THE BACK HORNらしさとは何か?自分たちを振り返る新シングル
THE BACK HORN | 2015.08.26
- EMTG:『悪人』という曲は4月30日の渋谷公会堂で演奏していましたね。演奏前に曲名も言って。
- 山田:言ってましたね。客席がざわついてた。(タイトルが)”モロじゃん”みたいな空気で(笑)。
- EMTG:これは菅波さんの曲ですけど、書きたいテーマとかあったんですか? 菅波:いや、特にテーマがあったわけではないし、悪人てなんだろうとか考えていたわけでもないんだけど。歌詞が先に出てきて。
- 山田:歌詞が先なんだ。
- 菅波:そう。自分も勧善懲悪の話とか、ヒーローものとか大好きだし、悪を徹底的に倒すみたいなのに快感を覚える自分もある。でも自分の性格からして、一方的に「この人は悪人だ」と決めつけるのは嫌だというのがあって。多分そういうモヤモヤが日々の中で蓄積してて、爆発して、途中の<有罪>と繰り返すあたりまで先に出来て。罪悪感がキーなのかなって。歌詞の後半部分は自分にとっての罪悪感というか、そういう話につながっていった気がする。自分の中で自分に向き合っていってるなあと思う。そういう混沌とした作詞は、自分のスタイルとしてはけっこうベーシック。これだ、ということじゃなくて、モヤモヤしていることを吐き出してるのが俺だっていう(笑)。
- 山田:栄純らしい感じはしたもんね(笑)。バックホーンぽいなって。
- 菅波:やっぱ、それが俺なんだ(笑)。オエーッて吐き出すみたいな。
- EMTG:さっき言った<有罪>のあとの、<わかってる>でガラリと流れが変わりますよね。違う葛藤を描いていく。
- 菅波:<有罪>のところまでは歌詞を書きながらスムーズだったんだけど、”わかってる”以後がすごい悩みましたね。図星を突かれて、ちょっとイラっとした、「わかってるよ!」というようなのが出てきた時に、「よし!」と。それ以後、この自称「悪人」さんを、どういう人生にすればいいかなあと思って。
- 山田:なるほどね。なんかこう、素直にならざるを得なくなっていくのかなって。自分を追い込めば追い込むほど、向き合わざるを得なくて、結局素直にならざるを得ない感じというか。そこはすごい共感したけどね。
- 菅波:そこに将司が共感してくれたのはよかったな。
- 山田:すげえ悪いやつ、悪な人というより、自分が悪者だと思っちゃう感じとか、悪人感…。俺も答えを出してないけど。
- 菅波:人間が、もともと悪なのか善なのか、一時期ハマって考えたけど、わかんないなと思って。結果、立場によって、どう見えるかしかないのかな。そういう時に人間がどういう反応するかなとか、どういう感じになるかなというのが、一番興味あることなのかな。この曲も、後半で急に文字が柔らかくなっていくけど(笑)、自分が想像したのは、悪人と言われる人も、最後は人かみたらどうでもいいような些細なことを思い出して、ちょっと後悔して死ぬんじゃないかって。それが俺の答えだった。
- EMTG:人間というものについての答えを歌にしているんじゃなくて、聞いた人にそれぞれ答えを出して欲しいという曲のようですね。
- 菅波:だと思います。主人公の”悪人”の生き様で何かを感じるみたいな。だから、これを将司とかがシングルにしたほうがいいって言い出した時に、嘘だと思いましたね(笑)。
- 山田:あんまり、こういうのをシングルにしてるバンドいないかなと思って。自分等も、自分等らしい曲なのに、こういう曲をシングルにするのを忘れてた。俺たち、カッコつけてんじゃないか?みたいな。
- 菅波:(笑)
- 山田:スムーズじゃない、ゴロッとしたところが、俺たちらしいんじゃないか。そろそろ1周したんじゃないかって。
- EMTG:原点回帰? それは「その先へ」とつながるわけですね。こちらは自分たちを振り返るような曲で。
- 菅波:これは、そういう自伝的な曲を書こうと思って。そういう気分だった。思い切り自分のイメージするロック!っていうリフができて。”ロックだなあ!ロックってロマンだよなあ”って連想の中から、俺等もロック・バンドとしてやってきて、とか振り返って。そしたら<全部ぶっ壊そうライヴハウスで>って(歌詞が)出てきて、ああこれは自伝なんだな、俺等のこと書こうって。それが意外と面白い。ステージ上じゃないこと、リハスタの喫煙所で人のこと嫉妬して、とか。幕が上がる前にビビってるとか。ステージと客席で顔をあわせる瞬間のことじゃない、それまでの道程も、みんなに暴れながら歌ってもらえたらなって。
- EMTG:後輩たちへのエールというのも感じられるけど?
