チャットモンチーとNICO Touches the Wallsの揺るぎない決意が激突した熱狂の夜
チャットモンチー,NICO Touches the Walls | 2012.05.15
4月7日から30日にかけて行なわれた「キューン20イヤーズ&デイズ」。当サイトでは、レアな瞬間が連発したこのイベントの模様をレポートしてきたが、ここでは26日に行なわれたチャットモンチーとNICO Touches the Wallsが共演した熱狂の夜の模様をお届けする。
先にステージに登場したのは、NICO Touches the Walls。開演前のBGMにて彼らのヒットアンセム「手をたたけ」が流れると、客席から手拍子が起こっていたこともあり、オーディエンスはすでに準備万端の様子。“行けるか東京!!”と煽った光村(Vo、Gt)が、返ってきた声援に笑みを浮かべつつ「バイシクル」でライブはスタート。ストレートなバンドサウンドを伸び伸びと高鳴らす。そして、彼らがキューンと出会ったキッカケでもあるという「image tranning」や、メジャー1stシングル「夜の果て」、そのカップリングである「バニーガールとダニーボーイ」など、バンド初期の楽曲を立て続けに披露。オーディエンスとのコール&レスポンスや、光村と対馬(Dr)の壮絶なシャウトのかけあいなど、熱狂的なパフォーマンスでグングンと場内の熱を上げていく。
“初めての曲をやろうと思います”と告げた後に始まったのは「ラッパと娘」。この曲は笠置シズ子のカバーで、キューンが始まる20年どころか、70年以上も前の楽曲だ。そんな昭和の名曲を、前半はブルージーに、後半は4つ打ちのダンサブルなビートで大胆にアレンジ。艶っぽくてセクシーな光村のスキャットと古村(Gt)のギターが激しく絡み合い、坂倉(Ba)と対馬が産み出すリズムの高揚感がとにかく圧倒的。抜群の演奏力で客席の度肝を抜いた。
「キューンを背負って立つバンド、日本を代表するバンドになる日を目指して、僕ら頑張っていきますんで。CDが売れなくて難しい時代だと言われていますけど、そういう難しい時代に産まれてきちゃったからしょうがねぇじゃん!と、俺は思うわけなんですよ。だから、俺らは精一杯、自分達がホントにカッコイイと思う曲を作って、これからもキューンの皆さんと一緒に頑張っていきたいと思ってますんで、これからも末永く応援宜しくお願いします!」
そんな決意表明の後に放たれたのは、5月16日にリリースされる「夏の大三角形」(先の「ラッパと娘」もこのシングルに収録)。既にCMでもオンエアされている曲だが、ここ昨今のニコが産み出すアンセムの力強さは、本当に凄まじい。次のステージへまた一歩足を進めるポピュラリティが高らかに鳴らされた超爽快なロックナンバーは、今年の夏ソングを代表する1曲になることが確信できる。ラストは「手をたたけ」。会場中が楽しそうに手拍子しているハッピーな光景を見ていると、日本を代表するバンドになる日も、そんなに遠くないのでは?と期待が高まってくる。そんな無敵感が漲っていたステージだった。
幕が開くと、チャットモンチーがすでにスタンバイ。昨年から新体制になった彼女達は、この日もサポートメンバーを入れない2人編成でのステージだった。1曲目は「やさしさ」。福岡が優しくキーボードを弾き、橋本は歌いながらギターを鳴らす。穏やかに、そして徐々に熱を上げていく立ち上がりを経て、そこから2曲連続で未発表曲を披露。福岡は立ったままドラムを力強く打ち鳴らし、橋本はその場で弾いたギターをサンプリング→ループさせ、ブルースハープを吹いたり、前に出て客席に歌いかけたり、最後にはバスドラムを叩くなど、アクティブにステージ上を動き回っていた。そしてもう1曲は、チャットモンチーの曲の中でもかなり速いテンポのナンバー。勢いよくかき鳴らされるギターとドラムが躍動して、どこまでも全力で突っ走っていくような曲だった。
「あのね、デビューと同時に、エクステをつけたんですね。そのときはまだ徳島と東京を行き来してたから、実家で寝たら枕にエクステが落ちてて。それを見た母親が“そんなにシンドイの?”って言ったんです。それはエクステやから取れるんよって言ったら、タンスの高い位置に置いてました」そんな橋本のゆる?いMCに、福岡が「NICOみたいに“今日は最高にしようぜ!”って言ってもらっていいですか?」というリクエストするも「イ、イヤです」と、橋本(笑)。そして福岡が「ニコは後輩やけどホントに偉いなと思いました。“キューンと出会ったときの曲です”とか、ウチらそういうこと全く考えてなかったんで(笑)。でも、良い曲いっぱい用意してますよ」
そんなアットホームなMCの後に披露されたのは「テルマエ・ロマン」。福岡は右手でキーボードを弾きながら、左手でドラムを叩き、続く「満月に吠えろ」で、橋本はギターをループさせて、振り付けを踊る。2人なのに、いや、2人だからこそ、ステージから放たれる情報量がものすごく多い。様々な試行や工夫が随所に見られて、次は何が繰り出されるのか見ていてワクワクするし、プレイしている2人も、とても活き活きとして楽しそうだ。
