EMTG:今回、「乱歩奇譚」のテーマソングに「スピードと摩擦」が選ばれたとき、どんなことを考えましたか?
秋田:タイアップの話しは時々頂くんですが、中々決まる事がなかったので嬉しかったです。江戸川乱歩をテーマにしたアニメだと聞いて、どんな曲がいいんだろうと悩みました。でも江戸川乱歩だからこそちょっとひねくれた曲でもありかもしれないと思いました。じっくり聴かせる歌ものよりは、尖った曲調の方がいいかと思って「スピードと 摩擦」を提出しました。
EMTG:江戸川乱歩をイメージしてこの曲を作ったとき、“スピード”と“摩擦”という言葉を組み合わせたのは、何かキッカケがあったんですか?
秋田:車でもスピードが出れば出る程危険が増すわけで、これ以上は危ないと思っても、なんか焦ってスピードを上げてしまうようなイメージです。この曲は定型的な詩を書こうと思って、始めに言葉数と押韻するというルールを決めて書きました。単調な繰り返しの中で、スピード感や衝動的なものが出来ればいいなと思ってそういう作り方をしました。そういう中で「スピードと摩擦」という言葉が生まれて、僕の中にある焦りをテーマにした曲になりました。
EMTG:アニメのオープニングで、「スピードと摩擦」が映像と一緒に流れるのを見たとき、どんな感じがしましたか?
秋田:格好良かったです。歌詞のタイポグラフィーとか僕らの世界観に通じるものがあって、寄せてくれたのかなって勝手ながら思いました。実際映像を見るまでは、僕らの曲が合うか不安だったんですけど、やれて良かったなと思いました。
EMTG:それにしても「スピードと摩擦」では、いつになく歌に感情が露わになっていますが、なぜですか?
秋田:以前やった「千分の一夜物語スターライト」はアコースティックライブで、ストリングスも入れての編成だったので、とても歌に繊細さが求められました。がならないように、ピッチもテンポ感も気を使ってっていう。その反動で、今回は思いっきり感情的に勢いで歌おうと思いました。
EMTG:反動だったんですね(笑)。ところで秋田さんの好きな乱歩の作品はなんですか?
秋田:子供の頃読んだので曖昧ですが、「人間椅子」と「芋虫」が印象に残ってます。読まなきゃ良かったなーって思うくらいのトラウマがあります。
EMTG:確かに乱歩作品のいくつかは、トラウマになるくらいリアルな怖さがありますよね。僕は「押絵と旅する男」が好きです。ちなみに、“ものを創る”ということにおいて、秋田さんと乱歩との共通点はありますか?
秋田:どこか振り切ってやらなきゃ駄目なんだろうなと思います。誰が何と言おうと自分の表現したい事をとことんまでやるという。江戸川乱歩は絶対人の為に書いてないですもんね。大衆的な作品もありますが。
EMTG:そうですね。振り切っているから、心に残る作品が生まれるのかも。「風邪」をカップリングにしたのは?
秋田:締め切り間近に風邪をひいてしまって、頭が回らなくて歌詞が書けなくて、それならこの状況をそのまま書こうと思って作りました。
EMTG:そのまんまじゃないですか(笑)。
秋田:この曲は「スピードと摩擦」と「名前」を繋ぐインター ルード的な役割です。激しい曲からクールダウンするようなイメージで作りました。
EMTG:風邪で微熱のある状態が好きな んですか?
秋田:嫌いです。数年ぶりに風邪ひいたんですが、こんな辛いものだったかなと思いました。
EMTG:もう1曲のカップリング「名前」は?
秋田:いわゆる、あだ名とか肩書きとか、そういうものに悩んだ時期があって、この曲を作りました。特に音楽をやってると、デビュー前はどんなに真面目に音楽やっててもフリーターで、次の日デビューしたらミュージシャンになってたりするんです。自分自身は一ミリたりとも変わってないのに。そういう憤りを歌にしました。
EMTG:「名前」の歌詞の最後は♪最近の僕はよく“皮肉屋”って言われるよ♪となっていますが、実際に“皮肉屋”と言われたときはどんな気持ちですか?
秋田:この箇所はオチの部分で、何でもよかったんですが、皮肉っぽい歌を作っちゃったなと思って“皮肉屋”としました。僕自身は何と呼ばれてももう大丈夫です。解決してる事なので。
EMTG:今回、3Dライブという新しい試みに、なぜチャレンジしようと思ったのですか?
秋田:デビュー五周年という事もあって、何か面白い事をやりたいなと思って、WWWでのワンマン しかり、今回の3Dライブしかり。amazarashiは映像に重きを置いてる部分があるので、こういう技術に挑戦してみるのも面白いと思いました。
EMTG:これまでに観た3D作品で、好きなものはありますか?
秋田:「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society 3D」あと、東京ゲームショウで体験したOculus Rift。ヘッドマウントディスプレイです。これでエンタメの世界が変わると思います。
EMTG:ありがとうございました。

【質問作成&文:平山雄一】

tag一覧 シングル 男性ボーカル amazarashi

リリース情報

MYNE

MYNE

発売日: 2019年02月27日

価格: ¥ 2,759(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

1.cymbidium
2.Cry Cry Cry
3.Hope the youth
4.トワイライト
5.five
6.ASOBI
7.MIRROR BALL
8.BASSBALL
9.SUTTA MONDA
10.夜な夜な

リリース情報

スピードと摩擦(初回仕様限定)[CD+DVD]

スピードと摩擦(初回仕様限定)[CD+DVD]

2015年08月19日

SMAR

[CD]
1.スピードと摩擦
2.風邪
3.名前
4.スピードと摩擦 acoustic Version
5.スピードと摩擦 instrumental
6.風邪 instrumental
7.名前 instrumental

[DVD]
LIVE @nikoniko 2015.05.12
1.光、再考
2.ムカデ
3.季節は次々死んでいく
4.無題
5.スターライト

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お知らせ

■ライブ情報

amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016
2016/01/17(日) 北海道 Zepp Sapporo
2016/01/24(日) 愛知 Zepp Nagoya
2016/01/31(日) 福岡 Zepp Fukuoka
2016/02/20(土) 広島クラブクアトロ
2016/02/21(日) 大阪 Zepp Namba
2016/02/27(土) 東京 Zepp Tokyo
2016/03/06(日) 東京 中野サンプラザ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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