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日比谷野外大音楽堂で行われたEGO-WRAPPIN’とOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDの2マンをレポート!!

NOFRAMES | 2011.07.29

例年より早い梅雨明けの翌日、真夏の夜の夢と呼びたいイベントが日比谷野外大音楽堂で行なわれた。「meet in the park」での、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(以下OAU)とEGO-WRAPPIN’の共演である。
この対称的な2バンドの共演は、彼等が所属するレーベル「NOFRAMES」から初のコラボ作品『SURE SHOT』をリリースした際に、SHIBUYA-AX(この時はBRAHMAN)で行なって以来1年ぶり。このイベントは、その「NOFRAMES」の1周年を祝うものである。

先手のOAUは、緊張感溢れる演奏で厚い信頼を得ているハードコア・パンク・バンドBRAHMANの4人、TOSHI-LOW(Vo、OAUではVo&G)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)、KOHKI(G)が、パーカッショニストKAKUEIとスコットランド系アメリカ人のMARTIN(Vo&Vio&G)と組んだアコースティック・バンド。この日はドラムとパーカッションにTOSHI-LOWのジャンベが加わったセッションを先触れに、6人が揃うと「A Whole New Day」からスタート。6月に出た新作『夢の跡』の収録曲をはじめ、ゆったりした曲調だが締まった躍動感に溢れたナンバーに、耳を傾け身体を揺らす観客たちは次第に熱気を帯びて行く。力強い二人のヴォーカリストが入ることで、曲の表情が更に豊かになった。途中でKAKUEIがアフリカの民族楽器を自ら改良した“パチカ”の腕を披露して観客の胸襟を開いて行ったのは、今や大も小も様々なフェスやイベントに顔を連ねライブを重ねているOAUならでは。

以前はステージで無言だったTOSHI-LOWが、MARTINと共に軽口を叩き野音にまつわる思い出や自らの音楽体験を語り、「日本はまだメチャメチャな状態。その人たちを忘れないで」と訴えた。311以来いち早く支援活動を行い、そして続けて来ている彼の言葉と思いが、強く心に残った。一気に語って気持ちが高ぶったのか、最後の「夢の跡」は歌い出しをやり直したのだが、瞬時に集中力を取り戻し観客を一気に掴んだのは流石だった。

後攻のEGO-WRAPPIN’は、中納良恵(Vo)と森雅樹(G)による、様々なジャンルの音楽を独自の世界観で融合した曲と伸びやかな歌で人気のユニット。管隊二人を含む腕達者THE GOSSIP OF JAXXを従えての登場だ。飾り付きのマイクを手にした中納が軽快に踊りながら歌う「love scene」を幕開けに、どこまでも伸びていく声が印象的なバラード「Dear mama」や、森のフリーキーなギター・ソロが光った「黒いセーター」など、多彩な曲で観客を惹き付ける。

大阪出身の二人には東日本大震災は他人事ではない。曲の間で中納は呼びかけた。「大変な人がまだまだ一杯います。あれから4ヶ月経ちますけど、あの時の気持ちを忘れたらいかんと思って毎日生活しています。日本をもう一度美しく塗り替えていきましょう」そして終盤、ジャジーな演奏に乗りドラマチックに歌いあげる「Nervous Breakdown」に、ドロップ・ビートの「BRAND NEW DAY」「GO ACTION」を続けると、野音がひとつになって揺れた。

アンコールで「I’ll be around」を日本語でカヴァーした後に、森が「これで終わると思うなよ」と言うと中納が「BRAHMAN!」と呼び込み、6人で『SURE SHOT』の共演曲「promenade」「WE ARE HERE」を披露。途中からMARTINとKAKUEIも加わり、予想していなかった観客が大喜びの賑やかなフィナーレとなった。
この2バンドは対照的だが、柔軟な姿勢と個性的な創造性には通じるところがある。だからこその共演であり、共感であろう。この夜、2バンドが伝えた言葉や音楽は、真夏の夜の夢でなく、忘れ得ぬ現実であったことは言うまでもない。

【 取材・文:今井智子 】

【 撮影:石井亜希 】

tag一覧 ライブ イベント OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND EGO-WRAPPIN’ BRAHMAN

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2011年06月11日

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1. 夢の跡
2. gross time ~街の灯~
3. coffee stain
4. wisp
5. pilgrimage

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NEW LIVE DVD “MIDNIGHT DEJAVU 10th ANNIVERSARY at 東京キネマ倶楽部”

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2011年04月27日

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ディスク:1
1. BLUES FOR BROTHER GEORGE JACKSON
2. カサヴェテス
3. PARANOIA
4. a love song
5. Bell 5 Motel
6. CARIOCA
7. GIGOLO
8. love scene
9. 下弦の月
10. チェルシーはうわの空
11. Nervous Breakdown
12. 異邦人
13. Black Room
14. かつて..。
15. 色彩のブルース
16. BIG NOISE FROM WINNETKA ~黒アリのマーチングバンド
17. BRAND NEW DAY
18. GO ACTION
19. 雨のdubism
20. moment to moment (En)
21. サイコアナルシス (En)
22. BYRD (En)
ディスク:2
1. GOOD ROCKIN’ DADDY
2. サイコアナルシス
3. 雨の慕情
4. KOREA SEOUL-AX PREMIUM LIVE SHOW
5. 大阪 中津芸術文化村ピエロハーバー PREMIUM LIVE SHOW

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霹靂

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2011年09月07日

トイズファクトリー

1. 賽の河原
2. 最終章
3. 霹靂

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MIDNIGHT DEJAVU 10TH ANNIVERSARY at 東京キネマ倶楽部 [単行本]

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2011年07月13日

パルコ

「Midnight Dejavu」開催初年度から10年間に渡りライブ会場となった東京キネマ倶楽部と、会場の雰囲気を包み込んだ奇跡の瞬間を収めた選りすぐりのショットが満載。

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