大熱狂のビートモーターズのレコ発ファイナル・ワンマンを激アツ・レポ!
ザ・ビートモーターズ | 2011.06.03
SEが大音量で鳴り響く中、秋葉正志(Vo.&G)が投げキッスを観客に贈り、両腕を広げると、木村哲朗(G)がシャープにギターをストローク。「メリーゴーランド」が華々しくスタートした。みるみる内にロックンロール・パーティーの会場と化していったフロア。その熱気を一気にエスカレートさせたのは、腰を開放的に振りたくなるダンスナンバー「アンドレア」。ジョニーこと柳川崇史(B)が被っていたハットが演奏中に勢い余って落下し、ステージ上を転がる様を見て、胸が激しく高鳴った。冒頭から全開だったこのライヴを象徴する場面として、今でも生々しく思い出される。
全身を震わせて吹き鳴らす秋葉のブルースハープ、鹿野隆広(Dr)のヘヴィなフロアタムの轟きと木村のギターソロの絶妙なコンビネーションが盛り上げた「かちこち先生」を経て、最初のMC。「ツアーファイナルにお越しくださいましてありがとう! 今日はバリバリ調子がいいです。よろしくお願いしますよ」。晴れやかな表情を浮かべて語った秋葉の挨拶を挟んで演奏再開。ここからはザ・ビートモーターズの曲の多彩さが鮮やかに示されていった。スウィートなメロディーとブルースフィーリングが美しく結晶化していた「スマイルをおくれよ」。ロマンチックに聴かせた「恋をしている」など。そして、中盤戦からは魅力がますます輝いていった。
特に圧倒的な盛り上がりとなったのが「素晴らしいね」だ。秋葉がステージ後方にセッティングされていた大きな銅鑼を連打したのを合図に、バンド全体が天井知らずに高鳴っていった。曲の後半では下手に積み上げられたスピーカーの上によじ登り、艶めかしく腰を振ってシャウトした秋葉に向かって、観客は拳を掲げて応えた。続いて上手のスピーカーの上にも登り、さらに激しく我々を煽った秋葉は、なんと腹筋を開始! 予測不能の行動であったが、抜群に盛り上げてくれた。
「ツアーの思い出を語るコーナーです」と秋葉が前フリをして、メンバーそれぞれがエピソードを話し始めた。「名古屋でも思い出を訊かれて、『思い出は今作ってるんだよ!』と言ったらジョニーコールが起こったんです。それが嬉しかった」(柳川)。「僕と柳川さんはホテルで同じ部屋だったんですけど、彼の歯ぎしりがすごくて」(木村)。この木村の発言に対して柳川は「木村は寝ている時に変な動きをしていたよ」と反撃していた。「実は小学生の時に寝ぼけて冷蔵庫の中に小便をしようとして母に止められたことが……」と、木村の夢遊病癖が告白されて、観客は爆笑していた。「移動中の車の中でザック・ギルの曲がずっと流れていたのが思い出深いです」(鹿野)。「郡山で整体に行ったのと、移動中にずっと車の荷台で過ごしていたことかな」(秋野)。
そんな和やかなムードのMCを経て、ライヴはいよいよ佳境へ! 甘美なメロディーに酔い、フロアがうっとりと横揺れながら踊った「恋するふたり」。スピード感たっぷりに駆け抜けた「ガールフレンド」。メンバー4人が歌声を聴かせ、観客とのコール&レスポンスも湧き起こった「ドライブ天国」。そして、エネルギッシュなロックンロール2連発「自由マン」「恋がしたい」で本編は終了した。
アンコールを求める歓声はいつの間にか「ジョニー! ジョニー!」というコールへと転じていた。「呼んだ?」と、いち早く戻って来た柳川は上機嫌であったが、「出にくいよ! 僕らのことも考えて(笑)」と、木村と鹿野と苦笑いしていた。
アンコールの1曲目は「9 to 5」。鹿野のドラムに合わせて観客の手拍子が起こり、フロア全体は陽気なダンス天国となっていった。続いて「ばらいろの世界」。ハードボイルドな哀愁を漂わせるサウンドが、胸に深く沁みた。この曲でライヴは一旦終了したのだが。再びアンコールの歓声に呼び戻された4人。「終わるのは寂しいけど、またライヴをやりますよ。楽しみにしていてよ!」と、秋葉が挨拶し、ダブルアンコールとして聴かせてくれたのは、とびっきりの躍動感に満ちた「ジェット先生」。痛快に駆け抜けて行き、「ウィー・アー・ザ・ビートモーターズ!」と秋葉が叫び、投げキッスで締めくくられる様は痛快であった。
ステージからの去り際、観客に手を振りながら大はしゃぎしていた4人の姿が印象深い。ロックンロールの楽しさ、熱さ、ロマンチックさを全力投球で教えてくれたザ・ビートモーターズ。やはり彼らは最高のバンドであった。
【文:田中 大】
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