山崎まさよし、スキマスイッチ、秦 基博が武道館で豪華ストリングスと共演!
山崎まさよし、スキマスイッチ、秦 基博 | 2012.03.09
山崎まさよし、スキマスイッチ、秦 基博の3組が、所属事務所「オフィス オーガスタ」の20周年記念スペシャルイベントに出演。音楽家・服部隆之が指揮する25人のストリングス、3人のバックバンドとともに、2時間半に及ぶライブを行った。
満員御礼。9000人が訪れたライブは、ストリングスによる、序曲とも言える「Overture」からスタート。秦の「キミ、メグル、ボク」、山崎の「僕はここにいる」、スキマスイッチの「奏(かなで)」といったそれぞれの代表曲を優雅なメドレーで演奏し、期待に胸を膨らませていたところでスキマスイッチがステージに登場。ストリングスの余韻が残る中を突き破って大橋卓弥が歌い出す。1曲目は「藍」。原曲でもストリングスアレンジが施されていた曲だが、生のストリングスをバックに聴くサウンドは驚くほど立体感にあふれ、抑揚の大きな展開はひときわドラマチックだ。それに同調するように次第に熱を帯びていく大橋の歌。そして、その隣りでやさしく寄り添うようにグランドピアノを奏でる常田真太郎。まだ幕が開けて10分も経っていないというのに、みるみる観客を惹き込み、会場内は早くも感動的な空気で包まれる。
MCでイベントの幕開けを告げると、「いつもと全然雰囲気が違って、ものすごい緊張感」と、ストリングスが居並ぶ独特の雰囲気に苦笑いを浮かべた大橋。しかしながら「別に立ち上がったりしてもいいんですからね」と話した後の2曲目ではアップテンポな「view」を披露し、観客も次々と立ち上がって手拍子をとり始める。どこか緊張感が張っていた場内が、一気に熱気であふれ返る。続いて情熱的な大橋の歌を絶妙なストリングスで盛り立てたバラード「さいごのひ」、ほっこりピースフルなカバー曲「Crazy Love」を披露。壮大な展開を持った「SL9」では特に終盤が圧巻。すべての楽器、歌までが一体となって畳み掛けたときの盛り上がりは鳥肌が立つほどで、私の近くでは「ブラボー!」と叫ぶ観客もいたほど。そしてラストは「全力少年」。イントロが始まるや自然と手拍子が沸き起こり、場内の空気はヒートアップ。爽やかなメロディーと小気味よいストリングスは、爽快な空気を作り出し、終盤では指揮をしていたはずの服部も鍵盤を叩いて演奏に参加。思わず笑みがこぼれるアンサンブルでトップバッターのステージを務めあげた。
5分足らずの短い転換を挟み、続いて登場したのは秦 基博。ゆっくりとアコースティクギターをつまびきながら、静かに「アイ」を歌い始めると、場内は一気に静まり返り、その視線は秦のもとへ集中する。25人のストリングスをバックにして、歌とギター1本でステージに立つ姿は、逆に秦の存在感を際立たせ、9000人をグッと聴き入らせていたのが印象的であった。厳かな空気で「アイ」を歌い終えると、そのまま「水無月」へ。ここからリズム隊も加わると、一転して豊かなグルーヴが築かれていく。さらに鮮やかなストリングスの音色、「単純な言葉で愛を今叫ぼう」と歌う秦の姿からは、あふれんばかりの希望が放たれ、なんとも幸せな気持ちに。
「えー、韓流スターと言われてます」とMCで笑いを誘った後は、ひときわ素晴らしいストリングスのアレンジも印象的だった「鱗(うろこ)」へ。音が喜んで踊っているかのようなアンサンブル、ポジティブな力に満ちた歌は、間違いなくこの日のハイライトのひとつ。体中から何かが込み上げてくるような感動を与えてくれた。その後はちょっぴりユーモラスにカバーした「Over the Rainbow」、うっとりとさせる歌声を響かせた「エンドロール」を披露し、最後は静かな始まりからサビで一気にストリングスが厚みを増す「メトロ・フィルム」へ。アウトロでは雄大なアンサンブルとともに秦が大きく声を張り上げ、場内を興奮に包み込みステージを後にした。
秦の出番が終わると、間髪入れずに山崎まさよしが登場。陽気なMCで場内の緊張をほぐし、ストリングスのイントロからライブを始めたものの…、「ちょっと待った!」と演奏を止めるハプニング。歌い出しを間違えて仕切り直し、会場は爆笑の渦に包まれた。しかし改めて「僕と君の最小公倍数」の演奏が始まると、これまでのゆるい空気は一変。豪快に鳴らされる山崎のギターとストリングスががっちりと組み合い、先の2組とは異なるガツンとしたインパクトで、会場全体を魅了する。続いて「水のない水槽」では、浮遊感のあるギターや鍵盤の音色、危ういメロディーを奏でるストリングス、そしてじわじわと心に染み込んでくる歌声でググッとディープな世界観へ引き込む。
