「守ることは最大の攻めだ」清木場俊介のロックな人生11年目の新たなアプローチ
清木場俊介 | 2015.09.29
- EMTG:聴き応えのある1枚になりましたね。
- 清木場:今回は歌詞で悩むこともなく、すごく順調だったんですよ。毎回こうだったら一生悩まずにすむんですけどね(笑)。
- EMTG:順調だった理由は何かあるんですか?
- 清木場:前作『MY SOUNDS』ではちょっと背伸びをしたというか、30代の男を意識しすぎたところがあって、そこが自分の中で引っかかっていたんです。でも今回は、35(歳)になったし、リアルな30代を描こうと。で、背伸びをしない状態で書けたので、それが早くスムーズにいった要因かなと思います。
- EMTG:逆に言うと、以前は30代に特別な思い入れがあったんですか?
- 清木場:いや、30代に思い入れというより、元々いたグループがダンスミュージックをやっていて、そこから全く違うジャンルであるロックをやるっていうところで、すごいく時間がかかったんですよね。世の中の認知となかなか噛み合わなくて、なぜロックをやっているのかっていうところから始まり……それを20代でずっと伝えてきて。でも去年(2014年)、10年やってみてようやく振り返れたっていうのもあって、本当にリラックスして作れたんです。結果、アルバムも等身大のものになった。
- EMTG:それで、アルバムタイトルも『FACT』。
- 清木場:そうですね、“真実”っていう。で今回、「人生」という曲があって、このアルバムの中で「人生」だけが未来の自分に対して歌ってる曲なんですけど、40代50代になった時、それも“真実”になるように育てていきたいなって。タイトルにはそういう願いも込めています。
- EMTG:なるほど。その「人生」、深みがあって、すごくいい曲ですね。ぐいぐい惹き込まれました。
- 清木場:ありがとうございます! 自分でも次にこれを超える曲を書けるかって言ったら今はその自信がないくらい。10年やってこなかったら書けなかった曲だし、僕の中で集大成的な曲になったなと思ってます。
- EMTG:スタンダードになり得る曲ですよね。で、その「人生」にも出てきますけど、今回は“守る”という言葉が他の曲にも出てきて。それも印象的でした。
- 清木場:守ることは最大の攻めだっていうことに、30代になってから気がついたんです。基本、僕の姿勢は今でも“攻め”であることに変わりはないんですけど、攻めるばっかりじゃ転んでしまうし、防御できなければ攻めることもできない。実際今、ファンのことも守りたいって思うし、ファンのために伝わる歌を作りたいってすごく自然に思うんですよ。20代の頃は“守る”なんて考えたこともなくて、誰かが「ファンのために歌う、助ける」とか言ってるのを聞くと虫酸が走るくらいだったんですけど(笑)。“絶対それ嘘だろ? だったらファンのためにボランティアで路上で歌いなさいよ”とか思って(笑)。
- EMTG:あの……清木場さんって正直ですよね。
- 清木場:よく言われます。「正直ですね」とか「不器用ですよね」とか。僕はこの生き方しかしてないんで、なんでそんなふうに言われるのか不思議でしょうがないんですけど。てか、メチャメチャ器用だと思うんだけどな、自分では(笑)。
- EMTG:いやいや、相当不器用だと思いますよ(笑)。だって文字にしたら誤解されそうなことも気にせず言っちゃうし(笑)。
- 清木場:最近気づいたのがね、男はそういう生き方をカッコ良く思ったりするじゃないですか。こいつ攻めてるな、恐れてないな、みたいな。でも女性は母性が働くみたいで、かわいいって言うんですよね。こんな危ない橋を渡ってて“かわいい”って言われたんじゃたまったもんじゃないですよね(笑)。
- EMTG:あはははは!
- 清木場:でも、上手い言い方でつくろっても嘘になるじゃないですか。
- EMTG:その不器用なまっすぐさが、清木場俊介の魅力の1つだなぁと改めて思います。……またアルバムに話を戻しますが(笑)、今作には久々のR&Bも入ってますね。「Memory」という。
- 清木場:あれは完全に意識して作りました。みんなこういう曲調を求めてるんだろうなっていうのがあって。20代だったら絶対やってなかったと思うんですよ。あまのじゃく体質なので、求められれば求められるほど“誰がやるか”みたいな(笑)。でも10年やってきて、“清木場俊介=ロック”っていうのが定着してきた自負もあるし、こういう曲調でってことで作って、これは紛れもない自分のメロディなので、だったら出してもいやらしくないなと思って。だから、ボーナストラック的な感じですかね。過去の自分もあっての今の自分……っていうのをファンが応援してくれてる部分もあるので。じゃあ“もう一回歌ってみましょうか”的な。僕にとっても“こういう曲調でも伝えられますよ”っていう、新しい扉というか。
- EMTG:今、清木場さんの中で音楽に対する柔軟性や自由度が増している?