また、5月2日にリリースされた新曲の「夢みたいだ」と「ハテナ」も披露。「夢みたいだ」は、アメリカのインディーポップデュオ、MATES OF STATEの楽曲「Proofs」に、橋本が日本語詞で書き下ろした曲で、「ハテナ」はギターが豪快に鳴り響くロックナンバー。新体制になってからの曲は歌詞がとても力強く、とにかく前へ進もうとする彼女達の現在のモードが伝わってくる。ラストは「東京ハチミツオーケストラ」。上京してきた頃のことを歌ったこの曲が、リスタートした今の彼女達と重なる。たとえ2人になろうとも、自分達の音楽を鳴らし続けていく決意を、ひしひしと感じるライヴだった。
アンコールでは、まずチャットモンチーの2人が登場して、NICO Touches the Wallsを呼び込み、「ニコットモンチー」として“シャングリラ”を披露。ちなみに、これは“チャットモンチーの”ではなく、キューンミュージックの先輩である電気グルーヴの「Shangri-La」である。あの大ヒット・ダンスチューンを、橋本がエレキギター、福岡がタンバリン、ニコのメンバーはそれぞれのパートを、そして光村はアコギという、オール人力のバンドサウンドにアレンジ! 光村と橋本が交互に歌い、途中、橋本が自分達の「シャングリラ」を一瞬だけ歌うというご愛嬌も挟みつつ(笑)、大熱狂のままライヴは終了した。
「日本を代表するバンドになる」「2人でも自分達の音楽を鳴らし続ける」──ベクトルは違えど、両者の揺るぎない決意がぶつかり合ったこの日。2組の進む先には、キラキラと輝く明るい未来が待っているに違いない。
【取材・文:山口哲生】
リリース情報
リリース情報
セットリスト
NICO Touches the Walls
- バイシクル
- image training
- 夜の果て
- バニーガールとダニーボーイ
- ラッパと娘
- 夏の大三角形
- THE BUNGY
- 手をたたけ
チャットモンチー
- やさしさ
- 未発表曲
- 未発表曲
- テルマエ・ロマン
- 満月に吠えろ
- さよならGood bye
- 夢みたいだ
- ハテナ
- 東京ハチミツオーケストラ
- Shangri-La(電気グルーヴカバー)
お知らせ
NICO Touches the Walls
『NICO Touches the Walls TOUR2012』2012/09/27(木)大阪:なんばHatch
2012/09/29(土)静岡:SOUND SHOWER ark
2012/10/02(火)東京:SHIBUYA-AX
2012/10/04(木)茨城:水戸ライトハウス
2012/10/11(木)群馬:高崎club FLEEZ
2012/10/13(土)新潟:新潟LOTS
2012/10/14(日)長野:長野CLUB JUNK BOX
2012/10/18(木)滋賀:滋賀U☆STONE
2012/10/19(金)奈良:奈良NEVER LAND
2012/10/21(日)鳥取:米子laughs
2012/10/23(火)高知:高知X-pt.
2012/10/26(金)大分:大分DRUM Be-0
2012/10/28(日)鹿児島:鹿児島CAPARVOホール
2012/11/01(木)岩手:盛岡CLUB Change WAVE
2012/11/03(土)北海道:函館club COCOA
2012/11/16(金)東京:Zepp Tokyo
2012/11/22(木)広島:広島CLUB QUATTRO
2012/11/23(金)福岡:Zepp Fukuoka
2012/11/30(金)愛知:Zepp Nagoya
2012/12/02(日)北海道:札幌ファクトリーホール
2012/12/04(火)宮城:仙台Rensa
2012/12/17(月)東京:NHKホール
2012/12/20(木)大阪:オリックス劇場(旧 大阪厚生年金会館)
チャットモンチー
「LADIES OR GENTLEMEN ?」2012/05/24(木)恵比寿LIQUIDROOM
「七尾旅人/チャットモンチー」
2012/06/26(火)赤坂BLITZ
「POLYONSEN 2012 ~テルマエ・ロマンと人間風呂グラム」
2012/06/29(金)なんばHatch
「ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES. 2012」
2012/07/16(月)横浜アリーナ
「FUJI ROCK FESTIVAL’12」
2012/7/27~29 新潟県湯沢町苗場スキー場
※出演日未定
http://www.fujirockfestival.com/
「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」
2012/08/10~11石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
※出演日未定
http://rsr.wess.co.jp
「MONSTER baSH 2012」
2012/08/25~26国営讃岐まんのう公園内 芝生広場
※出演日未定
http://www.monsterbash.jp
「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012」
2012/09/01~02山中湖交流プラザ きらら
※出演日未定
http://www.sweetloveshower.com
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。