新時代の到来を予感させた、サカナクションのツアーファイナル!
サカナクション | 2011.07.12
新しいエンターテイメントのプレゼンテーションを唱えてきたサカナクションだが、“SAKANAQUARIUM 2011 ZEPP ALIVE”のファイナルは、まさに新時代の到来が間近なことを告げるライブとなった。
構成は至ってシンプル。オープニングから「Klee」までの序盤は、現状のサカナクションの充実を伝え、ずしんと手応えのあるライブ・サウンドを聴かせる。
中盤は、照明やオイルアートなどのスタッフワークが優れたコラージュのように機能して、まるで美術館を廻るようなアーティスティックな時空間が広がる。
終盤はワイルドでパワフルなダンス&シングアウト・チューンでオーディエンスとともにガツンと盛り上がる。
正攻法のセットリストでありながら、パート、パートがしっかり組み立てられていて、あの伝説の武道館からいい意味でのダウンサイズが成功していた。
開演と同時に暗転、スモークが噴き出す。サカナクションのステージには必要不可欠な照明を活かすセッティングに、胸が高鳴る。バックライトの中、メンバーが登場。真ん中に立つ山口一郎が「ファイナル、みんな、用意はいいか?」と叫ぶ。
このところ、若いバンドの舞い上がったツアー・ファイナルばかり見てきたから、サカナクションの落ち着きぶりにある種の感動を覚える。ギター岩寺基晴の思い切りのよいコードワーク、手堅い岡崎英美のキーボード・プレイ、プッシュの効いた江島啓一のドラミング、そして何と言ってもベースの草刈愛美の繰り出す快適なグルーヴがバンドの中心にドンと位置しているから、安定感は抜群だ。
序盤では、「セントレイ」が光った。コンピュータを駆使した様々なエフェクトよりも、生音がメインになって楽曲を引っ張る。すると楽曲の輪郭がよりはっきり伝わってきて、聴き手の心にダイナミックな振動が生まれる。楽曲の要所要所でバシッとブレイクするDJ的な手法も効果的で、フロアはスムーズにサカナクションの世界に導入されていった。
凄かったのは中盤。レーザーが飛び交い、スクリーンには聴き手の想像を刺激する映像が、音楽とシンクロしながら展開される。特に生でパフォーマンスされるオイルアートは圧巻で、たとえば“動くモダンアート”といった風情の中で「シーラカンスと僕」などが演奏される。オーディエンスは日常から完全に解き放たれ、イマジネーション豊かなサカナクション・ミュージアムの奥深くで、思い切り心を遊ばせたのだった。
「新曲、やります」と山口が言って始まった『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』はコンセプチュアルな曲で、初期のテイストを発展させた2011年型のサカナクションの姿があった。
代表曲「ホーリーダンス」から、いよいよ終盤だ。イントロのシンセベースのフレーズが流れると、フロアから歓びの大きなどよめきが上がる。しかし、サカナクションは動じずに丁寧に演奏。それがかえって、バンドの成長を実感させてくれる。一転、次の「montage~マレーシア32」では、5人全員がステージ前に一列に並んでシンセをプレイ。一気に興奮をピークにもっていく力量は、さすがサカナクションとうならせる迫力があった。
アンコールで山口はスタッフとオーディエンスに感謝を述べ、秋のツアー決定を誇らしげに告げる。
バンドと周囲との距離感や、アートとメッセージが一体化した独特の表現は、このバンドならではのユニークなエンターテイメントとして見事に成立していた。このツアーでロックバンドとしての実態を一回り太く大きくさせたサカナクションから、ますます目が離せない。
【 取材・文:平山雄一 】
リリース情報
セットリスト
- Opening
- インナーワールド
- セントレイ
- アドベンチャー
- 表参道26時
- Klee
- 潮
- ワード
- フクロウ
- シーラカンスと僕
- あめふら
- 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
- ホーリーダンス
- montage~マレーシア32
- ルーキー
- アルクアラウンド
- アイデンティティ Encore
- ネイティブダンサー
- 三日月サンセット
- 目が明く藍色
INFORMATION
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■ライブ情報
♪WORLD HAPPINESS 2011
◆2011年8月7日(日)
夢の島公園陸上競技場
[問]ホットスタッフ・プロモーション
03-5720-9999(平日15:00~18:00)
♪RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO
◆2011年8月13日(土)
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
♪SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2011
◆2011年8月28日(日)
山中湖交流プラザ きらら
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください