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所縁の地ならではのパフォーマンスを展開した、RADWIMPS横浜アリーナ公演

RADWIMPS | 2011.07.14

「ただいま~!この横浜アリーナは、僕たちが高校時代に初めてこのステージで立って以来、今のこの場にまで至ってるんで、今日ここで出来るのは、本当に嬉しい!!」
RADWIMPS『絶体延命ツアー』も終盤戦に差しかかった横浜アリーナ2Daysの初日。ライブ序盤のMCにて、RADWIMPSボーカルの野田は、会場中に向け、こんな言葉を放った。

 結成と初ライブを行った土地。9年前、まだ高校生だった頃に、バンドとしての初の栄冠を得た檜舞台。今のメンバーたちが出会った地。そして4年前、初の単独アリーナ公演を行った場所…。RADWIMPSにとって、この横浜という土地や横浜アリーナのステージが格別な思い入れを持って臨んでいることを象徴するかのようなこの言葉に、その場に一緒に居る事の出来た喜びが会場を包む。

 この日のステージは、今回のツアー序盤に行われた埼玉スーパーアリーナでのステージでの感受から、色々な面で、また違った印象を受けた。特にニューアルバム『絶体絶命』に収録されていた楽曲は、この1ヵ月半の間、各地を共に巡り、プレイされる毎に聴く者、受ける者の想いと共に成熟を見せ、更なる包容力と同調性を得たこともあるのだろうか? 同じ曲ながら、各曲ふくよかさや深さが更に増し、成長や変化を感じさせてくれた。とは言え、それらは上手くなったとか、小慣れたといった表現とは違った類。作品の一形体として表わされていた楽曲が、各地のファンの想いや同調や感化、そして、それをステージ上にて享受したレスポンスが、彼らの身体やプレイにフィードバックされ、宿り、それが楽曲に新たなる生命を与えていたとでも言うか…。

 加え、この横浜アリーナでは、この地ならではの特別なスタイルでの楽曲も何曲か披露された。
「横浜だけのスペシャルゲストです」のイントロデュースにより、満員の会場に呼び込まれ、ニューアルバム『絶体絶命』にも参加していたバイオリニスト斉藤ネコと共に披露された4曲は、どれも作品とは違った抒情性と深みを楽曲に与えていた。
中でも、「3/11、あの日の大震災と津波でどれだけの人が「さよなら」を言えなかっただろう」とのMCの後、野田のアコギと斉藤の2人でしっとりと伝えられた、このツアーの何箇所かで披露されたと思しきカバーナンバーは、より楽曲の深淵さと、そこからの希望、そして例えようのない光に包まれていくさままでをしっかりと描いてくれた。
また、同じく斉藤を交えプレイされたアーケイド・ファイアばりにブレイブ感を与えてくれる大太鼓ロックにアレンジされた楽曲では、聴く者にその光の向こう側にしっかりと存在している希望や勇気までも分け与えてくれた。

 上述のニューアルバム『絶体絶命』収録の楽曲を中心に、人気の高いナンバー、人気は高いんだけど、ここ最近ライブではご無沙汰だったナンバーも披露された、この日。特に、その久々の楽曲が登場した際には、"まさかこの曲を今日聴けるとは!!"と、自分と同じ気持ちのファンたちも驚喜。また、この曲に限らず多くの歌が、この日の1万2千人がまるで自身の歌のように高らかに朗々と、一緒に歌い上げられているのも印象的であった。

 プレイ面でも多くの見せどころがあった。ギターの桑原とベースの武田によるファンキーな掛け合いに高揚させられ、野田が他のメンバーのプレイのボリュームを自由自在にコントロールしてみせる場面に身を乗り出させられたり、「君と羊と青」に 至っては、プレイの速度を上げたり、下げたり、更には高速にさせたりと、"最近のバンドに見られなかったな..."ってぐらいのエンタテインメントぶりを発揮。お客さんを巻き込み、魅せつつも盛り上げる演出も、明らかに以前に比べ格段さを増していた。

 また、オープニングの意外性も、都度都度登場するモニターやビジョンを上手く使った演出も、彼らの世界観を上手く引き出しており、中には、私のようなおっさんをニヤリとさせるような、70年代洋楽ロックのミュージックビデオを観ているような効果を施したライブ映像のエフェクト処理も飛び出し、プレイ以外にも多くの見どころを孕んでいた。

 「さよならも言えずに沢山の人が亡くなり、今もなお、大勢の人がツライ思いを抱えている状況の中、人は死ぬ寸前まで懸命に生きて、死ぬ寸前に思い浮かべた人を一生大事にしていけばいいと思うんです。自分も今大事にしている人がいて、ずっと大事にしたいと思っているし。ここに集まってくれた1万2000人が、みんな幸せな気分になってくれて、家に帰り、他の誰か1人にこの幸せを分けてあげたら、 2万4000人が幸せになるわけで。そしたら日本は、もっともっと幸せになれると思うんです」と、野田は終盤のMCで、優しく、多くの者にハッと思い返させるような言葉を、まるで一人ひとり投げかけてくれるように語った。
ツアー序盤の埼玉スーパーアリーナ以上に、救われた感や安堵感を与えてくれた、この日のライブ。このツアーは、ここから先、ラストスパートをかけるように、更に全国各地を周り、最後の7/19の沖縄まで続いていく(ツアーファイナルは、8/3の仙台)。この先、彼らはこの救われた感や安堵感をどれだけの人に残すのだろう。ここから体験する方々、くれぐれもそれらを全身を使って受け止めて欲しい。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル RADWIMPS

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リリース情報

絶体絶命

絶体絶命

2011年03月09日

EMIミュージックジャパン

1. DADA(dadadada Ver.)
2. 透明人間18号
3. 君と羊と青
4. だいだらぼっち
5. 学芸会
6. 狭心症
7. グラウンドゼロ
8. π
9. G行為
10. DUGOUT
11. ものもらい
12. 携帯電話(Cat Ver.)
13. 億万笑者
14. 救世主

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INFORMATION

■ライブ情報

♪RADWIMPS 絶体延命ツアー 東北振替公演
■4月1日(金) 郡山Hip Shot Japan
→7月30日(土) 17:30 open / 18:00 start

■4月3日(日) 山形ミュージック昭和 Session
→7月28日(木) 18:00 open / 18:30 start

■4月5日(火) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
→7月26日(火) 18:30 open / 19:00 start

■4月9日(土) Zepp Sendai
→8月2日(火) 18:00 open / 19:00 start

■4月10日(日) Zepp Sendai
→8月3日(水) 18:00 open / 19:00 start

※ライブの詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい

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