所属レーベル20周年を自分たちのスタイルで祝ったユニコーンとTOTALFAT
ユニコーン,TOTALFAT | 2012.05.15
初めに登場したのは、TOTALFAT。ストロング・スタイルのメロディック・ハードコアバンドだ。メンバーはShun(vo&b)、Jose(vo)、Bunta(dr)、Kuboty(g)の4人で、若いながらすでに12年のキャリアを持っている。バンドの特長を活かしたアッパーチューン、「Summer Frequence」、「Highway Part2」でスタートし、ダンサブルな最新シングル「PARTY PARTY」で盛り上がった後、ステージにレーベルメイトのJOE INOUEが合流して、「World of Glory」を熱演。一緒に作った曲だけあって、お祝いライブにふさわしい楽しいセッションになった。
ギター1本で歌う「See You Later,Take Care」で静かに聴かせた直後に、対照的なスピード感を持つ「All for You」、「Place to Try」(昨年11月リリースのシングル)を配すなどストレートな構成に、何となく80年代のバンドブームを思い出す。TOTALFATのエネルギッシュなパフォーマンスを聴いていて、ますますユニコーンが楽しみになってくる。
SEの「スターウォーズのテーマ」が流れて、ステージを覆ったカーテンが左右に開くと、ユニコーンの5人がいた。今日のユニフォームはブルーのつなぎ。オープニングは「手島いさむ物語」で、1曲目からカマしてくれるぜ。「まさかてっしーが飛ぶなんてことはないよな」と、自分に突っ込みを入れたくなる。
久々だからか、演奏は少しドタバタしているが、そこは川西さんの力強いドラムが牽引していく。曲が終わると5人は、自分たち自身にヤンヤの喝采を送る。今日のライブをいちばん楽しんでいるのは、メンバー自身のようだ。
続いて「デジタルスープ」。面白ソングの次にシリアスなメッセージを持ってくるとは、かなりハチャメチャなセットリストだなと思っていたら、3曲目は「WAO!」!!。てっしー、奥田民生、阿部義晴と曲ごとにリードボーカルが変わる、ユニコーンの面目躍如の開幕3曲だった。
「久しぶりに人前でカウベル叩いたよ。俺は日本一有名なカウベラーだからね。そこらの小学生に『日本一は誰?』ってきいたら、絶対に俺だって言うからね(笑)。キューン20周年、おめでとうございます。もともとユニコーンはキューンじゃなかったんだけど、再結成してキューンに来た。今でもなぜだかわからない。なんとなくキューンに入って、みんなの後輩になった」とOT。するとEBIが「今日はサングラスがかっこいい」とOTと阿部をからかう。「今んとこ、俺と阿部が人前に出てない。だからいつもより隠れたい気持ちなんだよ。恥ずかしいんだよ」と照れたOTが、返事を待つ間もなくギャイーンとイントロのギターを掻き鳴らす。「頼みたいぜ」だ。
再結成2作目のアルバム『Z』収録の強力ロックンロール・ナンバーだ。若い頃のユニコーンにはなかった跳ねるグルーヴが炸裂する。この年季の入ったグルーヴを聴けるだけで、改めて奇跡の再結成に感謝したくなる。いよいよ5人のライブ魂に火が着いたなと思ったら、川西、EBI、てっしーの姿が消えて、影アナでしゃべり出した。珍曲「メダカの格好」だ。せっかくロックなライブにエンジンがかかったと思ったら、ハズしてくる。本当に無茶苦茶なセットリストだZ。
会場は爆笑につぐ爆笑。メンバー自身も笑いまくっている。そのまま3人がイエローのスタジャンを着て現われ、今度はOTと阿部が消える。川西、EBI、てっしーが結成した新バンド“電大”の初ライブだ。往年のハードロックを下敷きにした、「炎のモーニングコール」だ。この1曲を聴いただけで、“電大”というバンドの全貌が知りたくなってしまった。
終わってOTと阿部が戻ってきて話し出す。
阿部:“電大”ってバンドらしいですよ。
奥田:やる前にちゃんと説明しなさいよ。俺らが勝手に休んだみたいじゃないですか。「俺たち電大ビリビリ!」とか言いなさい。準備、足りないよ。メンバー名とか決まってんの?
EBI:決まってますよ。俺は“EBIアンペア”で、“川西ボルト”、“手島ワット”。
奥田:あはは、5年ぐらいして、電大には“手島ワット”だけ、残ってたりして。
記念すべきせっかくの“電大初ライブ”も、グダグダじゃん(笑)。
このギャグが思わぬ事態を巻き起こす。次の超シリアスなロック「R&R is NO DEAD」に阿部が入れなくなってしまったのだ。
ピアノの前でシリアス・モードに入ろうと苦闘する阿部に、OTが声をかける。「大丈夫。お客さんも年だから、すぐ泣くよ」。また笑いが起こる。阿部はまたまた調子を外されて、弾き出せない。やっとイントロが始まり、なんとか最後まで演奏。会場がようやく名曲を聴くシリアスな雰囲気になったのは、次の「HELLO」だった。下手したら今年のユニコーンのライブは、これ一回きりかもしれないのに、まったく、やれやれ。
ラストは阿部がハンドマイクを握って「SAMURAI5」。会場にもユニコーン・フラッグを持ってきた人がいて、みんなでサビで元気よく振る。例によって、途中で演奏を止めて阿部がしゃべり出す。
阿部:久しぶりだね。
奥田:ほんと、ゴルフ場以外で会うのはね。
阿部:電大は、人前で初めてやったの?
EBI:はい。
奥田:なんでスタジャン?
EBI:大学だから。
阿部:トークショーみたいだな。
たった9曲しかやってないのに、この時点でライブはスタートしてから1時間10分が経過している。本当にトークショーみたい。すっかりペースを狂わせた阿部は、歌に戻ることができず、仕方なくエンディングは「人生は上々だ」に変更。こんなのありかよと思っているうちに、本編は終わった。
アンコールで奥田がまたまた話し出す。「もう、ここまできたらアンコールもグダグダで。でも、この曲だけはやらないとね。ユニコーンの今年唯一の仕事。本日はありがとうございました」。鳴り出したイントロは、阿部のキーボードが印象的なニューシングル「Feel So Moon」だ。と思ったら、いきなり間違えて演奏が止まる。文字どおりのグダグダ(笑)。この「Feel So Moon」も、電大の「炎のモーニングコール」も本邦初演なのに・・・ま、これがユニコーンなのかも。お得なような、ガッカリなような、お祝いライブはこうして終わったのだった。
【取材・文:平山雄一】
リリース情報
リリース情報
ベストカバーズ〜もっと日本。〜(初回限定盤)[CD+DVD]
2013年07月31日
アリオラジャパン
02 雨の降らない星では愛せないだろう?(モーニング娘。)中孝介 feat.高橋愛
03 桜(河口恭吾)中孝介 feat.河口恭吾
04 少年時代(井上陽水)
05 もしも明日が(わらべ)
06 紅一葉(黒うさP×初音ミク)
07 糸(中島みゆき)
08 花
09 歌に形はないけれど(doriko×初音ミク)
10 サンサーラ
11 春なのに(柏原芳恵)中孝介 feat.カサリンチュ
12 上を向いて歩こう(坂本九)
13 明日があるさ(坂本九)
14 愛燦燦(美空ひばり)
15 桜ノ雨(halyosy×初音ミク)中孝介 feat.伊東歌詞太郎
16 夏夕空
17 ありがとう(大江千里)
※カッコ内は、オリジナルのアーティスト
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セットリスト
TOTALFAT
- Summer Frequence
- Highway Part2
- Good Bye, Good Luck
- PARTY PARTY
- World of Glory
- Good Fight & Promise You
- See You Later, Take Care
- All for You
- Place to Try
- Overdrive
ユニコーン
- 手島いさむ物語
- デジタルスープ
- WAO!
- 頼みたいぜ
- メダカの格好
- 炎のモーニングコール(電大)
- R&R is NO DEAD
- HELLO
- SAMURAIは上々だ(SAMURAI 5 ~ 人生は上々だ) Encore
- Feel So Moon
お知らせ
TOTAL FAT
[LiFE and DEATH TOUR 2012]2012/5/28(月)@水戸LIGHT HOUSE
2012/5/29(火)@郡山#9
["Driving squall TOUR 2012"]
2012/6/22(金)@滋賀U☆STONE
2012/6/23(土)@福井CHOP
2012/6/24(日)@富山SOUL POWER
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。