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切なさと明るさの同居がフロアを包み込んだ、the pillows最新ツアー東京ラスト公演

the pillows | 2011.05.18

 ツアー序盤の新木場スタジオコーストでのライブを観てから2ヵ月。終盤のTOKYO DOME CITY HALLのライブを観る機会を得た。ライブバンドとして名高いthe pillowsがどんな変化をしているのか、楽しみに足を運んだ。
 その変化は、1曲目から如実に現われた。コーストでのライブはツアー序盤にしては非常に完成度が高いと感じたが、この日のライブが始まった瞬間、そこには別次元のバンド・サウンドが鳴っていた。パワーが増したというより、逆にいい具合に力が抜けて、要所要所の音がくっきりと聴こえてくる。

the pillowsの持ち味である“切なさと明るさが同居するロック”が、スタンディング・スタイルのフロアのオーディエンスを包み込む。PAエンジニアの腕の素晴らしさもあるが、何より4人の呼吸のあった演奏がその源になっている。ツアーが進んで回数を重ねることでアンサンブルが練られていくのは当然のことなのだが、この当たり前のことがなかなかできないものなのだ。

 たとえばニューアルバム『HORN AGAIN』からの曲「Sad Fad Love」のイントロのギター・リフが鳴らされたとき、アルバムとはまた違う響きが胸を刺した。こんなにキップのいいバンドには失礼かもしれないが、「うわっ、キュートだな」と思ってしまった。以前、PUFFYの二人が、the pillowsの山中さわおから曲を提供してもらったとき、「さわおさんの曲には、誰にも真似できないキュートさがあるんですよ」と言っていたことを思い出したのだった。

 「次は新曲です。42才とは思えない、青春っぽい曲を作ってみた。25年前、小樽の近くの銭函っていうところに住んでて、夜な夜なパンクを聴いて、これから何かが始まるんじゃないかって爆発しそうな気持ちを抱えてた」と山中が自分の青春を語り、歌った「Comic Sonic」は、まさにPUFFYが言っていたとおりのポップチューンだった。しかも、アッという間に終わるところがthe pillowsのポップ観を象徴しているようで楽しかった。

 そして僕の耳に最も残ったのは、『HORN AGAIN』の「Brilliant Crown」だった。それはコーストのときも僕の胸を打った曲で、そのときよりもさらに深い感動を与えてくれた。これもツアーの進行とともに、新しい曲が育ったことの証明なのだろう。同じツアーを2度見れた幸運に、改めて感謝した。

 「東京だけで5公演やるツアーをやれるとは」とギターの真鍋吉明がお礼を言うと、ドラムの佐藤シンイチロウが「今日は平日、水曜日なのに、こんなに集まってくれてありがとう。不動産屋って水曜定休が多いけど、ロック好きの不動産屋さんがこんなに集まるとは」と、笑わせる。

 「東北の振り替え公演が決まって、7月に行ってきます。また新曲を作って、みんなと仲良くしたいと思ってる。迷いのない気持ちで歌うよ」と山中が言って、ラストの盛り上がりへ突入。
最後の1曲まで落ち着きを失わず、とてもタフなツアー終盤のライブとなった。東北までには時間があるので、the pillowsはきっとたくさんの新曲を彼の地へ持っていくに違いない。

【 取材・文 平山雄一 】

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リリース情報

HORN AGAIN

HORN AGAIN

2011年01月26日

avex trax

1. Limp tomorrow
2. Give me up!
3. Movement
4. Lily, my sun
5. Biography
6. Sad Fad Love
7. Nobody Knows What Blooms
8. EMERALD CITY
9. Brilliant Crown
10. Doggie Howl

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INFORMATION

■ライブ情報

♪TOUR SAWAO VS. YOUNGSTER
(山中さわおソロツアー)

◆2011年6月16日(木)
大阪 CLUB QUATTRO
[問]夢番地 大阪
06-6341-3525

◆2011年6月18日(土)
福岡 DRUM SON
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆2011年6月19日(日)
広島 NAMIKI JUNCTION
[問]夢番地 広島
082-249-3571

◆2011年6月21日(火)
名古屋 CLUB QUATTRO
[問]ジェイルハウス
052-936-6041

◆2011年6月24日(金)
札幌 cube garden
[問]ウエス
011-614-9999

◆2011年6月30日(木)
渋谷 CLUB QUATTRO
[問]ディスクガレージ
03-5436-9600

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