- 菅波:それもある。俺等もギリギリまでやり続けるけど、もし倒れた時は俺等の先へ進んでくれっていう気持ちもあるし。
- EMTG:将司さんも、歌ってていろいろ思い出したり?
- 山田:最初はもっとメロディを歌ってたけど、”ぶっ壊そう”とか”爆音”とか、あんまりメロっぽくない感じを、感情的に自然にメロディに入れていこうかなみたいな。
- 菅波:語りかけてるっていうか、話しかけてるっていうか。
- 山田:2番の、<とぐろ巻いてる>ってところは、そこだけハモ入れたりして。でもこのサビのまっすぐ感は、ここ数年のバックホーンの力強い頃と、そんな自分もみんなと一緒に生きてんだっていう感じが、歌ってて、熱くなれますね。
- EMTG:3曲目「路地裏のメビウスリング」も菅波さんで、ドラマがある曲で。
- 菅波:こいつはもう、自分が好きなキャラクター。ダメなヤツを描くのが一番楽しいっていうのがあって(笑)。
- 山田:ダメだったり力強かったり、忙しいよね(笑)。『リヴスコール(2012年/アルバム)』作ってる頃から、曲はあったから、ぎりぎりになってこれも入れようって、1回も合わせないままレコーディングして。
- 菅波:それがよかったんじゃないかな。演奏とか熟成されてたのかな。早かったね。
- EMTG:10月のKYO-MEIツアーは8年ぶりの対バン・シリーズですけど、対バンするバンドの、セレクト・ポイントは?
- 山田:自分等が一緒にやりたい、やってみたいと思った人等ですね。
- 菅波:こんな豪華な面子になるとは、ちょっとビビりましたけど(笑)すげー!って普通に自分で(笑)。
- 山田:力のあるバンドしかいないから、ありのままぶつけあって。お客さんも満足できる対バンだし、俺等も対バンに触発されて、いつも以上にいいライヴできるようにしたいですね。
1年7ヶ月ぶりの両A面シングル『悪人/その先へ』をリリースするTHE BACK HORN。彼等ならではの緊張感を保つドラマチックな「悪人」、バンドの原点をリアルに歌う「その先へ」、どちらも新たなアンセムになり得る曲だ。カップリングの「路地裏のメビウスリング」を含め3曲を収録した、この新シングルを聴くと、10月に開催する8年ぶりの「KYO-MEI対バンツアー」が更に楽しみになる。このシングルについて山田将司(Vo)と、「悪人」のPV撮影で熱演し、おでこをぶつけたという菅波栄純(G)が、互いの意見を交換しながら語ってくれた。
【取材・文:今井智子】
リリース情報
ムキシ
発売日: 2018年09月26日
価格: ¥ 3,000(本体)+税
レーベル: ビクターエンタテインメント
収録曲
01.なごん
02.GOEMON feat. ビッグ門左衛門 (三浦大知)
03.GET A NOTE ~下駄の音ver.~
04.出島で待ってる
05.TAIROW ~キミが目指してんのは~ feat. カモン葵 (手嶌葵)
06.KATOKU
07.SEGODON
08.奈良に大きな仏像
09.SAKOKU feat. オシャレキシ (上原ひろみ)
10.マイ会津 feat. 足軽先生 (いとうせいこう)、シャカッチ (ハナレグミ)
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ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
●山田将司(Vo)
口唇ヘルペス 症状
朝起きたらヘルペスできてて。笑うとちょっと痺れる(笑)。
●菅波栄純(G)
睡眠 質 マットレス
最近、マットレスがボロボロになってきて。人生の3分の1は睡眠で出来てるといいますから。睡眠の質を良くすれば、日常も良くなっていくと。
■ライブ情報
「KYO-MEI対バンツアー」~命を叫ぶ夜~
2015/10/02(金) 仙台Rensa
w/THE BAWDIES
2015/10/04(日) 札幌ペニーレーン24
w/アルカラ 2015/10/10(土) 広島クラブクアトロ
w/キュウソネコカミ
2015/10/11(日)福岡DRUM LOGOS
w/ACIDMAN
2015/10/23(金)なんばHatch
w/MUCC
2015/10/24(土)名古屋ダイアモンドホール
w/UNISON SQUARE GARDEN
2015/10/30(金)Zepp Tokyo
w/ストレイテナー
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。