再びユル?い空気のMCを挟んだ後は、「月明かりに照らされて」を披露。この曲に至ってはもはや火花が飛び散るのではないかと思うほど、それぞれの楽器、そして歌が共鳴し、とてつもない昂揚感を生み出した。続いてカバー曲の「Georgia on My Mind」をロマンチックに歌い上げると、「♪トゥットゥルトゥットゥッ」というコーラスから「I’m sorry」へ。手拍子も沸き起こるなか、ビッグバンド的な演奏でご機嫌なリズムを刻むと、間奏ではスキマスイッチと秦も登場し、服部とベースの中村キタローも加わり、フロント全員で華麗なボックスステップを披露。弦楽隊も体を左右に振って踊り、会場をおおいに沸かせてくれた。ラストは山崎の歌心を存分に堪能させてくれるバラード「花火」で、激しく感情を揺さぶって締めくくる。ゆっくりと体を揺らしながら聴き入る場内からは、幸せな空気があふれていた。
アンコールでは、この日の長男とも言うべき山崎が、出演陣をひとりずつ呼び込み紹介。この日が誕生日だったスキマスイッチ常田に対しては、サプライズでバースディケーキも登場。観客も合わせて「Happy Birthday to You」を歌い始めると、即興でストリングスも加わり、なんとも贅沢なお祝いに。そして最後は全員で山崎の代表曲「セロリ」をセッション。客席も含めて素晴らしい一体感を生み出し、贅沢な一夜は幕を閉じた。
オフィス オーガスタ設立20周年ということで、豪華ストリングスとの共演が実現した今回のスペシャルなイベント。何より素敵だったのは、ただのサポート的なストリングスではなく、遠慮など微塵も感じさせずにがっつりと鳴らされていたこと。ライブ中は何度となくアーティストとストリングスが最高点で化学反応を起こし、そのたびに全身を震わせてくれた。また、随所で見られた3組のあたたかいファミリー感に、心が温まったという人も多かっただろう。そして末筆になるが、3組やバックバンドがステージを去ったあとも、ストリングスが退場するまで拍手を惜しまなかった観客も素晴らしかったということを付け加えておきたい。こんなにも音楽を愛する人たちが集ったことは、オフィス オーガスタの何よりもの財産。多くの音楽ファンからの信頼を勝ち得たオフィス オーガスタの20年に、最大限の敬意を送りたい。
【取材・文:タナカヒロシ】
リリース情報
ALL SONGS MUST PASS-Office Augusta 20th Anniversary BEST-
2012年02月22日
アリオラジャパン
1. 星のかけらを探しに行こう Again
2. DISTANCIA~この胸の約束~ (Re-mix)
3. One more time,One more chance
4. 愛について
5. BIRDS
6. ひとりじゃできないから手伝ってください
7. ワダツミの木
8. 奏 (かなで)
9. P.S.S.O.S
10. 鱗(うろこ)
11. ストーリー
12. 10 Years After
13. SUMMER of LOVE
14. ALL OVER AGAIN
ディスク:2
1. 惑星タイマー
2. まなざし☆デイドリーム
3. アイ
4. 明日のラストナイト
5. ガラナ
6. あなたがここにいてほしい
7. pulling from above
8. Loveless
9. 午後のパレード
10. 晴男
11. イコールゼロ
12. DANCE BABY DANCE
13. 夏はこれからだ!
14. 星のかけらを探しに行こう Again <2010 Acoustic ver.>
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セットリスト
- Overture
- 藍
- view
- さいごのひ
- Crazy Love(カバー)
- SL9
- 全力少年
- アイ
- 水無月
- 鱗(うろこ)
- Over the Rainbow(カバー)
- エンドロール
- メトロ・フィルム
- 僕と君の最小公倍数
- 水のない水槽
- 月明かりに照らされて
- Georgia on My Mind(カバー)
- I’m sorry
- 花火 ENCORE
- セロリ