- 清木場:そうですね。10年ロックで飯食ってきて、たまにはこういうアプローチも面白いねっていう余裕が出てきた部分もあるし、視野が狭いとアプローチも小さくなっちゃうから。だから30代になって、演歌までは歌わないにしても、R&Bだろうがロックだろうがポップスだろうが、ジャンルはあまり気にしなくなりました。清木場俊介の生き様があれば、どれも清木場俊介の歌になると思うので。
- EMTG:10年やってきた自信が、新しい扉へと向かわせているんですね。今後も楽しみです。そして楽しみと言えば、10月24日からは今作を引っ提げて全国ツアーも始まります!
- 清木場:今回はぶっちゃけ、このツアーができるかできないかってところでさまよってた時期もあったんですよ。事務所の移籍とかいろんな大人の事情で。でも今回できるようになって……スタッフさんには本当に感謝だし、次はファンに想いを唄で伝えていけたらなって思ってます。だから、より熱くなると思いますね。きっと毎回、大号泣のライヴになるんじゃないですか?(笑) それぐらいの気持ちでやりたいです。
ソロとして11年目となるロック道を突き進んでいる唄い屋、清木場俊介。彼は30代になってから、攻めるだけじゃなく、守ることの大切さも知ったという。ニューアルバム『FACT』には、そんな彼の生き様、想いが、偽りのない等身大で刻まれている。つまりそれは、“真実”。
初めて亀田誠治とタッグを組んだ「軌跡」などシングル3曲を含む全13曲は、骨っぽいロックナンバーを軸に、沁みて酔わせるバラード、さらには久々のR&Bまで。なかでも「人生」は、人が生きて逝く普遍が骨太な言葉で綴られ、奥深い。名曲だ。
どんな気持ちで本作に臨んだのか。清木場に聞いた。
【取材・文:赤木まみ】
リリース情報
FACT(初回限定盤)[CD+DVD]
発売日: 2015年09月16日
価格: ¥ 3,800(本体)+税
レーベル: ビクターエンタテインメント
収録曲
1.蜉蝣 ~カゲロウ
2.Pride
3.Sunrise
4.Shining
5.君の幸せ
6.空に月と貴方と私
7.Memory
8.MY LIFE
9.夜を塗り潰して
10. Truth
11. Cry
12.人生
13.軌跡
※初回限定盤には「Shining」「軌跡」「蜉蝣 ~カゲロウ」のミュージックビデオ付属
リリース情報
[DVD] 男祭2015 “CRAZY JET” 2015.5.5 at TSUTAYA O-EAST
発売日: 2015年09月16日
価格: ¥ 6,000(本体)+税
レーベル: ビクターエンタテインメント
収録曲
1.Fighting Man
2.FLASHBACK
3.悲しきRock’n Roll
4,愚説
5.貴方の中に
6.Shining
7.Spirit
8.FAKE
9.JACKROSE
10.REAL
11.Pieces
12.色の無い世界
13.ROLLING MY WAY
14.五日間……バックレよう
15.唄い人
16.ONE
17.One and Only
18.人生
【特典映像】Documentary of 男祭2015“CRAZY JET” 2015.5.5 at TSUTAYA O-EAST
ビデオコメント
お知らせ
清木場俊介 ROCK&SOUL 2015 "FACT"
2015/10/24(土)神戸国際会館こくさいホール
2015/10/31(土)Zepp Nagoya
2015/11/03(火・祝)Zepp Sapporo
2015/11/07(土)Zepp Fukuoka
2015/11/11(水)仙台Rensa
2015/11/19(木)新潟LOTS
2015/11/23(月・祝)広島JMSアステールプラザ 大ホール
2015/11/28(土)よこすか芸術劇場
2015/12/12(土)東京国際フォーラム ホールA
2015/12/13(日)東京国際フォーラム ホールA
2015/12/19(土)グランキューブ大阪 メインホール
2015/12/20(日)グランキューブ大阪 メインホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。